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ロクヨンの重連、2025年ダイヤ改正に散る

毎年恒例のJRダイヤ改正。時に新しい列車が誕生したり、今まで親しまれた列車が消えたり… 鉄オタからしてみれば、出会いと別れの掛け持ちとも言えます。
しかし、2025年のJR貨物ダイヤ改正は衝撃的な内容でした。国鉄型電気機関車の存続が本格的に危ぶまれることになってしまったのです。
今回はそんな準絶滅危惧種の一つ、EF64のことについて触れていきます。

①そもそもEF64って?

EF64型電気機関車(通称ロクヨン)とは、1964年に開発された国鉄の電気機関車で、現役の国鉄型車両の中でも古い部類の車両です。初期に作られた0番代(現在は37号機を除き全廃)と1980年代に製造された1000番台(今回特集する車両)が存在し、このうちJR貨物が所有している車両は全て1000番台です。主に東海地区(中央西線など)や中国地方(伯備線など)で活躍しています。2025年2月現在、重連運用(機関車を2両繋げて協調運転すること)は中央西線の8081レー8084レの一往復しか存在しません。
大量のタンク貨車を2両のロクヨンで牽引するという迫力ある光景は、中央西線でしか見られないのです。

EF64の重連。機関車の連結面もなかなか趣がある。

②今回の改正って何がやばいの?(本題)

今年の改正内容(JR貨物)を簡単にまとめると以下のようになります。
・コンテナ列車の設定
・新規電気機関車の製造
・コンテナ輸送のリードタイム短縮
・EF64の重連運用の消滅
・EF65の定期運用の消滅
・EF66の運用激減
こう見ると、EF64(ロクヨン)、EF65(ロクゴー)、EF66(ロクロクor サメ)といった国鉄型に括られている電気機関車の運用が徹底的に減らされているのがわかります。どの車両も製造から40年くらいは経っているわけですから、老朽化が目立っているのは致し方ないことです。しかしこうもかなり顕著な形での運用削減がされてしまうと、国鉄電機が好きな鉄オタとすれば危機感を感じてしまいます。
なお、ロクヨンの運用自体が完全に消えるわけではないのでそこはご安心ください。(北長野発着のコンテナ列車や東海・中国地方での運用はまだ継続)
…さて、この改正が何を意味しているか、勘の良い人はお気づきでしょう。
そう、実質的な「EF64の余命宣告」です。
これについてはのちに解説します。
長い間、石油貨物輸送を担ってきた中央西線の象徴が、消えようとしているのです。

③余命宣告されたロクヨン

先ほど、実質的な余命宣告という話をしました。
まずは下の画像を見てください。

ロクヨン(1034号機)側面部の表記類。

写真左下に、「31−4 大宮車」という表記があるのが見えます。これは全般検査(電気機関車の場合は8年に一度受ける)を受けたという証拠で、「平成31年の4月に大宮総合車両センターで全般検査を受けた」という意味になります。
…しかし、このロクヨンの全般検査は、2022年の2月に行われた、1046号機の検査を以て終了となってしまいました(実際に全検出場直後の1046号機には、「祝最終全検」のヘッドマークが取り付けられていた)。
つまり、残るロクヨンたちは次の検査までに引退してしまうことになるんです。
写真の1034号機の場合、平成31年が2019年なので、休車等で検査期限を延長しない限り(少しでも長く使うためによく行われるやり方。第一種休車のため最大3〜4年までしかできない。おそらくこの1034号機も対象)、最低でも2027年には本線を走れなくなるんです。特に、JR貨物更新色のロクヨンは検査を受けたのが平成29年(2017年)なので、最低でも2025年… もはや風前の灯火です。

JR貨物更新色の1027号機。通称は「牛乳パック」。

④まとめ

突然の重連消滅宣言を知り、急遽この記事を書きました。
小学生の頃はたまに見る程度だった重連ですが、だんだんとその迫力あるオーラに圧倒され、最近は見に行かない年がないぐらいでした(筆者が中学生の時には、8087レ(8467レ)という土曜日の朝だけに重連のみで走る列車があり、よく見に行ってました。とある駅での停車時間が長く、撮影もしやすかった記憶があります。元旦には4重連というとんでもないのが来たり、なかなか特徴のある列車でした)。
しかし気がついたら、重連というモノ自体が珍しくなっていることに気づきました。やはり見る頻度が多いと、そのモノの貴重さには気づけないモノなんですね…
(実は8084レも8087レも本来は臨時列車なのですが、運転する日がはっきりわかっていたのであまりその概念を感じない列車でもありました)

8084レと特急しなの81号との並び。臨時列車同士の離合というちょっと珍しい光景。
(この白馬行きしなの81号も、廃止疑惑が浮上しています)


今、ロクヨンを含む国鉄型電機機関車たちが岐路に立たされていると感じます。すでに引退していてもおかしくない年になっているからです。鉄道車両は40年生きれば長生きと言われていますが、もうそのほとんどが超えている、あるいはかなり近い状況となっているのも現状です。数年も経てば、ロクヨンが全て消えている…という未来もあるかもしれません。重連に関しても、相当な牽引力を必要とする列車が今後誕生しない限り、見る機会はほとんどないと思われます。
この記事が公開されるであろう2月後半には、きっと撮りに来る人も多くなっていると思います。荒れないうちに、早めの記録をお勧めします。
終わりの報せというのは、案外急に届くものですから。

ロクヨンを置き換える(?)と予想されるEH200型電気機関車。



※かなり急ピッチで書いた記事なので多少抜けてるところなどあると思いますがお許しださい。

見ていただきありがとうございました。

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