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地方移住009 読んでみた各政党の衆院選公約「地方移住」に前向きな党は?

衆議院が解散され、10月27日投開票で総選挙が行われることになりました。そこで主要各党の政権公約を読んで「地方移住・地域活性化」に力をいれている政党を探してみました。移住を検討される皆さんの投票行動や地方自治体の皆さんの一助となれば幸いです。2024年10月12日時点で各党の公式ウェブサイトに公開されてる情報を元に書いています。

立憲民主党…大きな約束に「地方回帰の加速」が登場!
まず「政権交代こそ、最大の政治改革」を謳う野党第一党の立憲民主党。今回の政権政策では、大きな7つの約束の6番目に「地域再生… 地方と農林水産業の再興」を掲げ「地方回帰の加速」という言葉が登場します。
政策パンフレットの13ページには「地域コミュニティの維持・活性化」があります。「国民の生命と生活を守る基盤である農山漁村の再生で、安心して暮らせる持続可能な社会を作ります」と続き、「地方回帰を加速させるため、若年層・現役世代・高齢者それぞれに応じた移住策を講じます」と書かれていています。「就農人口の極端な現象に対応するため都市部のサラリーマンが農業に転職しやすい仕組みを作るなど…」などの具体策も書きこまれていて、地方移住に積極的に取り組む姿勢が感じられます。

「政権交代こそ、最大の政治改革。」政権政策発表 - 立憲民主党 (cdp-japan.jp)

日本維新の会は「人間の地方移譲」
野党第2党の日本維新の会はどうでしょう。「維新八策2024」コアポリシー(基幹政策)の7項目め【統治機構改革・地方分権】の中に
「限界が明らかになった中央集権体制を打破。権限・財源・人間を地方に移譲して地方の自立を促すとともに~分権型・多極型社会へ転換を図ります」と書かれています。

維新八策2024 基幹政策 CorePolicy (o-ishin.jp)

「移住」という言葉は見つけられませんでしたが、道州制など地方分権が看板の党なので「人間の地方移譲」の中で地方移住を促す施策も打たれることに期待したいです。

移住者が増えている福岡県朝倉市の夏の田んぼ  8月に早川が撮影

社民党は「地域に魅力と力を」
社民党は「日本を立て直す社民党6つのプラン」の3項目め「人口半減時代 地域に魅力と力を」に「地域公共交通を充実させ、循環型の地域経済を創ります」と書かれ地域活性化に取り組む姿勢を感じさせます。

2024衆議院総選挙政策 日本を立て直す社民党6つのプラン - 社民党 SDP Japan

「安心して住める地域、住みたくなる地域をめざし、地域循環型社会創生資金として地方交付金を倍増します。通院・買い物などすべての人の<移動の権利>を保障します」などとも書き込まれています。移住という言葉は現れませんが、人口減対策として地方に人を送る意思は読み取れます。

共産党は「農業を経済政策の重要な柱に」
日本共産党の「2024年総選挙政策」の中には「移住」の文言は出てきません。ただ2つめの大きな柱「暮らし優先で経済も立て直す(後略)」の中に「地域経済の再生――中小企業、農業を経済政策の重要な柱に」があり、「食料自給率の向上、食料の安定供給のために――農業を基幹産業に位置付け、農林水産業を振興します」と、地方にとって重要な産業である第一次産業の振興が明記されています。「農村では『あと数年で農業をやる人がいなくなる』という事態に直面しています。稲作農家はこの20年余で3分の1まで激減し、70歳以上の農家が59%を占めています」などデータを示し、米農家に生産コストにみあう価格保障、所得補償を実施します。基幹産業として予算を抜本的に増額します。という記述もあり期待したいところです。

国民民主党「移住促進・UIJターン促進税制」
国民民主党は「政策パンフレット」の前方や目立つところに「移住」という言葉は出てきませんが、政策4本柱のひとつ、自分の国は「自分で守る」の中に「農林水産業を守る」「地域活性化」があります。「政策各論」の21ページには「ふるさとへの帰農支援」として給付金の創設が、25ページには、東京一極集中・都市集中の是正のため「移住促進・UIJターン促進税制」を創設する。「地方都市シャッター街の利活用」など地方の都市や農山村への目配りはしっかりなされています。

2024 政策パンフレット P.36 導入 (new-kokumin.jp)

れいわ新選組・参政党
れいわ新選組は「農林関係予算を倍増させ、就農者支援を充実させる」、
参政党は「一次産業予算を3倍に増やし食料自給率を倍増させる」と両党とも農林水産業支援の公約がみられますが、「移住」の表現は見当たりません。農林業振興の中でそういう施策が打たれるか注目したいところです。


今回の総選挙は地方移住熱が高まるなかで投票日を迎えます 写真は28800人が訪れた9月の「ふるさと回帰フェア」(早川裕章撮影)

与党自民党は「地方を守る」が大きな柱
与党に移ります。自民党は「政治とカネ」の問題で逆風下の選挙となりますが、政権公約における「地方移住・地域の活性化」の位置づけの高さは他党を圧倒している。6つの大きな柱の5本目に「地方を守る」が堂々と登場。「地方こそ成長の主役です」として地方創生交付金の倍増をめざすとしている。「地方移住」を追う記者目線ではこのカテゴリーでは拍手喝采です。

「地方創生」の具体的政策9項目のうち「地方へのひとの流れの強化」
「女性・若者にとって魅力的な地域づくり」など「関係人口の創出・拡大と魅力的な地域づくりを実現するため、二地域居住を促進し、市町村を中心とした住居環境整備を支援するとの記述があります。

私たちの年代で「二地域居住」といえば、富裕層の別荘ライフしか思い浮かびません。しかし国土交通省地方政策課が今年7月にまとめた地方公共団体向けの二地域居住等施策推進ブックには、例として平日は東京で働き、週末は「まちづくりのワークショップ」や、「古民家を改修するDIYプロジェクト」などに継続的に参加するために地方で生活するな様々な事例が紹介されています。地方の市町村が駅や空港、まちなかに参加者が気軽に泊まることがができる宿泊施設やコワーキングスペースを準備し、その費用の一部を政府が予算で助成するなどが想定されているようです。
移住を検討されている皆さんには「自分や家族が移住先になじめるかどうか」という不安を抱いている方は少なくないはずで、そういう皆さんにはこれはうれしい施策だと思います。

令和6年政策パンフレット (jimin.jp)

公明党は「活力ある地域づくり」
自民党と連立を組む与党公明党の「2024衆院選重点政策」には移住促進に類するワードは見当たりません。

manifesto2024_01 (komei.or.jp)

しかし「活力ある地域づくり」が大きな柱のひとつになっています。
「地域公共交通の再構築を加速」や「『日本版ライドシェア』『公共ライドシェア』を含めた『担い手』『移動の足』の確保』。地域の社会・経済に
好循環を生む「持続可能な観光地域づくり」を全国で展開する、など人口減に苦しむ地方の活性化策について具体的な記述がみられます。ここは期待したいところです。

衆院選の選挙公約を比べるかぎり、地方移住について各党の温度はさまざまですが、与党の自民党、野党第1党の立憲民主党の公約に「地方移住推進」
が明記
されました。選挙の結果、自民党中心の政権ができても、現在野党第1党の立憲民主党中心の政権ができても「地方移住」は推進されそうな印象を受けます。それではまた。













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