エレアコ
私のエレアコは壊れている。
アンプに繋ぐと6弦のルート音だけが鳴り響く。
3、2、1弦の音はほとんど聞こえない。
エレアコとしてはもう使い物にならない。
ただ、この赤い木の塊がアコギとして生きるのであればこれ以上にないほどいい音を出してくれる。
真っ直ぐぴんと張った柔らかい音は、試奏した瞬間に購入を決めた。運良く4万弱で助かった。
音なんか分からないと言われがちな世界だが、齢十五歳の私は、絶対にこの音のギターが欲しかったのだ。欲しい音のギターが何十万と高かったらどうしていたんだろう。
真っ赤なボディに焦げ茶色のヘッド。黄金に光るアコギ弦がよく似合う私のギター。
有名なメーカーでもなく、他人から羨ましがられることは少ない私のギター。
それでも私自身が一番似合う、私のギター。
ギターを始めた頃から河川敷で弾き語りをする夢があるが、未だに叶っていない。
いつか彼女自身から出るそのままの音で一緒に夢を叶えたい。
エレアコに変えた方がいい、なんてアドバイスは幾らでも頂く。ただ私は、このギターからでる生音を心から愛している。
ただ申し訳なく思っているのは、せっかくの音に私の技量が追いついてないことである。
まあ気長にまっててよ。