理想的な誕生日の過ごし方

目を覚ましたのは7時台だった。

僕が生まれたのは9時15分だ。

生まれた時刻まで布団の中にいよう。

生まれたままの格好で。

布団を出るとLINEやFBのメッセージの雨あられ。

返せるだけ返して10時に山岳旅館いとうを出た。

山岳博物館まで送ってもらって見学をした。

1Fのカフェで玄米珈琲とおやきを食した。

付属園のライチョウやニホンシカに会ってから、鷹狩山に登った。

その時バックパックを付属園に置いて来た。

鷹狩山は1116mくらいあった。

頂上のレストランでソースカツ丼を食した。

展望台の奥にアースバックのような建物があった。

流線型の壁をしていて、窓から中を覗き込むとそこはまるで異空間だった。

玄関は厚いベニヤ板で覆われていて、裏口も南京錠が掛けてあった。

事件の匂いがプンプンした。

山を降りるとパトカーが停まっていた。

僕が付属園に行くと警官が話しかけて来た。

バックパックが放置されていたので通報が入ったらしい。

小一時間取り調べを受けてからやっと釈放された。

オチコチビレッジへ向かったが休業日だった。

大糸線で穂高へ行った。

イラムカラプテに電話をして今日から住みたいと言ったら怒られた。

仕方なく松本まで行って、松屋で特盛生卵野菜セット豚汁変更を平らげた。

裏路地で一服しているとお姉さんに声をかけられた。

マッサージを受けてその店で寝ることになった。

ママに酒とケーキを買って来てもらった。

ベッドで横になりながらこの文章を書いている。

こんな30歳の誕生日を誰が想像しただろうか。

いな、私が創造したのである。

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