ミュージカル ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド 2/26公演観劇感想 (円盤ミッドナイトブルーver.にて補完しつつ)
※観劇日から日が経ちすぎてしまいましたが、書きかけの感想文を円盤視聴で補完しつつ、振り返る記事です。
円盤ではこうだけど、自分が観た回はお芝居のニュアンス違ったよ〜、というような、比較をしつつ、感想を語ります。
※サンライトイエローver.も近々見ます。見たらまた話したいこと出てくるかも。
ディオ様のこと、跡部様(テニプリ)やレン様(うたプリ)のように、様までが名前だと思い、常に様付けで読んでしまう平民です。どうも。
ディオ様のこと、好きだけど特別推しというわけでは、なかったんです、ミュを見るまでは。それでも自然と様(さま)を付けて呼んでました。カリスマだからかな。
(ジョジョは東方仗助くん推しです。)
今回はまだまだ語り足りないディオ様(宮野さん)の話をしつつ、他のキャストさんの話もします。
まずディオ様の感想と、星と泥の話から
・ディオ様のターンの仕方、きれいすぎる!!
君が泣くまで殴るのをやめない!のくだり。
ジョナサンとディオが上手下手入れ替わる時のターンがとてもきれいでした。
ボクシングでくるくる回ってた時もきれいだったよディオ様。バレエの回転技で、首を先行して回して目が回らないようにするやり方ですね。美。
ミュージカルに落とし込んだディオ(特に少年期)の動きは、クラシカルな所作ほどきっちり美しくなりそうだな、と個人的になんとなく思っていました。紳士としての立ち振る舞いが成っていて、他の少年たちとは違うオーラがあって。
・め……めちゃくちゃ、弱々しいディオ。
自首する時間がほしい、のくだりより。
ほとんど泣きそうなディオ。掠れ声で、体も曲げていて、憐れみの情が湧いてしまう。
(円盤では、公演で観た記憶よりもさらにさらに弱々しくて、本当に後悔しているようにしか見えなくて、危うく騙されそうになりました。スピードワゴンくんがいなかったらジョナサンも危なかったかもしれない。)
・人間をやめるぞ〜♪の歌
東京公演で観た時は、切なさがありつつも、夢見るような爽やかさがあり、光に向かっていくような開放感さえ感じた直後、いっきに悲壮感がやってきて、そんな風に星を見上げたかったけどダメだったんだよだからこうするしかないんだよー!!という流れで、ほとんど泣きながら、悲しそうに、人間をやめるぞ〜〜!!と歌っていたんですが
ミッドナイトブルー円盤は全然違っていて、びっくりしました。
円盤、ぼろっぼろで、もう、ぎりっぎりで、追い詰められていて、でも、めらめらとしていて、最後、人間をやめるぞ〜〜!は、原作やアニメと近い、勢いのあるニュアンスでした。
東京公演と変わっていると噂は聞いていましたが、こんなに違うとは。やっぱり、生のお芝居やコンサートって、全く同じものはないから、そこが面白いと、しみじみ感じますね、回ごとに全然違うものを見ると。楽しい。
・人間辞めてからのディオ、声にずっとビブラートかかっていた……?!
何なんですか、あの声色。どうやって出してるの??? 姿形も声までも、人間辞めちゃってるよ……。
・父親を二度殺しているディオ。
ダリオと、ジョースター卿。二人の父親を殺しているんですよね、ディオって。(円盤を見てふと気付いた。)
フィクションの物語において、親殺しが癖なんですけど(癖の告白をすな)。それが、二度もですよ??! ディオ、業が深すぎませんか????? そりゃ私好きだわな〜〜〜??! とはしゃいでしまいました。(はしゃぐな。)
父親を二度殺しているディオと、父親(ジョースター卿とツェペリ男爵)から二度受け継いでいるジョナサンか。ここでも対比が。
・ディオだって、星を見たかったんだよ。
「泥と星」の話をします。
ジョースター卿に「二人の騎士は牢獄で、星と泥、どちらを見ていたか」と問われる。
少年ディオは、最初、ぱぁっ!と、夢見るように、上を見上げる。
しかし、ふっと下を見て、暗い面持ちで、泥を見ていたと思います、と話す。
(ミッドナイトブルー円盤でも、引きでしたが、この様子が確認できます。)
ディオだって、星を見たかった、星を見ようとしたんだよなぁ!って、切なくなりました。
序盤のソロの歌詞に「母は気高くあれと言った」(※ニュアンスにて失礼)とあるように、ディオだってそれを大切にしたかったし、しようとしたんだよ。
それでも、できなかった。
だって、貧しくて、父親に支配されていて、力がなくて、惨めだったから、そこから脱却するためには、一番になって全てを手に入れるしかないと思った。何も手にできなければ、惨めだと。
母は気高かったけれど、それでも死んでしまった。だから、ジョナサンの言う「過程や心(どう在ったか)」よりも「結果(実際に勝ち得た何かがある)」の方が、重要だと。
現地の観劇と円盤と、鑑賞を重ねて、この少年期のやり取りが、沁みました。ジョジョとディオの決定的な違いが端的にはっきりとわかるので。
最初から最後まで、この話だったわけですよ、ファントムブラッドって。星のジョナサンと泥のディオ。
ウィンドナイツロットのジョナサンvsディオのシーンで
ジョナサンに「君は人間を辞めたんじゃない。人間から逃げたんだ」と言われたディオ。
人間をやめて、ようやく星を見られるようになったと、本人はそう思ってたのかもしれない。超人的なパワーと半不死身の身体を手に入れ、同族を手下に引き入れ、全て自分の思うままに世界を手にできると感じて。
でも、全然、そうじゃなかった。星を見上げている"つもり"でしかなかった。不死身を手に入れ、人の血肉(いのち)を食らい、配下を増やし、誇り高き騎士たちの墓まで暴いて。それ全部、私利私欲でしかなくて。
ジョナサンのように、他者や誇りのために戦うことはできなかった。そういう大切なものがなかった。それさえも、もうとっくに奪われていたんだもの、貧しさと父親から。
だから、それ以外のもので満たすしかないし、奪われたから自分も他者から奪い取る、って、そういう考えだったのかなって。
ああ、だからジョナサンから、ありとあらゆるもの(友情、親の期待、恋人、親友、富)を奪おうとした。
ついには、ジョナサンそのものを手にしようとしたわけだけど。
泥がついに、星に手を伸ばしたわけだ。
この結末も、星と泥の問いそのもの。ディオはジョナサンのボディを手に入れ、永遠の生命を手に入れた。
対してジョナサンは、自分の死を悟り、自分の生命より大切な、尊いものを守った。ジョナサンは死んだけど、まさに死ぬ瞬間までの自身の在り方に、きっと満足しただろうな。ジョナサンは最期までずっと、星を見続けた。
ってか星だった。星だよ。ジョナサンって本当に神々しいな。すげぇよ。どこまで清らかなんだこの人は。ミュを観劇するにあたって13年振りにアニメを見たら、ジョナサンが眩しすぎて、びっくりしました。多少大人になって心が穢れたせいなんでしょうが、ほんと、こんなに良い奴って、いる?!って、感動しましたマジで。俺の穢れた心が浄化しそうなくらいだよ。(ヲタク、落ち着いて。)
・ジョナサンへ向ける感情があまりにもクソデカすぎるディオ様
原作から、ディオ様の、クソデカ感情セリフを抜粋してきました。
「なぜこんな姿をあえて見せるのか……
それはジョジョ あれほど侮っていたおまえを 今おれは尊敬しているからだ…勇気を!おまえの魂を!力を!尊敬している…それに気づいたからだ…」
「おまえがいなかったら このディオに仮面の力は手に入らなかっただろう…
しかしおまえがいたから いまだ世界はおれのものになっていない!」
「神がいるとして 運命を操作しているとしたら!
おれたちほど よく計算された関係はあるまいッ!」
「おれたちはこの世において ふたりてでひとり つまり…!」
「おれはこの世でただひとり尊敬する人間のボディボディ(肉体)を手に入れ、絢爛たる永遠を生きる!
それがこのディオの運命なのだ!」
「苦痛は 与えん!それが我が好敵手への最後の礼儀!」
何回読んでも脳が焼き切れそうなんですけど????????????
ってか、12、3年前の私(当時中学生だった)は、アニメ初見で、とても咀嚼しきれなかったし、最後の展開にもビックリで、えっえっえっ??これで終わり?えっ?えっ……って、気持ちが追いつかないまま、続けてぬるっと始まった2部を見ていたんですが。
衝撃的なラストだったのと、私にはよく分からないけど、ディオ様、重たい感情向けてるんだな〜って、ふわ〜っと、そのまま流してしまっていました。
しかし
この10年で、メキメキとヲタク自我が芽生え、自分はクソデカ感情の人が好きだと気付き、数々のクソデカ感情コンテンツを啜り、以前より関係性の解釈を深められるようになった、今の私になら、解る。
ディオ様の思考、ヤバすぎる。とんでもない。どうなってんの? ジョナサンにスゲーこだわってるじゃん。もう、それ、愛じゃん。愛。
ジョナサンがいるから、世界は俺のものにならない。
ジョナサンという、唯一、自分が尊敬する好敵手のボディとひとつになり、永遠を生きる。(ディオの中で死者=敗者、生き続ける物=勝者という考え)
ジョナサン(の体)を奪う(手に入れる)ことで、イコール、世界を手にできる、とディオ様は思ったのかもしれないけど、そうではなかった。ジョナサンの子孫に、ジョースター家のハートが受け継がれたからね。むしろ、ひとつになったからこそ、ジョースター家との因縁がその後も続くと確定したわけで。
ディオ様がジョナサン(のボディ)にこだわっていなければ、こうはならなかったのでは。
ディオ様の敗因はジョナサンなんだよな。ジョナサンに拘りすぎたことなんだよな。はい、私そういうクソデカ感情の人、だぁ〜〜いすき〜〜〜!!
・終幕
みんなが揃って歌う最後。
ディオが「生きよう」(掴もう? 台詞ニュアンスにて失礼)と歌うのに対し、ジョナサンは「もういいだろう」(ニュアンス)と、ディオが(星へ)伸ばそうとした手を掴んで、下ろさせて、そのまま背を向けてふたりで退場していく。
手を握ったまま。
ディオは、手を伸ばした時、野心のある目をしていたけど、ジョナサンに手を掴まれた途端、しょぼんとして、背を丸めて去っていく。ミュの世界線のディオは、そうやってジョナサンに諭されて(もう手に入れようとするのは、やめようって)、懲りたかな。最後の最後、舞台の奥の方にまで歩いていった時には、背筋が真っ直ぐになってました。ディオだってそうやって行きたかったんだよなきっと……とやっぱり思ってしまいました。
ふぅ〜〜〜〜。
ディオ様の感想、語りたいだけ語りまくったので、ようやく他の演者さんの感想です。
・ジョナサン(有澤樟太郎さん・松下優也さん)
有澤さんのジョナサン、エリナに、またあしたね!!と言う声が元気いっぱいデッカくてかわいい。
背が高くて、エリナと並んだ時の身長差が尊かった。手の大きさも全然違って。エリナ、手、ちっさ!ジョナサン、手、デッカ!とうと〜〜〜ッ!!と円盤で胸がキュッとなりました。
松下さんは少年期は少年らしい幼さが強かった分、青年期以降の頼もしさに、グッときました。
・エリナ(清水美依紗さん)
俺のエリナが優勝です!!!(お前のじゃあない)
エリナと言えば、アニメの水色のお洋服と青い瞳のイメージが強かったんですが、ミュージカルはピンク!なんと愛らしい!お髪もピンクがかった茶色で、かわいい。動くとふわぁっと広がるピンクの裾までもかわいい。かわいい。俺のエリナがかわいい。(お前のじゃあない。)
歌声が清らかで浄化される。ソロがめちゃくちゃ良かった。ジョジョミュで一番泣いたの、エリナのソロです。
そうなんだよ、エリナって、強い人なんだよ。優しくて強い人。ジョナサンの事情を知らないけど、信じて帰りを待ってるんだよね、それって強くなくちゃできないことで。不安もあったろうけど、それでも、エリナはエリナの日々を生きて、ジョナサンを信じて待った。ジョナサンのこと大好きだから。
そんなジョナサンと共に船に沈もうとしたエリナだったけど、他ならぬジョナサンが、生きてくれと言ったから、そうしたんだよね。母もそうだったと言われて、幸せになってとまでも言われたら、もう……もう〜〜〜(号泣)。
本当の紳士・淑女の、圧倒的光で清らかな心のジョナエリ、本当にお似合い。運命。一生一緒にいてくれ。ばかやろう、一生一緒だよジョナエリは。ジョナサンのボディはディオのものでも、心はエリナのものなんだよ。分かったディオ!! 様!! (やはり様をつけてしまう)
・スピードワゴン(YONG DAISさん)
スピードワゴンくん、ラップ合ってましたね〜!
ミュージカルでは語りの役でもありましたが、ぴったりでした。
原作の「語り手」(物語を枠の中にあるとして、枠の外から説明しているような、語りの文)が、アニメでは大川透さんがナレーションとしてやられていて、ジョジョならミュージカルでも必要だよな?どうするんだろう?と思ったら。さすがにミュージカルでナレーション役がつくのは違うし、やるなら役として誰かが兼任するかたちになるかな、それならスピードワゴンくんが適任な気がする……とうっすら思ってましたが、よかったですね〜!
ゲロ以下のにおいがプンプンするぜ!のくだりで、ディオ様のにおい、スゥゥゥゥゥォン!ってめっっちゃ吸ってた。吸いすぎや。
円盤では特殊メイクがよく見えました。皺の描き込みがすごい。
・ツェペリ(廣瀬友祐さん)
波紋の曲がノリノリ🎶な曲で、楽しかったです。
ツェペリさん、この人も過酷な人生を歩んできた人ですが、ちょっとユーモラスなところがあるのが、魅力的ですよね。聞いているのか、ジョ〜〜ジョ!のところとか。
廣瀬さん、シュッとしていてカッコよかったです。15日一緒に観劇した姉に、ツェペリさんカッコよかった〜と好評でした。
(東山義久さんのツェペリさん、サンライトイエローでこれから見ます。ダンディでカッコイイとの噂。楽しみ。)
・切り裂きジャック(河内大和さん)
二幕で馬の中から登場するシーン、舞台映えしてましたね〜〜。アニメ再履修した時に、映えそうだと思いましたが笑。
叫び声がアニメとかなり似ていた気がします。円盤ではさすがに字幕になっていませんでしたが、独特なあの、人間やめてます魔物ですみたいな音。どうやって声出してるのあれ。
・ワンチェン(島田惇平さん)
登場からインパクトありすぎ。ハシゴに逆立ちしてる? 体勢で、歌ってんだよ?! で、歌声がブレないの。化け物か? 飛んだり跳ねたりぐねぐね動いてるのも、人間辞めてる動きしてて(まだ人間辞めてない時だったけど) 何だこの人はと驚きました。
ワンチェンもジャックも、ヒールとしていきいきとしていて、よかったですね〜!
・ダリオ(コング桑田さん)
ディ〜〜……オ〜〜 ディ〜〜ィ〜〜オォ〜〜 が、頭から離れません。
死んだ後も度々登場する、ディオにとって呪いそのものの人。
本当にどうしようもないク○ソだけど、それでも、自分が死んだあとの息子を気にかけていたというのがね……ク○ソの父親のくせにって、毒を盛って殺したディオの(きっとまだ母親を亡くして暫く経ってないその頃にはあっただろう)良心の呵責に苛まれたんじゃないかと。ほんの少しでもね。
ミュにおけるダリオの役割、個人的に好きでした。
・ジョースター卿(別所哲也さん)
迫力のある歌声に、ワ!ワ……!ワ、パ、パワー……!と圧倒されました。(ち○いかわ)
このミュージカル、ジョースター卿がしっかり締まってこそ、説得力のある話になるよな、と感じました。
ジョナサンの黄金の精神の核となる人なわけですから。紳士でありなさいと語ってきたジョースター卿の言葉、生き様が、ジョナサンが苦しい時にも心折れずに立ち向かっていけた理由だったんですよね。だからジョースター卿って、ジョナサンにとっても、ジョナサンの行く末を見届ける我々観客にとっても、大きな存在だった。偉大な父だなぁ。
喋りすぎました(ディオ様のことで)。
また後から、あっ、これも話したかったんだ!ってことが出てきそうですが(サンライトイエローも特典ディスクもまだなので)、今回はここで。
2024.12.23 かおる