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【感想】NHK 歴史探偵「オッス!おら三蔵 西遊記の世界」を視聴しました

2023年5月17日(水)22:00~22:44、歴史探偵「オッス!おら三蔵 西遊記の世界」を視聴しました。

<始まる前に>
「西遊記」といえば、昔テレビでやっていた夏目雅子さん、堺正章さんの「西遊記」でしょう。
私は見たことありませんけど。

<NHKのあらすじ>
「西遊記」は、唐の時代の僧・玄奘がモデル。
往復で約3万キロという天竺(インド)への旅を調査。
後半は、玄奘の実録がどうやって3人の妖怪を従えた話に変化したのか調査

■オッス!おら三蔵 西遊記の世界

■スタジオで
佐藤所長「堺正章さん、岸辺ジローさん、西田敏行さん、よく見てたね」
西遊記は、三蔵法師が仏に導かれて天竺にお経を取りに行く物語です。
三蔵法師のモデル、玄奘という僧侶で、身長180cmあり大柄だったと想像できます。
往復の旅の距離が3万キロ、どんな旅立ったのでしょうか。

■玄奘 3万キロの旅臨済宗興聖寺

京都・臨済宗興聖寺へ
「経箱」お経を納めた箱、5000巻近くが保管されています。
「大唐西域記写本」世界最古、奈良時代の写本です。
新疆ウイグル自治区にクチャとして地名が残る屈支國は、黄金、銅、素直で穏やかな人たちとか細かく書かれています。
玄奘の旅のルート以外も含め138か国が記されています。
なぜ玄奘は壮大な旅に出ることを決意したのでしょうか。
以前から仏教の教えは入ってきていましたが、玄奘が考える本当に大切な仏教の教えは入っていませんでした。
大阪の藤田美術館へ
「国宝玄奘三蔵絵」です。
627年、玄奘は国禁を犯した前途多難の旅、西域へと向かいます。
・石田楓さん(藤田美術館)
旅を成功させた秘訣があると。
高昌国へたどり着くと、国王からこの地にとどまるよう請われます。
断食をして旅を続けたいと訴えると、感動した国王が支援して玄奘を送り出したのです。

■玄奘 謎のルート

その後、玄奘は不思議なルートを取ります。
南下するのが最も近いはずなのに、北上、天山山脈を越えているのです。
スイヤブという町へ向かいました。
山梨へ
帝京大学文化財研究所
・山内和也さん
スイヤブ、キルギス共和国にあるアク・べシム遺跡を発掘しています。
1000年以上前の建物や道路の後、様々な発見がありました。
スイヤブは、小麦、粟が登場する、東西の世界の接点でした。
なぜ遠回りをしてスイヤブを目指したのかは、コインにヒントがあります。
ソグド人は東西交易の担い手でした。
まさしくスイヤブという所で西突厥の国王がいたらしいのです。
西突厥は遊牧民族の国で、インドの北まで及んでいました。
西突厥の王に面会するため、スイヤブに行ったと見られます。
王様は春にここにいると聞き、この時期にどうしても到達したかったから無理を重ねて天山山脈を越えることを決意したとみられます。
仏教の教えを説き、旅の支援を得たのです。
「情熱が人を動かす、重要な点だと考えます」
足掛け4年で天竺に到着、ナーランダ寺院で5年間学び、仏教に精通したといいます。
17年後に多くの仏典を携えて中国に帰国、皇帝に大歓迎されました。

■スタジオで
夢枕獏さん「玄奘が大好きで、旅した場所を訪ねて中国国内はほぼ行きました」
佐藤所長「命がけじゃないですか」
夢枕獏さん「ハートの強い、信念のあって、知的な物への飢えを満たすには天竺にいって勉強するしかない」
ところで、玄奘、中国に帰った後、何をしていたでしょうか。
答えは、お経の翻訳です。
「玄奘三蔵絵」657種類、22頭の馬に乗せて帰ってきました。

■玄奘 驚きの翻訳事業

薬師寺(奈良)
「玄奘三蔵像」手に持つ貝葉経はサンスクリット語で書かれたお経です。
「大般若経」600巻、文字数で480万字に上ります。
3年10か月で8000文字を2日半で訳す驚異的なスピードです。
・船山徹さん(京都大学)
「約場」という翻訳センターに注目しました。
流れ作業で翻訳してスピードを上げました。
訳場の作業を再現してみました。
般若心経の冒頭部分を5つの役割で勧めます。
➀訳主(玄奘)サンスクリット語の原典を読み上げます。
➁書字が似た漢字に変換します。
➂筆受は同じ意味の漢字に玄奘の指示で変換します。
➃綴文は中国語の語順に並べ替えます。
➄潤文官が語句を補います。原典にはない言葉を添えました。
救済的意味合い「すべての苦しみから人々を向こう岸に渡してあげた」を付けたのです。
大雁塔がありますが、業績は人々の記憶から消えていきました。
ところが数百年後意外な姿で人々の前に現われます、それが西遊記です。

■伝説から誕生 西遊記

広島市立中央図書館
「新刻出像官板大字西遊記」中国明の時代に出版されたものです。
孫悟空、猪八戒、沙悟浄、玄奘描かれ方は史実と違うようです。
水を飲んだ玄奘が妊娠 女人国という女性しかいない国での物語です。
牛魔王という妖怪と戦う孫悟空と猪八戒、珍道中といった奇想天外な物語に変わっています。
大倉集古館
・磯部彰さん
「大唐三蔵取経詩話」西遊記の先祖の本です。
南宋の時代に出版されました。
内容は、旅の物語、大まかな流れは史実にあっています。
鶏足山大唐西遊記でも記された地名です。
しかし、フィクションの要素が加わっていて、猴行者という猿の修行者、女人国も描かれています。
「山海経」にも伝承が加わっているのです。
「民間伝承を入れて初めて形にし、引いたり足したりして、だんだん増えていきます」
全100話、400年の間にいったい何があったのか。

■中国福建省へ

福建省・南平市
・呉剛さん
書き手は、科挙を受けるために猛勉強した秀才たちです。
牛魔王は、もともとはチベット仏教に由来するキャラクターです。
元の時代に中国に広がり定着したといいいます。
「この地域の出版業の功績は、文化を大衆向けにしたことです」

■玄奘 翻訳に捧げた後半生

■スタジオで
佐藤所長「スケールが大きいですよね」
夢枕獏「本当にすごいのは、帰ってきてから残りの一生を教典を翻訳することに捧げたことです」「いま僕らがやっていることと同じで、キャラクターは意図を越えて動き出すことがあります」
「その都度人生観のようなものが紛れ込んだりしています」
孫悟空、沙悟浄、猪八戒いつごろ加わったのでしょうか。

■中国で調査! 孫悟空

福建省・福州市へ
サルの神様?大きな孫悟空像など、福州市にはお堂が700以上あるといいます。
斉天大聖です。
斉天大聖とは孫悟空の別名です。
斉天大聖の起源らしきものが見つかったという情報をキャッチ。
猿がお祀りされていました。
1000年前、お墓の形で斉天大聖を祀ったものです。
農作物の被害を少なくするため、収穫の時期に猿にお供えを与えていました。

■アメ横で調査!猪八戒

続いて、猪八戒です。
摩利支天とは?
アメ横に
摩利支天徳大寺へ
御本尊を見ると、開運大摩利支尊天像です。
現地の言葉でマリーチ、戦いの神として信仰を集めています。
イノシシの背中の上に乗られています。
目にも留まらぬスピードで力を授けていただける動物の象徴として猪になりました。
インドでは豚でしたが、日本に伝わったときイノシシになりました。
・磯部彰さん
「孫悟空は正義に対し、猪八戒は俗物という悪者のキャラクターです」

■意外な?沙悟浄のルーツ

玄奘三蔵絵に沙悟浄の起源と思しき大神という神様がいます。
後に深沙神になると推測されて、西遊記の沙悟浄に変化していきます。
ところが、明の時代には三番手に転落、格下げになりました。
日本では、なぜか河童に大変身します。
曲亭馬琴(滝沢馬琴)が鵜悟淨を創作、その姿はもはや河童です。

■スタジオで
佐藤所長「沙悟浄、神様からかっぱとは大胆な変身です」
夢枕獏「玄奘の情熱が重低音のように響いています」

ーーーおわりーーー

次回は「天草四郎と島原の乱」5月24日(水)放送です。

■感想

番組の内容は、ふーんそうなんだ、程度でしたが、史実が独り歩きして膨れ上がるというのは、中国も、日本も同じなんだなあ、という感想です。
知識が少ないので一概に言えないのですが、欧米に比べて東洋はその傾向が強く出るように思います。
普通は英雄に祭り上げられるのですよね。
西遊記の場合は、玄奘という人物が英雄化されず、民間伝承でキャラクターがファンタジー化したように見えました。
欧米は政治利用によって人物が偶像化され、東洋は民間伝承でキャラが膨れ上がるという感じですかね。
歌舞伎とか小説とかみているとキャラが膨れ上がっているように感じます。
欧米も探せば同類の事例がでてくるのかもしれませんが、キャラがまともというか、現実的というか、知識がなく個人的な感想でした。

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