欲しいものと、必要なものは違う。
アパレルの友だちと話していた。
「お客さんが欲しいと思ってるものと、お客さんに必要なモノって、違うよね」
当事者が思っている正解は正解でない問題は、そこかしこに存在する。
例えば、肌寒くなってきたから、持ち運びやしやすいストールを買いに来た人がいたとする。
でも、防寒のことを考えるなら、お客様に本当に必要なのはカーディガンかもしれない。
綺麗めな格好をする人なら、薄手のジャケットの方が服に合うかもしれない。
どういう時に使う服を探しているかを丁寧に聞いていくと、目的のものと、違う商品を買った方が良かったりする。
本来の接客とは、欲しいものを売ることではなく、必要なものを売ることだ、と友達が行っていた。
なるほど、と思った。
当事者が思っている正解は正解でない問題は、商売をする側でもよくあることだ。
今回は求人の例を出してみよう。
「正社員。労働時間7時間、残業ナシ、お客様のお話を聞くだけの仕事です」
求人主は、こんなにいい条件で出したのに人が来ないという。
私は思った。怪しくないか?
条件を良くしようとして真実を素直に書いていない求人をよく見る。
楽に見えるようにマイルドに仕上げた求人は、肝心な業務内容が分からず結果ふわふわとして怪しげな雰囲気を醸し出す。
多くの人は怪しさセンサーに引っかかって素通りする。
怪しさセンサーに引っかからない人はこの仕事に何を求めてきているのか。
楽に仕事ができそう。
時間が短いなんてラッキー。
対して、求人主の求める人物像は意欲あるハイレベルな人材が多い。
欲しい人に合わせた、求人を出す。(掲載媒体も含めて)
仕事は本当のことを素直に書く。(結局営業の求人だった)
分かっていても気づかない例もある。
広告の例を出そう。
50~60代向けのダイエット専門店のPRのお悩みを聞いた。
ホームページを見ると、赤と黒を基調にして、ビフォーアフターの女性の写真が載っていた。
キャッチコピーは「あなたも痩せて綺麗に!」
事業主に、50~60代の人はなぜ痩せたいのか、と聞いた。
「医者から痩せなさいと言われていたり、
膝や関節の痛みが体重のせいでひどかったり、
老後を健康的に送りたいと思っていたり、
前着ていた服が入らなかったりする」
すらすらと出てくる。
お客様のことが良く分かっている。
だが、ホームページはただのよくある美容ダイエットホームページになっている。
なぜだ。
答えは今自分で言っただろう。
なのに答案用紙に違うことが書いてある。
当事者だと気づかない。
よくあることだ。
もちろん、PRの仕方には正解は無い。
正解は無いが、ターゲットに合った切り口はある。
何がいいのか、当事者になると分からなくなる。
それは、私を含めた、多くの人に共通する問題だ。
今の悩みを解決する服が分からない。
自分のPRの仕方が分からない。
仕事の広告の打ち方が分からない。
求人の出し方が分からない。
自分の恋愛のし方が分からない。
良い家族関係の築き方が分からない。
信頼できる人のアドバイスを、よく聞くことだ。
アドバイスをもらって、傷つくこともあるだろう。
少しずつでいい。
新たな視点を、自分の中に取り入れることだ。
ありがとうございます。