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地方移住012  高まる「地方移住熱」の背景は?「移住支援」NPO高橋理事長に聞く

東京で地方への移住希望者が県や市町村の移住担当者と話ができる2大イベントのひとつ。
「JOIN 移住・交流&地域おこしフェア2024」が近づいてきました。今年は「ここからはじまる 地域とのつながり」をテーマに12月7日(土)・8日(日)に東京ビッグサイトで開催される予定です。

★移住検討者の味方「JOIN(ジョイン)」
「JOIN(ジョイン)一般社団法人 移住・交流推進機構」は、認定NPO「ふるさと回帰支援センター」とともに、地方移住を検討する皆さんにとって頼りになる団体です。私がこのブログで詳報している9月21日(土)、
22日(日)に東京国際フォーラムで開かれた「ふるさと回帰フェア2024(タイトル写真)」に行けなかった方にとってはまたとない機会です。ぜひ来場をご検討されてください。

さて、今回は2024年11月15日(金)のKBCラジオ「アサデス。ラジオ」で午前7時35分から48分ころまで放送したコーナー「高まる「地方移住熱」 NPOふるさと回帰支援センター高橋公理事長にきく」をブログで紹介します。

★「アサデス。ラジオ」は福岡発の朝の情報番組
KBCラジオは福岡市に本社を置く九州朝日放送(KBC)が福岡県・佐賀県で放送している民放ラジオで「アサデス。ラジオ」は月~金曜の毎朝6時30分から正午まで生放送しています。

11月15日の「アサデス。ラジオ」出演者。左からKBCの山崎萌絵アナ、沖繁義アナ、筆者(早川)

今回ご紹介する「ニュースここ大事 ニュースふかぼり」は、毎日午前7時35分ごろから約10分間、曜日がわりのレギュラーコメンテーターが取材・構成する特集的なコーナーで、この日は毎週金曜にコメンテーターを務めている筆者が「地方移住のいま」をレポートしました。

コーナーは「KBCラジオ ポッドキャストステーション」にもアップされています。「テキストを読む間がない」、「ラジオ感がある方がいい」という方はポッドキャストをご活用ください。


今回のスタジオパートナーは、KBC九州朝日放送の沖繫義アナウンサー、山崎萌絵アナウンサーの2人です。

沖アナ)ここからはコメンテーターのニュースふかぼり。早川さんけさは?

早川)私が9月からnoteで発信を始めたテーマ「地方移住」。東京から地方への人を送ろうという動きの最新情報。実はこのところ「東京から地方に移住しよう」と相談に来る人が増えている。

沖アナ)どれくらいの方が相談にきているんですか?

★右肩上がりの「地方移住相談」
早川)東京のJR有楽町駅前。東京交通会館8階にある「ふるさと回帰支援センター」という認定NPOには福岡・佐賀など全国43都道府県が常設ブースを構えて移住相談を受け付けている。ここへの相談件数は
3年前(2021年)は約5万件、
2年前は約5万2千件、
去年(2023年)は約6万件と右肩上がり
で、
今年(2024年)も8月までは当月過去最高で新記録になりそうな状況です。

このNPOのトップ=高橋公理事長にこの「地方移住熱」高まりの背景など聞いてきた。高橋理事長は福島県生まれの76歳。労働界出身で、連合の社会政策局長などを歴任後、22年間、地方移住の相談や地方自治体の移住政策支援に取り組んでいる「地方移住相談の第一人者」と呼べる方です。

認定NPOふるさと回帰支援センター  高橋公理事長

早川)有楽町駅前にございますNPO「ふるさと回帰支援センター」の高橋公理事長に話を伺います。理事長お忙しいところありがとうございます。センターへの移住検討者の相談件数が毎月過去最多を更新している状況ですが、その理由、背景はどの辺にあるとお考えでしょうか。

★「日本が壊れているから」
高橋理事長)これは難しいね。日本が壊れているからなんじゃないですか。バブル崩壊以降「失われた30年」なんて言われて、実質賃金も全然上がってない。こういうある種なんていうのか「行き詰まり感」というのか、そういう感じでありますから「東京に行ってもなかなか夢が叶えられない」というのか、「希望も持てない」というようなこともあって、そういうことに気がついた人からですね「地方に行こうか」というような感じであるんじゃないでしょうかね。

早川)沖さんも山崎さんも地方出身で、東京の大学に進んで、今は福岡で働いていますが、高橋理事長の話をどう受け止めます?

★「地元があっていいなぁ」
山崎アナ)私の時は、就職が10年ほど前だけど、「まだ東京で住める」。家も買っている先輩がいたので「(東京は)住めないからこっちにきた」というのはありませんでした。でも今働いている友達からは「地元があっていいなあ」とかいわれますよね。

早川・沖アナ)そんなこと言われるの?
山崎)言われますよ。東京しかない友達はそこから動けないから「家が買えない」とか…

沖アナ)昔は「夢をかなえるために上京」という感じでしたけど、今は仕事もそうだけど、いろんなものを発信したりする上で、「東京にいなきゃいけない」とか「東京から発信しなきゃいけない」ということがなくなったてきたのも大きいんじゃないかと思います。

★「地方移住」に「新型コロナ」の影響
早川)そうなんですよ。私が就職した1980年代後半は、自分で「何か発信しよう」と思えば、新聞社や放送局に入社するしかなかった。でも今は発信しようと思えば、インターネットで誰でも日本や世界のどこからでも発信できる。その部分も大きいですね。あと高橋理事長によると「地方に移住しよう」という熱の盛り上がりには「新型コロナ」の影響もあったそうです。
コロナ禍前とコロナの「5類移行後」で、相談に来る人たちの年齢層・性別や検討する時間が変わったそうです。

髙橋理事長)この間ずっと移住希望者が若返っている感はありますね。
それから女性ですね、地方移住が一貫して右肩上がりで増え続けている状況で、今全体の47%が女性、殆ど半分になっているという感じでしょうか。
それからやはり「新型コロナ」以降、何ていうのか(東京の)「密を避ける」みたいなことがあって、その昔は「2年3年ぐらいかけて移住しよう」みたいにしっかり準備してたけれども、その辺がずっと早まっているとかいろんな傾向ありますね。

ふるさと回帰支援センターの相談ブース

 


福岡県が「人気移住先」の理由
早川)センターの相談者へのアンケート結果をみると、移住希望者が
移住先を選ぶ条件のトップは「働き先があるか」、2位は「自然環境が良いこと」。この2つがそろっているので福岡県は移住先として人気がある。
インタビューに伺った11月8日(金)の夕方も相談フロアには、複数の子育て中の女性がベビーカーをおして来ていました。「子どもを自然豊かな地方で
育てたい」と相談される方は一定数いらっしゃる。山崎さんどう?

山崎アナ)いや、東京で生まれ育った人がいきなり自然豊かな町にくると、ギャップがありすぎて「思っていたところと違う」とかなったりしないか
心配になったりします。
沖アナ)自然は自然でもどのレベルかっていうのはある。
山崎アナ)そう、福岡ぐらいだと…
早川)そこは面白いんですよ。アンケート結果を見ると、地方に移住を希望しているといっても「移住先は地方都市(市街地)がいい」が最多
福岡市、広島市(沖アナの故郷)、北九州市(山崎アナの故郷)といった都市であって自然も近い市がある県は人気。

沖アナ)適度に町もあって自然もあって…
山崎アナ)そうそう週末に(自然豊かな所に)いけるぐらいの感じ

早川)自治体の「移住定住サイト」に「トカイナカ」という言葉がよく登場するが、(私たち福岡県民の場合)福岡市に住んで、「週末に車で1時間ほど走れば糸島市やうきは市に楽々遊びに行ける」という生活様式が頭にあるが、
地方を知らない東京の人たちはそのあたりピンとこないみたいなんですよ。

山崎)それでも少子化が進んでいるので、(地方に)たくさん(移住して)来るわけではない。その層が増えないと…

地方の首長の大きな決断
早川)その通りなんですよ。少子化が解決しないと「パイの奪い合い」、「東京と地方の人の取り合い」で終わってしまう。それを理由に移住定住の施策に取り組まない市町村長さんも実際にいらっしゃいます。
一方で日本初の政府の総合少子化対策「エンゼルプラン」が始まって30年
合計特殊出生率の低下、出生数の減少に歯止めがかからない。そんな中
「もう政府の対策の結果を待っていられない、待っているうちに自分の町が消えてしまう」と考えて「東京よりも田舎のうちの方が子育て環境はいいですよ」と地方移住定住を呼びかける市町村長さんもたくさんいる。
ここは各市町村長の自分たちの自治体の未来を決める大きな決断だと思う。

石破総理への期待
沖アナ)自治体・政府それぞれやるべきことがありますね。
早川)政府に何を求めるか高橋理事長に聞きました。
高橋理事長)石破茂総理が初代の「まちひとしごと創生本部」、地方創生担当大臣で、何回か私もお会いして意見交換もしています。その石破さんが
総理になるにあたって「地方創生の取り組みをもう10年ぐらいやりたい」と、それから「交付金を倍増したい」とか、いくつか目新しいこと言っていただいているんで大いに期待していますし、その実行部隊を私どもがやらせていただきたいという風に思っています。

「ふるさと回帰支援センター」が入る東京交通会館(東京・有楽町)

★自民党と野党第1党が共に力をいれる政策
早川)今年は第2次安倍政権が「地方創生」を打ち出して10年。東京一極集中に歯止めをかけて、地方の人口減少を食い止めようと、これまで約1兆3000億円を投じたが、今年6月に政府がまとめた報告書では「大きな流れを変えるに至っていない」と結論づけている。

沖アナ)石破総理って初代の地方創生担当大臣なんですね。早川)そう。これは「地方移住009 読んでみた各政党の衆院選の公約」に書いたのですが、先月の衆院選の選挙公約で、地方移住の位置づけの高さは石破総裁率いる自民党がダントツで他党を圧倒している。


早川)ただ野党第1党の立憲民主党も、大きな約束の中に「地方回帰の加速」という文言が入れるなど熱心で、与党と野党第1党が連携して取り組める政策課題だという点には期待をもっています。

★必要な「地道な活動」の継続
高橋理事長のNPO「ふるさと回帰支援センター」がやっているのは、
全ての都道府県の出身者がいる東京で、例えば福岡県にルーツがあったり
友人がいたりする人に「移住先の福岡の魅力を伝える」常設窓口での相談や、年間600回を超す「移住検討者向けのセミナー」開催という地道な活動です。でもこういう活動にもっと多くの市町村が参加していけば、地方への移住者は増えていくと思います。

沖アナ)以上、「ニュースふかぼり」でした。 

KBCラジオ第2スタジオにてコメント中(8月撮影)


長文となりました。最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた。  

 
 
 
 
 
 
 


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早川 裕章
フリーランスとして活動しています。新人のフリーランスとして、いただいたサポートは生活している福岡市ら各地に取材に伺う際の旅費・宿泊費に使わせていただきます!