自民党県議団はどこで対応を間違えたか

 今回の虐待禁止条例改正案。別に擁護する立場ではありません。
 当初は成立が確実視されていましたが、メディアや世論の結果、取り下げという異例の展開に。
 どうしてこうなったか。

①メディア慣れしてなかった自民党県議団
 小池知事をはじめとするスターも登場する、東京都議会と違い、埼玉県議会は「不祥事」以外では、滅多にメディアに取り上げられません。埼玉は東京から近いこともあり、埼玉のために記者の配置も充実がしていないのもあります。
 そして報じられた不祥事も大して注目されません。(県議の視察団による海外視察買春疑惑も覚えている人がどれだけいるか)
 ましてや条例が話題になることなどまずない。
 エスカレーターでの「歩き」を禁じる「エスカレーター条例」も罰則のない、機能しなことが明らかな条例だったので、大して注目もされず、県民の認知度もかなり「?」なのが実態です。
 そうした意味では自民党埼玉県議団が「メディアなれしていなかった」ということもあります。
 そうした意味では県議会での審議、委員会での審査も、もう少し想定問答は「すき」を作らないように、丁寧なものをつくるべきだったでしょう。こうした意味では答弁者の「人選ミス」もあります。
 あとメディアに対して「話せばわかる」は「驕り」です。弱いものには強いのが商業メディアです。こうした訴訟でやられない自民党バッシングのコンテンツはメディアの大好物です。
 団長の田村県議は頭がいい方です。それなだけに「驕り」があったと言えるでしょう。

②サヨクに叩かれるとの想定がなかった
 これまで自民党県議団が進めてきたのは
・夫婦別姓推進の意見書を可決
・急進的なLGBT条例の可決
 など、リベラルな政策で、むしろ日本会議などから批判される政策でした。なので、「サヨクからの批判」を想定していなかったというのもあるでしょう。
 今回、自民党県議団がリベラルという政治事情を知らない左派系インフルエンサーが今回の条例案を「親学」などが背景と誤解し、批判をしてきたのもあります。
 そうした意味では、「都議会のドンはメディアが取り上げても、埼玉県議会のドンは取り上げられない」という埼玉の壁がこのような形で、跳ね返ってきたとも言えます。

③県議会が注目されるのは県議にとっても珍しかった
 平和安全法制の時もそれなりに各地で自民党県議への反発があったはずですが、「それは国政マター」と回避することが出来ました。あと安倍元総理の「国のために必要だ」という決意があり、ある程度の反発があっても頑張ろう、という決意が保守派にはあったし、それを応援しようという在野もいました。
 ただ今回は「平和安全法制」のように「どうしても」という事情はありません。在野から応援しようという声もほとんどなし。
 そんな中、コロナ禍で地域の行事が戻りつつある中、反発を受け止めた県議もカルチャーショックだったはずです。
 一般市民にとってはどれが市の担当で、どこが県の担当とかわかりません。(なので、無能で役立たずな県議も無能だとわかりにくいのが埼玉県。選挙結果がそれを示しています。)それが今回、県政案件が一般市民から注目を浴びたのが想定外だったでしょう。
 そもそも「条例だと罰則はつけられない」とそもそもの誤解をしている人もいるぐらいですから。

今回の教訓
①埼玉の政治事情は県政記者クラブの常駐記者ぐらいしか、メディアも知らない。
②共産党系活動家や立憲系県議も自民党県議団の政治的事情を知らない(政治的情報収集力はかなりレベルが低い)
③メディアは自民党を叩いてくる。それを前提に対応しないといけない。(これが立憲提案なら違った展開)
④たかが条例 されど条例

 今回の条例案は仮に通ったとしても、4月に施行された自転車のヘルメットの努力義務(道路交通法改正)と同じで、しばらくしたらみんな忘れていたでしょう。この問題で騒いでいた県議や市議が自転車のヘルメットを地元でもかぶっていないのが示しています。

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林田有香
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