プロの仕事とは?
このエントリはなぜか下書きで残っていたのですが、今日読んでみたら文章として成立していたのでそのまま上げちゃいます。いつ下書きしたかも覚えてないのですが、禁煙CMコンテストの件が書かれているから恐らく2020年の7月くらいじゃないかな。
こんにちは。はやしです。
「タイタンの学校」という『芸人の養成所』+『エンタメ系人材育成』+『寺子屋』みたいなものを作るお仕事をしています。主にプランニングと運営を担当しておりましたが、最近では講義や広報系、外部団体との折衝なんかも担当しているいわば何でも屋さんです。このnoteでは「タイタンの学校」を企画運営している中で感じたことや考えたことなどを個人的に記載しております。
さて。
今日は総合講義を担当頂いております文園敏郎先生について少し書きたいと思います。文園先生は株式会社フロンテッジに所属しているクリエイティブディレクター。CMを中心とした様々な企画を手掛けていらっしゃいまして、タイタンの学校へは元日本テレビのプロデューサーでもありタイタンの学校のご意見番的存在でもある菅賢治さんからのご紹介でジョイン頂きました。
(タイタンの学校ホームページより抜粋)
ご本人よりTVCMを制作してきた経歴を講義内でもお話し頂いておりますが、フロンテッジさんのホームページを拝見するとCMのみならず様々な企画をクリエイティブディレクターとして手掛けていらっしゃいます。映像のみならず多様なクリエイティブを手掛けていらっしゃる生粋の広告マンと言ってよいでしょう。
CD:文園敏郎/写真はフロンテッジ様HPより抜粋)
1期より『CM文化』ということで座学を中心に特別講義を担当頂いておりましたが、3期では文園先生が広告代理店で積み重ねてきた実務に少しでも触れさせて頂きたいと頼み込んでコマ数を大幅に増やして「CMを実際に作ってみる」ところまで内容を拡大してほしいということを無理やりお願いして引き受けて頂いた経緯があります。
せっかく文園先生にお越し頂くのですから「CMの歴史を学ぶ」のも勿論大変有意義な時間ではあるのですが、どうせなら第一線で戦っているクリエイティブディレクターの視点の下で作品を作ってみたいじゃありませんか。
短期間で相応のクオリティのものを作る難易度など障害は様々あったのですが、幾度かの打ち合わせを経て強い思いを文園先生にぶつけて御理解頂いた次第です。(お願いを聞いてくださった文園先生には本当に感謝です。)
また、「発信」というテーマからも「動画配信」というのは昨今のエンタメ事情から考えると避けては通れないテーマです。これまではタイタンの動画配信を担当しております高崎悠介先生に「動画の作り方」について学んできましたが、ここにもっとプロフェッショナルな視点を導入出来たらという思いはありました。
それは高崎先生がプロフェッショナルではないということではなく、高崎先生の講義はソフトウェアの使い方のような技術論で時間がいっぱいになってしまうということ、また自社コンテンツの制作をやっている高崎先生と一定の制限(ルール)の中で映像制作を行ってきた文園先生では視点が違うのでは・・・という気付きがあったからなんです。
CMというのは15秒とか30秒とか決められた短い時間の中でいかにメッセージを伝えるかという世界です。限られた時間の中でどう印象的にメッセージを視聴者に伝えるかというノウハウが凝縮されています。
文園先生にはこれまでも座学にてこれらの要素を様々な資料などを駆使してお話して頂いてきましたが、これは昨今の動画配信のトレンドに必要なのでは感じていました。それではもう「CMの文化に触れる」という外郭の講義だけでなく文園先生の作品制作へのアプローチ手法そのものに触れる導線を作ろうということで文園先生に頼み込んで実際に受講生と一緒に作品を作って行くという講義形式の導入をお願いした次第です。
文園先生も僕らの強引なお願いに対し真摯に取り組んでくださり、今年の年初から打ち合わせを重ね、どのように受講生に作品制作に取り組ませるのか、機材をどうするのか、クオリティはどの程度まで許容するのか、など懸念事項を洗い出し、また高崎先生にも打ち合わせにご足労願い、高崎先生にはハードウェアソフトウェアの使い方について講義して頂き、文園先生の下では実際に作品を作るところに注力するというコラボ講義形式を作り上げました。
文園先生の講義では現在一般社団法人日本禁煙学会さんが主宰する「禁煙CMコンテスト」に出展するCM作品を受講生一同で制作する講義を行っています。動画の編集をやったことがある人、ない人、様々な人がいらっしゃるのですが、皆さん四苦八苦しながらも自分たちのアイデアを限られた時間の中で映像化していくことに必死に取り組んでいます。
このnoteでも以前話したことがあるかもしれませんが、僕が大切にしている話でテクノスジャパンでダウンタウン熱血物語シリーズを作られた吉田晄浩さんから伺ったお話があります。
(ダウンタウン熱血物語/元テクノスジャパン、アークシステムワークス)
例えばF1のゲームを作るとして。プロのF1レーサーは凄い苦しい思いを重ねてきてレースに臨むわけです。レース本番でも危険と常に隣り合わせ、場合によっては生死を分ける結果になることすらあります。それでもプロのレーサーがレースに臨むのはライバルとのコンマ1ミリを掛けた駆け引きの刺激そしてそれに勝利したときの快感を得る喜びを知っているからです。その刺激や快感をリスクなしで疑似体験できるのが『ゲーム』だ、というようなことを僕に教えて下さいました。
タイタンの学校は「ゲーム」ではありませんが、僕は「大人の遊び」の要素は持ち合わせていると考えています。(「遊び」という言葉は少し誤解を生む可能性がある気がしますが、でもこの「遊び」という要素は凄い大事な部分だと思っています。その辺はまた別のお話で。)
動画制作についても”ただ作る”ではなく、第一線で戦っているクリエイターの下で作るという「体験」に大きな意味があると思っています。そのクリエイターが一体どのような目線で作品を作っているのか、どこで勝負しているのか、そして私たちが同じ目線で勝負したときにどうなるのか。クリエイターがクリエイターを続けるその刺激は一体何なのかみたいなところに少しでも触れることに大きな意味があるのだと思います。
禁煙CMコンテストでCMを制作する作業に受講生は取り組んでいるわけですが、どのような作品が出来上がり、そしてどのような体験を皆が手にすることが出来るのでしょうか?僕も凄く楽しみにしています。
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