ユビー初のテレビCMの振り返り
Ubieでブランドコミュニケーションリードをしている林です。
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、Ubieでは5月中旬より俳優の賀来賢人さんを起用したテレビCMを公開しました。
このCMの他、直近は自分の所属するチームで半年以上進めてきた大掛かりなプロジェクトを複数公開した勝負のタイミングでもあったので、少し落ち着いた今、後学のために何をやってどういう結果を得たのか記録しておこうと思いnoteを書くことにしました。
ちなみに、7月25日(木)のランチタイムに、採用イベント(オンライン)も実施するので、弊社の直近の取り組みや今後の戦略等気になる方はお昼ご飯のながら聞きにでもぜひご参加ください。
なぜこのタイミングで大規模プロモーションに踏み込んだか
ユビーは、アプリ・Webから気になる症状について20問ほどの質問に回答するだけで、その症状に関連する病名とその病気についての情報、近隣の医療機関を誰でも無料で調べることができるサービスです。
「頭が痛い」「背中が痛い」などの症状でGoogle検索した方がその後ユビーを使っていただくケースが多く、2024年5月には月間利用者が1,000万人を突破しました。
累計の利用回数は1.8億回を突破、さらに、国民のおよそ6人に1人の1838万人が「ユビー」を利用後、実際にクリニックを受診したと推計されるなど、手前味噌ながらとても多くの方にご利用いただいている現状ではありますが、
「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」というミッションの実現にはまだまだ道半ばです。
例えば普段は体調不良時にWebで検索をしない方々にもユビーを使って適切な受診行動を取っていただきたいですし、
発症時にショットで関連する病名を調べるのみではなく、健康に不安を感じ医療に頼りたいすべてのタイミングでユビーを使っていただきたいです(受診後に診断された病気について理解を深めたり、マイナポ連携によって処方の記録なども確認できます)。
今後は「パーソナル健康管理プラットフォーム」として、発症時のみならず受診・治療・健康時すべてのタイミングで利用できるサービスとして月間3000万人のご利用を目指していきたいと考えており、その1つの施策として、マスマーケティングを実施した次第です。
また、生活者向けサービスのみならず、医療機関向け事業や製薬企業向け事業、採用などへのポジティブな影響も期待していました。
特に5月末に、国内最大の製薬企業向けカンファレンス"Ubie Pharma Summit 2024"もあったので、そのタイミングとも合わせています。
具体的にやったこと
この時期にブランドチームでは大きく3つの施策を実施しました。順に紹介します。
"健康寿命の最大化"を軸とする社会的インパクト指標の公開
生活者向け、医療機関向け、製薬企業向けの大きく3つの事業を展開するUbieですが、創業事業である医療機関向けの「ユビーAI問診」のイメージがかなり強く、
採用面接シーンなどでも、「Ubieさんは医療機関向けにAI問診で業務効率化をされているSaaSビジネスが主だと思うのですが〜」というような話になることが最近でもよくありました。
これはこれで、過去(私が入社する前の)AI問診のマーケティング・ブランディングによる絶大な効果だと認識しているのですが、
健康が当たり前になる世界を目指し、世界80億人の健康寿命を最大化するために「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」というミッションを掲げている弊社としては、
医療機関の業務効率化はご支援したい非常に重要なピースでありながら、弊社のやりたいことのすべてではもちろんありません。
やはり事業が多く複雑でもあることから、(私の力不足もあり)まだまだUbieの目指す世界や提供できている価値については届ききっていないと感じていました。
Ubieが世界80億人の健康寿命最大化を志す企業であることを宣言していくための第一弾が、この社会的インパクト指標の公開です。
これは、実際にユビーの提供サービスによって、生活者と適切な治療がマッチングすることにより、どれだけの健康寿命が延伸されたかを試算したもので、
現時点では2.7万年、インパクト加重会計を参考にその経済価値を試算すると1,500億円という結果になりました。
ありがたいことに、日々さまざまな場所(SNSやアプリストアの口コミ、ユーザーインタビューなど)で実際にユビーを使ったことで
重大の病気に気づけて、放置せず治療に至ることができた
長らく病名がわからず悩んでいたが、ユビーをきっかけに診断がついた
などのとても嬉しいお声をいただいています。社員一同そういった声をやりがいに感じながらもっと多くの人にサービスを届けたいと頑張っていますが、
それを「延伸した健康寿命」という形で定量化したことにひとまずはとても意味があることだと思っています。
今後もこの指標を延ばしていくことを目指し、事業を拡大していきたい次第です。
このプロジェクトをリードした守屋のnoteでもより詳細に学びなどが書かれています。
賀来賢人さんを起用したテレビCMの公開
コーポレートとしていわゆる「AI問診のユビー」からの脱却を目指し、「健康寿命の最大化」を打ち出し始めたと同時に、本noteの主題でもあるマスマーケティングを開始しました。
5月中旬のCM発表会に始まり、関東・関西を中心にテレビCMを展開しています。
ちなみに30秒版と15秒版があります。
テレビを中心に、くすりの街である日本橋や、Ubie Pharma Summitの会場である虎ノ門ヒルズでの屋外広告、その他Web広告などを実施しました。
国内最大の製薬企業向けカンファレンス "Ubie Pharma Summit 2024"の開催
Ubieのミッション実現のためにはすばらしい治療薬を開発・提供されている製薬企業の皆様との協業も欠かせません。
製薬業界では、"Patient Centricity(患者中心主義)"という言葉が昔からあります。本題からずれるのでこの言葉の詳細な説明は省きますが、要は、患者さんを中心に据えた企業活動を目指していこうとする考え方です。
さまざまな要因からこの言葉への注目度が業界全体で高まっており、Ubieのミッション実現にも不可欠な要素だと考えているので、Patient Centricityの実現を製薬業界の皆様と可能にするために、そのPatient Centricityを主題に据えたUbie Pharma Summitという大規模イベントを去年から始めています。
テレビCM公開に続く形で、年に一度の大規模イベントも開催しました。
衆議院議員 元厚生労働大臣 加藤 勝信 氏
サノフィ株式会社 代表取締役社長 岩屋 孝彦 氏
アステラス製薬株式会社 代表取締役会長 安川 健司 氏
協和キリン株式会社 代表取締役社長CEO 宮本 昌志 氏
バイオジェン・ジャパン株式会社代 表取締役社長 傳 幸諭 氏
ARC Therapies 株式会社 代表取締役社長CEO 鈴木 蘭美 氏
など、業界を牽引されている錚々たる方々にご登壇いただけたこともあり、申込数は当初想定の1.5倍。直前に会場を増設するに至りました。
どういう結果を得たか
大きく3つの大型施策を動かした直近でしたが、その結果を一部紹介します。
CM発表会を通して民放キー局すべてを含む407メディアに露出。広告換算額は約4.5億円
Ubie初の大規模マーケということで、多くのメディアに取り上げていただけてとてもありがたい限りです。
アプリインストール単価は当初いただいたシミュレーションの1/3
CM発表会で大きく露出した成果もあり、CPIは当初想定を大きく下回る形でした。代理店のご担当の方からも、「スタートアップ企業のローンチCOMにおいてまれにみるレベルの大成功成果」と嬉しいお言葉をいただきました。
広告認知率も当初想定の2倍
CMを放映していない地域の方からもCM見たとのお声をたくさんいただきました。
採用内定承諾率の向上
これは本施策のみの結果ではありませんが、インパクト指標の公開等により、Ubieの価値が正しく伝わるケースが増えた気がするとの声が社内からありました。
Ubie Pharma Summitには2日間で1,000名超がご来場
業界特化のカンファレンスにて、その企業の代表の方が複数名登壇されて、この規模で実施しているケースは国内でもかなり稀だと思います。製薬企業向けのオフラインカンファレンスとしては(多分)国内最大です。
結果を得るためにどういう工夫をしたか
さまざまな成果があったこれらのプロジェクトを進める上で、チームとして意識したことや工夫したことを3つ紹介します。
一言で表現できるCMにする
このCMは、症状検索アプリ「ユビー」のCMなので、ターゲットは当然体調の優れない一般生活者です。
しかし上述の通り、さまざまな事業を展開している弊社ですので、マスマーケの実施がさまざまなステークホルダーの方々にポジティブな影響を及ぼすことを期待していました。
そうした時に、単にコアターゲットである体調の優れない人に向けた価値を伝えるだけのCMでは他のステークホルダーへの波及が弱いと考えていました。
実際に、数年前に地方で小さく検証したのですが、シンプルにユビーの価値をわかりやすく伝えた動画では、Webやアプリのユーザー増加は確認できたものの、医療機関の方々等への波及は全く確認できませんでした。
話題になりやすいCMは、映像がその場になくても一言で特徴を伝えられて「あ〜あれね」と理解されるCMだと思っています。
さまざまいただいた企画の中でも、「賀来賢人さんが指になっているCM」というわかりやすい特徴、そして記憶に残りやすさが良いなと思いました。
また、単に記憶しやすい言いやすい特徴があるだけでも当然意味がありません。
「ユビー」の由来は"「ゆび」先で「医」療とつながる"ですが、まさに「指」を企画の中心に据えることで、当初達成したかったサービス名の認知拡大にもつなげられると感じました。
この企画が功を奏し、上述のCM発表会を通したメディア露出においても、取り上げられる枠が芸能枠でありながら、ユビーというサービス名称やCM本編、アプリの特徴まで触れられる露出が多く、
「賀来賢人さんが新CM登場!」だけでない弊社としてもとてもありがたい露出になりました。
(賀来賢人さんご本人からも、「指を演じるのは初めて」とのお言葉をいただきました)
これについては、企画を選んだのは我々Ubieチームではあるものの、素晴らしい企画をご提案いただいたパートナー企業の皆様、演じていただいた賀来賢人さんにとても感謝しています。
(↑メイキング動画です)
ニュースを一気に集中させる
すでに説明した通りですが、このテレビCMのタイミングをUbie Pharma Summitの開催タイミングとも絡めながら、インパクト指標の公開もこの時期に合わせました。
たまたま月間1,000万ユーザーの突破もあったのでこのリリースも同時期に出していますが、とにかくイベントやニュースを同じタイミングに集中させることを意識していました。
ニュースや施策の切り口やそれを届けたい方々が異なるものが、同時期に出ることによって、このCMがリーチできる範囲も格段に広まります。
事実、製薬業界の方々には、全体平均よりも高い割合で弊社のCMを認知いただいていました。
半年以上かけたプロジェクトの発射を同時期に3つ重ねたことで、チームとしては直前の時期は本当に苦しいしんどいものでしたがw、乗り越えた今はこれもまたキャリアの大きな思い出の1つになったなあと思っています(チームメンバーに負荷をかけすぎた部分は反省していますw)。
ちなみに、今年の上半期が終わった時点で、すでにプレスリリースの数は去年を超えました。
全社員を巻き込んで祭化する
弊社はSNSをやっている社員がとても多いですし、全社員のSNSのフォロワー数を合計したらかなりの数字になります。
CMの放映チャネルに投下した金額以上の効果を得るために、「全社員でこのプロジェクトを盛り上げてみんなで一緒に成功させような」ということをかなり強く意識しました。
具体的には3ヶ月に1回ある全社オフサイトにて、半年前のオフサイトでブランドに関するパートの時間をもらい、「ブランドは全社員で作っていくもの」という内容のワークをしたり、CMの企画や賀来賢人さんの起用が決まった3ヶ月前のオフサイトでは「ユビーのテレビCMキャラクターは誰だ!!!???」という発表をしました。
そうして少しずつみんなの関心を集めながら、撮影やCM発表会をslackで実況中継したり、社内へのCMお披露目会を実施したり、
CM公開からお願いしたいことを具体的なToDoレベルに落としてフォーマットを作ったり
toBのサービスもあるので、商談用の資料を用意したり
とはいえ祭だからと浮かれて誰かに配慮のない発言が出ないよう発信ルールなども整備したり
社員全体が祭を楽しみながら色々なところでCMのことを話題にしてくれたように感じています。
※ 公開できませんが、自分1人でCMを完全再現した動画を撮影・編集した社員もいます笑
さいごに
こういう大規模なマーケティングイベントはどれだけ考えてどれだけ準備をしても、結果がどう転ぶか心配で不安で毎日吐きそうだし寝る時も休日も常に仕事のことを考えてしまう大変なものだけど、
だからこそ上手く行った時の嬉しさも格別だなと思います。
ブランドは一夜にしてできませんし、一人の力でもできないので、これからも世界80億人の健康寿命最大化に向けて皆で色んなことにチャレンジしていきたい次第です。
ということで再度宣伝ですが、7月25日(木)のランチタイムに、採用イベント(オンライン)も実施するので、弊社の直近の取り組みや今後の戦略等気になる方はお昼ご飯のながら聞きにでもぜひご参加ください。
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