地方移住note003 空港は都心から4km コンパクトシティ福岡市を再検証
リニューアル工事佳境の福岡空港
写真は福岡空港の滑走路と国際線ターミナルビル。今年(2024年)5月上旬に
国内線ターミナル4階の展望デッキから撮影しました。中央のタワマンのような建物は来年(2025)年春ごろ完成予定の新しい管制塔です。
高さは94.2m。福岡空港に2本目の滑走路が造られることに伴い、空港全体を見渡せる管制塔が必要になったらようで建設が進んでいます。
市民が日常づかいできる空港へ
福岡空港はいま10年以上かけてのリニューアル工事が佳境を迎えています。私は最近まで福岡で交通の担当記者をしていましたが、福岡空港はこれからターミナルビルの増改築も予定されていて、空港の利用者だけでなく、福岡都市圏に暮らす人たちが「日常づかい」する場所にもなっていきそうです。東京から離れた地方に移住する皆さんにとって地元の空港の使い勝手の良さはとても重要です。既に及第点の域にありますが、もっと良くなる。このブログでも幾度となく登場する予定ですが「福岡移住」を検討されている皆さんは空港のリニューアル情報をお見逃しなく。
コンパクトシティ福岡市を空港で検証
さて、きょうはこのブログの2つのシリーズのもうひとつ。福岡県を中心とした九州・山口の移住先としての魅力です。福岡県の県庁所在地・福岡市はよく「コンパクトシティ」と呼ばれますが、「どれくらいコンパクトな街なのか」空港と都心の距離・移動にかかる時間を東京と比較しようと改めて街を歩きました。
福岡空港VS羽田空港
比較する福岡県側の空港は、福岡市博多区にある福岡国際空港(以下福岡空港)。国際線・国内線あわせて49路線が就航し、年間約2500万人が利用する(2023年度実績・空港を運営するFIAC福岡国際空港株式会社ウェブサイト)
国内屈指の空港です。
東京側は大田区にある東京国際空港・通称羽田空港。こちらは国際線・国内線合わせて年間約8000万人が利用する(2023年度実績・日本空港ビルディング) 利用客数では不動の日本一を誇る「首都東京の空の表玄関」。私も出張や趣味・単身赴任時の帰省などで100回以上利用している「愛するエアポート」です。
複雑な過去をもつ福岡空港
福岡市の都心天神の東南東わずか約4knの距離にある福岡空港の歴史は複雑です。
今から79年前の太平洋戦争末期の1945年の春。旧日本陸軍が沖縄戦への備えや特攻隊の中継基地として130人以上の地権者を強制退去させて突貫工事で開港させた「席田(むしろだ)飛行場」が今の空港の原型です。終戦の3か月後には当時日本を占領していた米空軍が接収し「米軍板付(いたづけ)基地」として使用を開始。昭和26年に基地の一部を使って民間機が就航します。
国管理の「福岡空港」になったのは半世紀ほど前
1972(昭和47)年私が8歳の時に板付基地は日本に返還され、空港の近く糟屋郡志免町に住んでいた私の周りで「板付空港」と呼ばれていた飛行場は国が管理する民間空港「福岡空港」となりました。
2度の強制接収、その後の航空機騒音問題など福岡空港は複雑な歴史を抱えたまま今に至ります。
都心から保安検査場までの時間を実測
そんな福岡市の都心・天神に近いとされる福岡空港。実際に天神のオフィスから何分で着くのか時間を測ってみました。オフィスに選んだのは2019年に竣工した「天神ビジネスセンター」。福岡市が民間と連携して進める都心の再開発プロジェクト「天神ビッグバン」で「高さ規制の緩和」が適用された第1号の高層ビルです。地上19階建て。築5年ですがまだ見た目は新築で、キラキラ光っています。
このビルの2階オフィスロビー(本当は高層階から図りたかったのですが、セキュリティ面で断念…)から福岡市地下鉄空港線天神駅のロビーまではエスカレーターを使って6分。
福岡空港駅までの乗車時間は表のとおり乗り換えなしの11分。
空港駅ホームから3フロア上の2階にある出発保安検査場(南)まで4分。
合わせると21分です。
データイムでも天神~福岡空港の地下鉄が7~8分おきに運行されていることや駅から遠い出発保安検査場(北)までは(南)からさらに4分かかることを考えると天神ビジネスセンターのオフィスから出発検査場の所要時間は、地下鉄乗り遅れのリスクまでみても40分あれば十分かと思います。
ターミナルの利便性が劇的に向上
羽田空港から都心への移動のように乗り換えは必要なく、ビルと地下鉄天神駅が地下で直結しているので「傘要らず」。
この短時間アクセスが可能になったのは、空港が元々コンパクトであることに加えで、国内線ターミナルビルのリニューアルが4年前に終わり、地下鉄駅から出発保安検査場までの時間が大幅に短縮されたことによります。
地下鉄の改札フロアからはエレベーターだけでなく出発ロビーがある2階、到着口がある1階にそれぞれ直行するエスカレーターが利用客を運び上げています。
出発保安検査場には、今年に入って羽田空港のようにノートパソコンやのみかけのペットボトルをバッグから出さずに手荷物を検査できるスマートレーンが導入され、手荷物検査場から搭乗口までも時間短縮が図られていることを付け加えておきます。
丸ビル→羽田空港の所要時間は福岡の約3倍
一方、東京の都心を象徴する建物で、私が上京すると必ず立ち寄る大好きな建物「丸の内ビル(丸ビル)」から羽田空港国内線までは、ビル正面にある東京駅からJR山手線・京浜東北線と東京モノレールを乗り継いで、最速でも29分(早川調べ)。福岡空港-天神間より約3倍、20分前後に余計に時間がかかります。
「丸ビル」が天神ビジネスセンタービルより大きく、地下鉄天神駅(ホーム2本)よりJR東京駅(ホーム28本)の方が広く駅に入ってから乗車するまでの時間がかかること。
福岡より広い羽田の空港ターミナルビル内の移動時間を考えると「丸ビル」のロビーから出発保安検査場までの時間は果たして何分みておく必要があるでしょうか。今後上京する際に実測してみようかと思っています。
福岡空港も羽田空港もいずれの移動も傘は要りませんが、通勤通学の時間帯以外はストレスなく乗ることができる福岡市の地下鉄に対し、羽田空港は一日中混雑しているようなJR浜松町駅での乗り換えも必要で、空港での手荷物検査が終わるまで気が抜けないのは私だけでしょうか?
福岡市や福岡県の発展を支えている福岡国際空港の現代史は、レギュラーコメンテーターを務めているKBCラジオ「アサデス。ラジオ」で不定期シリーズ「福岡県150年の旅 福岡・空港物語」としてオンエアを続けています。
きょう9月13日にも「空港物語⑦『芦屋』か『板付』か?『福岡空港』争奪戦」をオンエアしました。KBCラジオポッドキャストステーションでお聴きになれますのでお時間のある時にお聴きになってください。
長くなりましたので車移動の比較は次号とさせてください。それではまた。
フリーランスとして活動しています。新人のフリーランスとして、いただいたサポートは生活している福岡市ら各地に取材に伺う際の旅費・宿泊費に使わせていただきます!