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未来のための、小さくて大きな、はじめの1歩だと思った

ここ最近、ずっと筑波大学蹴球部(サッカー部)・女子サッカー部が地域と作ってきたグラスルーツの環境について書いてきました。


振り返るとこれまでいろんな出来事があって、その多くで「嬉しいなあ」「ありがたいなあ」「素敵だなあ」と思ってきました。

そんな話をひとつ。

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2018年の夏か秋だった気がする。

僕がコーチをする大学生チームの練習が始まる10分ほど前、ある1年生が声をかけてくれた。


「あの、隼さん」

「ん?」

「この前、竹園東、初めて行ったんですよ。○○さんに連れて行ってもらって。」


竹園東というのは、僕が大学1年生の時から学生コーチとして所属している竹園東FCのことだ。

そして彼も竹園東FCのコーチだった。

入学して、蹴球部に入ってしばらくした頃に先輩に誘われて加入していたのだ。


そんな彼が、このあいだ初めて小学校のグランドに行って、子供たちとサッカーをしたという。


「…おお!そうか!」

次にくる言葉を予想することもなく、ただ単純な受け答えだった。

できるだけ早く、馴染んでくれたら嬉しいなあ。それくらい。


だけど、その次に彼が発した言葉が今でも印象に強く残っている。

「おれ、なんかやっていけそうです。竹園東で。多分、大丈夫です。楽しくやれそうです。良かったとおもいます、竹園東で。」


少し照れたように微笑みながら、素直な口調でそう話し、

「じゃ」とアップを始める彼を見ながら、いろんなことを思い浮かべる。


一緒に連れて行った先輩が子どもたちとうまくやっていたんだろうな

子どもたちがかわいい笑顔を彼にみせてくれたんだろうな

子どもたちのお父さんお母さんが、和やかな雰囲気を作って彼やほかの学生コーチに接してくれたんだろうな

そして彼がそういうものを、「良いな」って思ってくれたってことだよな

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子どもたちやクラブと出会った彼が、前向きな気持ちを抱いてくれたことに胸が熱くなったことを覚えている。

この先きっと、このクラブのことがもっと好きになるから。

子どもたちのために力を注いだり、かっこいいところを見せようって思うようになるから。


ああ、こういうことか。

「続いていく」とか「繋がっていく」って。

「いま、繋がったのかもしれない」って、そんな風に思った。


未来のための、小さくて大きな、はじめの一歩だと思った。




1年生の時、チームで「泣き虫」なんてあだ名をつけられていた彼もこの春で3年生。もう大学でも上級生になる。

そのうち今度は、彼が1年生を小学校のグランドに連れて行ったりするのかもしれない。

そしてきっと、自分が好きなこのクラブの素敵なところを、たくさん伝えてくれるに違いない。


あとは任せたよ。みんなでしっかり繋いでいってくれよな。


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板谷隼(Hayabusa Itaya)
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