野性のエンジン15. “日本とインドの産業と宗教に循環をおこせ”
新幹線の中から、日印協会会長就任式でご挨拶できたペマ・ギャルポ氏に企画書ポンチ絵をメールした。3月中旬までインドに行かれるが帰国後お時間を頂けるかもしれない。もう戻れない高齢者国家日本が、現在の世界における最先端国家としてリータイ(結び直す)され、リボーン(生まれ変わる)するためには、物質的にも精神的にもそしておそらく霊的にも、世界から新しい血を流入させなければ無理だろうと感じている。
そんな考え方を与えてくれたのは、奇しくも二人のお茶関係者だった。一人は静岡東部の富士山を常時見る茶畑でオーガニック茶を栽培し製茶してアメリカ、ヨーロッパに輸出するK氏だ。彼は世界狭しと茶マーケット開拓にあたり、パキスタンの農業一族企業群との長年の盟約を獲得している。パキスタンは昔の日本のように大小の豪族名家が政治経済を支配。K氏の会社社長はその農業一族御曹司の若いパキスタン人だ。非常に誠実で有能で、一度K氏と彼と私でサウジアラビア大使館でプレゼンをやった戦友でもある。パキスタンの農業一族とはJ・フェデレーションとよぱれる、農畜水産業と貿易に従事する一族集団で、パキスタン国内と中東に勢力を扶植(中東では建設分野で活躍)している。このフェデレーションの話が私をインスパイアした。もしもパキスタンからこの農業部族J・フェデレーションがお茶のみならず、農畜水産産地に実習生として集団移住してくるとどうなるか。勤勉実直な人々が日本の高品質かつIT化された栽培飼育に従事した農畜水産物を彼らの家族親戚一族が日本国内で買い取り世界中に貿易するという、新しい“秦氏”の再来とならないか。イスラム教を受容する試練はあるが、時間を味方とした新しい血流が創造されるのは間違いない。
もう一人の茶関係者は、スリランカの世界的紅茶商社A社(創業100年、世界150ヶ所販売拠点)の日本代表のスリランカ人D氏だ。日本30年在住で彼のブレンドした紅茶は菊のご紋章が入り日本の国会議事堂売店で販売されている。彼に私が軽く日本国内で日本茶買付してスリランカ本国の世界的ブレンダーにブレンディングされた日本茶をA社の世界拠点でオンデマンド販売したらと話すと、一週間でスリランカ本社からOKがおりた。全く同じ方程式が成り立つ。スリランカ人の紅茶栽培熟達者を日本国内茶産地に実習生として受け入れ、増産された日本茶をA社が世界150ヶ所の拠点で販売促進するならば、強力な日本農業が復活し始めるのは確実に思われる。〘もう一つ概念のポンチ絵化をしようとしている“デジタルプラットフォーム産地化”だ。一つの地域に集中する茶生産者でなく、点在する茶生産者をデジタル産地化して、グローバルマーケットからの買付、契約を瞬時に行える構想。従来の宇治、静岡、鹿児島といったメジャー産地とは別コンセプトの“瀬戸内茶”とか“四国茶”がブランド化するかもしれない。デジタルプラットフォーム産地に強力なグローバル農業商社が付き資本、生産者、世界中の顧客を結びつける方式は、国内の全農畜水産物に可能だ。すでに農水省茶業グループにはプレゼンをしており、法的問題は無いとのことだ。〙
パキスタンとスリランカとの産業連携方程式はすべての農畜水産物産地や伝統工芸産地で成立する。ついでにというか、本命としてインドともこのような産業循環構造を模索してみたい、という思いからの日印協会アプローチだった。そこからのインテグレーテッド・ブッディズムという領域への眺望が望めた。
今、東京神保町の古瀬戸珈琲でブレンドとチーズケーキを食べながら、あらためて思う。日本をリータイし、リボーンさせるためには、日本人の中の道開きの猿田彦大神に縁する者たちと、世界随一のIT頭脳、量子力学頭脳を持ち、インテグレーテッド・ブッディズムを共有可能なインド圏との産業と宗教の循環構造を構築するしかないのだ、と。支配層でなく国民集団が導く新たなる天孫降臨により、世界中で虐げられる国民をインテグレートする太陽を打ち上げることが、今、生きている、私たちの、日本人たる任務。