コロナがインスタグラムとインフルエンサーに与える影響
はじめに
こんにちは、サイバーエージェントで藤田ファンドを担当している坡山 里帆です。
なぜnoteを書いているのかというと、チームメンバーと投資検討をする際に、同じサービスでも男女や年代によって捉え方が異なっている事に興味を抱きました。この経験から、等身大の自分の考え方や物の見方が、他の誰かの気づきになるかもしれないと思い、特定のサービスやトレンドについて「20代女性」の視点から発信してみようと思いnoteを書くに至りました。
今回は、コロナの状況下でのInstagramのトレンドについて簡単にですが、調べてみる事にしました。記事構成は以下です:
・ グラフのデータ等をベースにしたコロナ禍での海外と国内のインフルエンサーの動向
・ 私が注目しているコンテンツの紹介
もし読んでくれた方で、「こういった面白いインフルエンサーの事例あるよ」など共有してくださる方は是非Twitterでお気軽にDMやメンション下さい。
Instagramの利用頻度へのアンケート
統計サービスのStatistaのデータによると、コロナの影響で人々が自宅で過ごす事になった場合、回答者の内43.1%がその期間中はInstagramをさらに利用すると答えました。
参照:Statista
こちらの記事によると、人々が家にいる時間が増え、社会的に分断されていくに連れて、Instagramなどの人気のソーシャルプラットフォームへ費やす時間は増加し、全体的に一般ユーザーのデジタル消費時間はコロナの期間中に伸びることが推察されています。
そして、ユーザーがより多くの時間をInstagramに費やすことで、いいねやコメントなどのエンゲージメントと投稿数が高まることも示唆しています。多くのユーザーが利用することで、ユーザー同士のコミュニケーションも活発になり、結果的にさらに多くのユーザーが利用すると予測しています。
さらに、Business Insiderの記事で、Obviouslyというインフルエンサーマーケティングの会社が、自社が取り扱うキャンペーン群において、2週間の内に76%もイイねの数が増えたと述べています。この期間は、多くの企業が消費者とリアルな接点の場である店舗を閉鎖しており、Instagramの投稿やストーリー機能からオンラインストアでの購買などを促進する必要があるため、Instagramの投稿は重要性を増すと述べています。
参照:Instagramにおけるナイキの店舗閉鎖に関する投稿
企業アカウントのトレンド
ここでソーシャルメディアの分析ツールを展開するRival IQが発表した、コロナ状況下での13の主要業界におけるInstagram企業アカウントのトレンドをみてみたいと思います。
参照:Rival IQ
このグラフから、現在は以下の様な傾向があることがわかります。
・自宅でお酒を飲む機会が増加し、アルコールのブランドはわずかに増加傾向。
・食品と飲料のブランドは少し上昇傾向。
・高等教育機関は、学校の運営状況を把握するために過去2週間に大きな急上昇を見せたが、現在は通常の水準に戻っています。
参照:Rival IQ
こちらのグラフの解説は以下になります。
・ホテルとリゾートは、3月の初めに大きな落ち込みを見せた後、大きく上昇傾向に。これは旅行のキャンセルなどの関連する情報を取りにいく動きからか。
・北米でコロナウイルスが猛威を振るい始めて以来、インフルエンサー業界はエンゲージメント率が下降を続けている。
・3月上旬にニュース等の重要な情報源として機能した際に上昇した後、非営利団体はエンゲージメント率が劇的に低下。
・ファンが試合を見ることができないのでスポーツ業界も大幅にエンゲージメント率が低下。
Instagramは、Twitterのようにウイルスの最新情報やニュースを求める際に開くのではなく、生活の余剰時間に見るSNSという性質を持っています。そのため、人々の活動の中で減少傾向にある、観光・ショッピング・外食の分野に関しては、インスタグラムでのエンゲージメント率が急激に減少しています。
コロナ禍での海外インフルエンサー
広告業界の予算削減に伴い、イベントのキャンセルやスポンサー契約を打ち切られるなどインフルエンサーの収入がコロナの影響で激減しています。特に旅行系のインフルエンサーは大打撃を受けており、変化への適応力が強く求められています。
ニューヨークではブランドアンバサダーPatrick Janelleがスキー旅行や音楽フェスの中止に直面した後、自身のエクササイズの様子を自宅から毎日午前8時に配信したり、マンハッタンでは、ファッションライターでありインフルエンサーでもあるChrissy Rutherfordが自分のクローゼットを整理し、74,200人のフォロワーに対して洋服をオンラインで販売してチャリティーに役立てるなど新しいコンテンツを提供するできるように日々工夫しています。
参照:chrissy RutherfordのInstagram
今後コロナの影響が拡大するに連れ、企業が真っ先に削るのはマーケティング費用ですが、インフルエンサーの消費者の購買に対する影響力は強いのも事実です。インフルエンサー産業は2020年には50〜100億ドルほどの市場規模になるとマーケティング会社Mediakixが予測しており、インフルエンサーは有名人やスポーツ選手よりも信頼を集めている場合もあります。
この記事によると、実際に13歳から38歳までの若いアメリカ人の半数以上が、ソーシャルメディアのフィードで誰かの意見を参考にして商品を購入したことがあるようです。 socialmediatodayによると、消費者の88%が対面と同じくらいオンラインで商品を勧められる事を信頼しているのに対し、10代の70%はYouTuberなどのインフルエンサー が有名人よりも信頼できると考えています。
日本のインフルエンサーの動き
海外のインフルエンサーについては上記に述べましたが、では日本におけるインフルエンサーはこの状況でどのように変化しているのでしょうか?
Insta toolというツールから、日本のInstagramで直近人気のハッシュタグを探してみると、
参照:insta tool
・ 在宅を示すワード (#おうち時間、#ステイホームなど)
・ 在宅ご飯の関連ワード (#おうちご飯、#簡単レシピなど)
・ 美容に関するワード(#ダイエット、#美容など)
上記のハッシュタグから、おうちで過ごす時間に対してどう過ごすかに人々の関心があるように推測できますね。
インフルエンサーも我々同様に、仕事やリアルイベント等が中止になり、在宅の時間が増えています。テレビの収録もオンラインでの出演が増えていますね。そうなると、アップロードできるコンテンツが減っていきます。
しかし投稿を止めることはできないので、Instagramのストーリーでは、質問機能などを利用したファンとの交流、自宅での料理過程や飼っている動物などのコンテンツを投稿している姿が見受けられます。これは私の感覚ですが、自撮りやコーディネートなどをアップする投稿は、外出抑制が求められる中で減っているように感じます。Youtubeでも近い動向になっていそうです。
さらにこのタイミングで、個人でコンテンツを創造し続ける難しさも相まって、Insta LiveやYoutubeなどを利用したインフルエンサー同士のコラボも活発になっていると思います。実際に以前よりインスタライブを始める人が増えたように感じます。
参考までに、米国の記事によると、先月多くの国で人々が在宅する事が義務付けられたためInstagram Liveの使用が急増したそうです。 Instagramの広報担当者は、米国ではInstagram Liveを使用している人が先月と比較して70%急増したとBUSINESS INSIDERへ語ったそうです。
個人的に気になっているのは、コロナ禍で自宅でのフィットネス動画をアップする動きが活発になっていることです。特にYoutubeで活発になっている印象です。GoogleトレンドのYoutube内検索をかけても、筋トレ・腹筋・ダイエット・痩せるなどのキーワードが軒並み今年の3月から急上昇しています。
かつて筋トレというと男性のイメージが強かったですが、最近では女性の筋トレ・フィットネス系Youtuberの方も登場し、自宅でもマット一枚でできるトレーニング情報などを紹介しています。
例えば、のがさんというYoutuberの方は、のがちゃんねるにて5日間にわたって同じ時間にライブ配信を行い、在宅で身体を動かしたいが、一人だとやり方がわからない・モチベーションが上がらない方々のニーズをガッチリ掴んでいたのが印象的でした。1日ごとに参加の記録を示すことができるスタンプシートのようなクリエイティブを用意していたのも参加したくなる要因になっていそうです。みんなで集まって、いざ身体を動かすと、頑張ることができた小学生の頃のラジオ体操を思い出しました。
もう一つ注目したいチャンネルがあります。私を始め、最近周囲の女性(友人・母など)が自宅での運動をする際に参考にしているMarina Takewakiさんのアラサー健康チャンネルです。5月に入って新規登録者数が増えています。
参照:yutura
直近ではVAAMさんの提供の動画を公開しており、動画内で運動の休憩中に同社の製品が紹介されたり、動画内に製品がそっと置かれていたりします。
今後もこのような形でYoutuberの動画の面を広告面として捉える動きは広まっていくと思います。特に健康の領域など専門的な知識が必要な領域は、専門性をもったYoutuberへの信頼から動画内で紹介された製品を視聴者が購入に至る可能性が高いのではないでしょうか。
その他のコンテンツとしては、誰でも簡単に踊れるHANDCLAPというダンスや、韓国アイドル練習生の筋トレ動画など女性がトレーニングをする動画が以前より視聴数を伸ばしているように感じます。
今後はテレビから著名になった方が、女性向けのサプリメントやヨガウェアなどを監修する流れから、Youtuber発で動画の中で使用されるゴムバンドや機能的なウェアなどの製品が彼女等のキャラ・専門性や動画内のストーリーに沿った形で売られるような流れがくるのではと思っております。
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