2/15(火)

やきそば戦争

帰り道、『私』の家の近所の安アパートの前を通りがかった時、若い男が大声で電話をしていた。
「だから、やきそば弁当は送ってこなくていいって!
 別にこっちでも買えないわけじゃないし、だいいち、やきそばはUFO派なんだって言ってんじゃん!」
若い男の傍らには、やきそば弁当の段ボール箱が見えた。
若い男が電話を切った直後に、大声が障ったのか、横の家からおばあちゃんが出てきた。
おばあちゃんは階段の下から若い男に語りかける。
「まあまあ、いいじゃないの。あんたも好きなようにさせてもらってるんだから、親も好きなようにさせなさいよ」
「んなこと言ったって」
若い男はスッキリしない感じだった。
「じゃあ、こういうのはどう? あたしのところにやきそば弁当を持ってきてもらって、それをUFOを交換するの」
「大家さん、いいんですか?」
「もちろん」
その返事に、若い男はすぐさま箱からやきそば弁当を数個取り出すと、階段をかけ降りて、大家のおばあちゃんに手渡した。
「とりあえずこれで!」

おばあちゃんは家に戻り、しばらくして出てきた。
「今、うちにはペヤングしかないんだけど、それでもいいかい?」
「絶対ダメです」
若い男はしれっと言った。

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