クオンタム・スパイダー読書 『法力とは何か~「今空海」という衝撃』老松克博著を読む 1.
『法力とは何か』
“私は世の中のことに疎いので、X阿闍梨(正式には伝燈大阿闍梨)の存在を知ったのはさほど昔ではない。~~当時、私のところに定期的に夢分析に来ていたアナリザンド(心理分析を受けている人)からだった。彼女はいわゆるスピリチュアル系の人で、かのフィールドについて幅広い知識と関心を有していた。~~私のなかで阿闍梨の人物像にがぜんリアリティが出てきたのは、〜〜法力のエピソードを聞いた瞬間だった。それは今から四十年以上前のできごとなのだが、日本中を震撼させ、世界の耳目を引きつけた、まことに衝撃的な事件※だった。そこに政治的、軍事的な思惑が複雑に絡んでいることは容易に想像できたが~~~法力が絡んでいようとは想像だにしなかった。
〜阿闍梨の存在を知った頃、私はたまたま法力とか験力などと呼ばれるものに関心を抱いていた。というのも、トラウマ(広い意味での)を負った人たちがたどる心のプロセスを臨床的に理解するには法力に関する知見が役に立つのではないか、と考えはじめていたからである。
トラウマと法力に何の関係があるのか。〜〜トラウマを負った人たちは、時間や空間の歪みともいうべき症状に苛まれていることが多い。ところが、そこから回復していくときには、しばしば時間や空間に対する一種の超越を経験する。そこには、宗教家が厳しい行を重ねるうちに法力を身につけるプロセスと似たところがありそうに思われる。
〜〜トラウマを負った人たちが経験する時空の歪みとして、たとえば、フラッシュバックと呼ばれる厄介な症状がある。トラウマを負ったときの深刻な体験が、突然、生々しく甦ってくることを指す。~~一方、回復にあたって経験する時空の超越についてはどうか。たとえば、トラウマを負った人が治療を経て、あるいは自然に回復して、いわゆる霊能者となるようなケースが稀ならずある。霊能者とは、未来や過去と往来したり、遠く隔てられた場所のできごとを見聞きしたりできるとされている人のことである。この種の時空の超越にまつわる経験は、それ以前にあった時空の歪みを土台として可能になったものと考えられる。~~私はX阿闍梨の法力のことを詳しく知りたくなった。~~”
※1976年9月6日、ヴィクトル・ベレンコ中尉が当時ソ連の最新戦闘機だったミグ25に搭乗、アメリカ合衆国ヘの政治的亡命目的で、日本の函館空港に強制着陸した事件。(早瀬注)
■画像はヤフー法力画像、ベレンコ中尉画像、好奇心画像、密教画像より。