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音楽依存自暴自棄
私は音楽が大好きだ。
それはもう生まれた時から。
童謡が流れるおもちゃと一日中歌い合っていたり、2歳の頃には父が口ずさんだ曲を耳コピで一曲歌えるようになったり。
十歳の時に父のお下がりでもらったウォークマンは、私の友達だった。
十二歳の時には既にギターを持っていて、中学に上がった時には弦楽部に入って作曲を始めた。
イヤホンが禁止だった高校生活。ここでイヤホン外せばバレないというバス停があって、限界まで音楽を聴いていた。
寄り道も禁止だったけど、地元のカラオケくらいならバレなかったので週3でヒトカラに通った。
ずっと音楽は仕事にしたくなかった。
音楽は私の最大の娯楽であって、いかなる時も苦しいものであってほしくなかったから。
大学一年生の時、就職しようと思った。
安定した職業について、真面目に、誠実に生きていこうと思った。
大学一年生の冬、私はその場の勢いで軽音の部活に入った。
バンドなんてものに興味はなく、楽器の音もろくに聞こえていなかったにも関わらず、バンドを始めた。部活の人たちは本当にどこまでも優しくて、捻くれ者の私を優しく受け入れてくれた。
大学二年7月、バンドを組んでみた。
厨二病臭いか?と思ってたけど、
私たちはバンドをセブンス・ベガと命名した。
アンプ?エフェクター?音作り?クリック練?
ま、曲が良ければいいだろ!と思っていた
結局この考え方がきっかけで、沢山の壁にぶつかった。一人じゃないから上手くいくこと、いかないことを考えていたら、いつの間にか就職なんて言葉はどこか遠くへ消えてしまっていた。
この辺はもう、つい最近の話で。
最近、実力に伸び悩んだり、演奏以外のバンド活動に集中しすぎてしまったり、なんだか面白くなくなった。
いつだってでかい口を叩いてるせいで、今更辞められる場所には居なくて、孤独で。
バンドは4人もいるのに、家族も、友達も恋人も、セブンス・ベガを応援してくれてる人は沢山いるのに、ずっと酷く孤独感があった。
期待に応えるために音楽活動をする。
来てくれたお客さん、音源を聴いてくれてるどこの誰だかわからない人、日頃から近い距離で応援してくれてるみんなの期待に応えなきゃ。応えなきゃ私に価値なんてないと考え込んでいた。
もちろん私は、音楽を生み出さないと価値は無い。望んでそういう人間になった。
でも、なんか楽しくないんだよなー
ライブは楽しい。でも終わったあとに毎回乗り越えられない同じ課題を反省するのも飽きた。
あーしんどいな。辞めたいな。
音楽やめて、髪黒くして、就活して、友達と遊んで、結婚して、お母さんになりたいなって思った。
だから、ちょっとだけ音楽から離れて価値のない人間になってみようと思った。
ので北海道にいってみた!
しかしここからが不運なことに、風邪をひいていたせいで帰りの飛行機を降りた瞬間から航空性中耳炎になり、今も耳があんまり聴こえない。
これが私の音楽無理思考を加速させた。
咳も出てろくに歌えなくて、さらに耳も聞こえない?
間違いなく生きてきた中で一番辛い。
耳の奥まで劈くライブがみたい。
ヘッドホンで好きな曲を隅々まで聴きたい。
スタジオに入っても自分の音がわからない。
歌ったら自分の声が頭に響いて他の音が全く聞こえない。
しんどい!!!!!!!!!!!
もう無理だ!!!!!!!!!!
耳が治った後に曲を書くことすら嫌だ!!!
YouTubeをみるのも音楽を聴くのも歌詞を書くのも嫌だ!!!ぜーーーんぶ嫌だ!!!
と、自暴自棄になっていた矢先の出来事。
マイマイが病に倒れてしまった。
焦るセブンス、あと4日で楽しみにしてたライブ、サポート?音源ない曲ばっかやってるのに?
でもマイマイって凄くて(凄)
いつも優しい。どんなにくだらないボケをしても、私が演奏でミスっても、何をしても笑ってくれる。落ち込んだ時は親身に相談に乗ってくれて、常に前向きになおしてくれる。
そんなマイマイのために、リーダーとしても友達としてもバンドメンバーとしても何とかしてあげたいと思った。
バンドメンバーの都合がつかなかったらサポートを入れる。なんてのは常識だけど、セブンスはなんといっても譜面がないのでサポートはほぼ不可能。
そんな中サポートを引き受けてくれる人が現れた。神様かと思った。
そんなこんなで大ピンチは乗り切り、本番もめちゃくちゃめちゃくちゃ上手くいった。
※マイマイ、はやく元気になってね!
今日のライブはいつもより視界が広かった。
みんなの楽しそうな顔がよく見えて、部活の後輩も来てくれてたから存分にかっこつけた。
ライブが終わって片付けてる時に聞こえる「セブンスまじでかっこいい〜」を聞こえないふりしてにやにやする唇を噛む。
打ち上げで、愛してやまないCody・Lee(李)の話になった。
なんの曲が1番好き?という質問に、頭をフル回転させながらこの曲のここが大好きだけどでもこの曲のリフも好きで……でも新譜も好きで…!
李を熱く語っている時、ふと気づいた。
あれー、私音楽大好きじゃん。
毎度毎度、李には思いもよらないタイミングで殴られる。お前何してんだ!って言われてる気分。
音楽依存は一種の病気かもしれないけど、沢山の人のおかげでまた音楽への重い重い愛情を思い出すことができた。
やっぱり私には音楽がないといけないらしい。
死ぬまで、死ぬまでやるからな。
やってやるからな。
そんな大袈裟な。と思う人もいるかもしれないけど、人生ドラマですから。