3分で分かる、日本のバドミントンが強くなったワケ。
「バドミントンが世界で一番強い国は日本である。」
ほんの10年前ならただの絵空事だったが、今や事実になってきた。この短期間に一体何があったのか?競技を愛する一ファンとしての見解を述べる。
---
2016年のリオオリンピックで、女子ダブルスのタカマツペアが金メダル、女子シングルスの奥原選手が銅メダルという輝かしい成績を納めたのは記憶に新しい。そして先日行われた、バドミントンの世界国別対抗戦「トマス&ユーバー杯」で、日本は女子優勝、男子準優勝と言う、非常に輝かしい成績を納めた。もはや紛れもなく、世界トップの強豪国なのである。
そうなった理由は、大きく2つあると考えている。
①海外ヘッドコーチ招聘の成功
2004年に、韓国からバドミントン金メダリストの朴柱奉(パク・ジュボン)氏を日本代表のヘッドコーチとして招聘した。これが何より大きいと思う。それ以来、面白いように日本選手が世界大会で上位入賞する機会が出てきたのだ。
まず、メンタル面が変わった。
バドミントンほどメンタルに左右されるスポーツはないのではないかと思っている。それまで両者譲らぬシーソーゲームだったのに、急に連続失点して一方的な展開になったり、1セット目は圧倒したのに2セット目は真逆の展開になったりと言う光景がよく起こるのだ。
実際に朴コーチがどのような指導してきたのか詳細は知らないが、日本選手の試合を見ていての印象が変わってきた。
それまで中国などのトップ選手との試合を観ると、パワーやスピードで圧倒され、日本選手の劣っている点ばかりが目に付いていた。しかし、徐々に日本選手の優れている点が目立つようになってきた。スピードやパワーで劣っていても、粘り強いレシーブや相手に攻めさせないネット前でのクレバーなプレーなど、長所を押し出したプレーで自信を持って仕掛けるようになったと感じるようになった。
そしてフィジカル面。
代表合宿では、徹底的なフィジカルトレーニングを取り入れていると言う。パワーやスピードはまだ海外に分があると感じるが、試合が長引いても最後までパフォーマンスが落ちないスタミナや、厳しい体勢に追い込まれてからの意表を突いたショットなどは、日本選手の大きな武器になっている。
男子エースの桃田選手も、謹慎期間中に元々苦手だったフィジカルトレーニングに励み、今やテクニックとフィジカルを両立させた世界最高の選手となった。
②メディア戦略の成功
最近でこそテレビのニュースやバラエティでバドミントンが取り上げられることも珍しくなくなったが、少し前まではほぼ皆無だった。今のこの露出のきっかけは、間違いなく「オグシオ」だろう。二人とも美女で、しかも日本一強い。この逸材をバドミントン協会が戦略的にメディアに露出させた結果、世間も食いつき、以降の「スエマエ」「イケシオ」「タカマツ」「フクヒロ」と、略称とともにメディアに取り上げられる黄金パターンが確立した。
メディアへの露出に伴い、日本のバドミントンの競技人口も増え続けている。特にジュニア世代の人口が増え、またジュニア育成の強化策も功を奏し、日本全体のレベルの底上げにつながっている。その台頭と言えるのが、この間世界ランキング1位になった山口茜選手だ。(現在は2位)
また、競技人口が増えたことで、協会の資金も増えて、ジュニア育成や環境整備もさらに強化できる。そしてまたスター選手が生まれて、結果を出し、メディアで取り上げられて…と、絵に描いたような好スパイラルを生み出しているのだ。
そして2020年、夏、東京。
2020年の東京オリンピックが、楽しみで仕方がない。
日本の金メダル独占も、きっと絵空事じゃない。
---
そして私は今夜、サッカー日本代表のキリンチャレンジカップの観戦に行く。
サッカーでは代表監督の選考に苦戦しているように見受けられるので、ぜひバドミントンの生きた成功事例を参考にしていただきたい。