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本とその不確かな表紙2.
そろそろその本に一番乗りした読者達からの感情波、意識揺らぎのようなものが電塵世界にちらほらし始めている。村上春樹氏も当然のごとく老いておられ、どこかその面影に神戸や東京でなく京都的な相を感じる。能面のような力というか。作品中の文章などが少しづつ流出し、次から次へと物語量子がもつれ始めている。しかし今回の場合、『騎士団長殺し』とは明らかに異なることは、大断層が世界に現れてしまっていることかもしれない。作家という存在、しかも世界的読者層を持つ作家とはすでに技巧をはるかに超えた予言者、シャーマンの力を無自覚にあらわしていると思われる。『騎士団長殺し』における雨と晴れとの境界線にたつ家なども、ある種の黙示録的な意味を今は感じてしまう。あのときからすべてが激甚に変わってしまい、すべての人間が生者死者を問わず内部に境界を持たされてしまったことを。