私たちは内海だから
私たちはいつも
ああ あの日々は遠く去ってしまったとか
ああ もう道が狭く暗くなり始めたとか
そんなふうに私たちは感情に染まりしぼんでゆく
しかし気づいたことによると
私たちは還流している川のようなもので
私たちは湖のようにまだ全てを蓄えている
すでにが未だに 未だにがいよいよに
だからあの日々あの時間あの人々は
つねに私たちの中に共にまだこれからもずっといっしょだ
私たちは内海だから
私たち一人一人が花のように繰り返し繰り返し萌えいずる
■画像は“殺しの書”、ヴェニスの公文書保管所。ナショナルジオグラフィックより。