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信州ダービープレビュー~欲しいのは勝利のみ~

■ダービー以降と直近成績

・松本山雅

勝ち点43 12勝11敗7分け 45得点40失点

山雅に関しては読んでくださってる多くの方はご存じだとは思うが、復習の意味も込めてダービーからここまでを振り返る。

天皇杯、アウェイのリーグ戦と宿敵相手に連敗し、その後の鹿児島戦も敗戦。厳しい状況に追い込まれたが、滝の好調などもあってそこから今季唯一の3連勝。その間に長野とも順位が入れ替わる。

そこから夏場は再び黒星が先行するようになり、苦しい期間を過ごすこととなったが、安永、野澤、山口らの新戦力も交えながら9月以降は徐々に成績も上向きに

前節いわてに4失点と大敗を喫したが直近5試合の成績は3勝1敗1分け(6得点6失点)。当初よりも勝ち点を意識した戦い方へシフトしているのが功を奏してか、手堅い勝利が増えてきているのがここ最近の特徴。ネックとなっているのは定まらない(村越以外の)SHの人選と両SBの状態。控えを含めてどのようなチョイスをしてくるか。

・長野パルセイロ

勝ち点38 10勝12敗8分け 38得点48失点

ダービーで連勝して首位浮上&天皇杯本選出場。最高の流れを掴んだ長野だったが、その後のリーグ戦ではダービーのような激しいプレスや速攻が鳴りを潜めてまさかの失速。4連敗を含む9戦勝ちなし(3分け6敗)と長いトンネルが続き、順位も15位まで落としてしまう。

久々の勝利となった相模原や上位の鹿児島に勝ち星をあげたものの、岐阜に5失点大敗、奈良にも複数失点での敗戦と苦しい時期を抜け出せずに8月末にはシュタルフ監督が解任。その後任には8月頭までFC今治の監督だった髙木理己氏が就任する。

就任後は初戦からいきなり首位の愛媛と強敵との対戦となったが、内容面で圧倒してドロー発進。その後の5戦(=直近の5戦でもある)では2勝1敗1分け(7得点6失点)、しかも敗戦を喫したのも開始12分でCB大野が退場した今治戦のみと復調を見せている(詳細は後述)。

2位と勝ち点差13の15位と逆転昇格はかなり難しくなっているが、山雅との勝ち点差は5でその差を埋めるには絶好のチャンス。今季3度目のダービーで歴史的な"3タテ"を狙う。

■監督交代による変化は?

・成績面

解任の妥当性については内部事情などもあるので

興味のある方はこちらを読んでいただけると……(ステマじゃないです)

ひとまず1他サポの個人的な見解と客観的なデータから考えると「昇格を考えるならば」致し方ない選択だったように思う。順位や勝ち点差からするとむしろ"ギリギリまで我慢した"と言ってもいいかもしれない。

進や山本らFWの怪我人や十分なサポート体制があったかなど擁護の余地はあったものの、解任された24節までに8勝11敗5分け(平均勝ち点1.20)。特に山雅戦での勝利後は14戦で2勝9敗3分け(平均勝ち点0.64)。

その後、髙木監督の就任によって2勝3分1敗(平均勝ち点1.5)。守備が崩壊する試合も無くなり、ひとまず成績は経ち直した。大逆転昇格には物足りない数字なのは否めないが、今年のJ3は解任が多発している中で、成績的には監督交代で好転した側のクラブと言っていい。

ただし、これはまだ6節の成績。
就任時に『まずは少なくとも松本(現在10位)より上にいって、まず長野にいる方々を安心させて、そこから昇っていきたい』というコメントが出ているように、山雅より上の成績を収めることが1つの目標となっていることや前任が信州ダービーで連勝していることで、この1戦の勝敗によってこの風向きも大きく変わる可能性がある。勝てば勝ち点差2、負ければ勝ち点差8。髙木監督にとっても命運を分ける1戦となる。

・スタイルの変化

監督交代によって「スタイルそのものが変わる(やり方を変える)クラブ」、「本来目指していたスタイルから外れてしまっていたのを戻すクラブ」があるが、長野の監督交代は完全に後者

S級ライセンス同期のシュタルフ前監督の志向していたスタイルをベースにして、10節(信州ダービー)までの首位争いをしていた本来の姿へと押し戻し出している。山雅的には前半戦で完敗を喫した長野の姿に近いのでより前回と変わらない印象を受けるだろう。

以前と変わったのは、「プレスの網のかけ方、奪い方を緻密に計算・要求していた」前体制に比べて現体制では「よりシンプルに"前からアグレッシブに"の意識を強くした」点。

シュタルフ前監督山雅の"堅守"の考え方にも近いが、その戦術を体現できなかったり、そこで奪いきれなければリスクが大きくなってくる。シュタルフ体制末期には前線の矢印が定まらず、中盤より後ろでも奪えず、同じような形での失点を繰り返して大敗してしまうという悪循環が生じていたので、そこの基準を下げて、その分全体の運動量でカバーすることで一体感を取り戻したように感じる。

・メンバーの変化

そして、もう1つの変化はメンバー選考がリセットされ再競争が生まれた点。

その象徴となっているのがユース出身で10番の山中麗央。前体制では前線に怪我人が出ていた中でも先発0だったが、新体制ではここ4試合全て1トップで先発しており、富山戦でハットトリックも達成。168cmと小柄だが得点感覚とシュートセンスに優れ、一瞬の隙で決め切る力がある。小松とのユース出身ストライカー対決は注目。

ボランチでは宮阪、加藤ら経験豊富なベテラン勢を差し置いて、前体制で先発2試合(しかもどちらも右WB)だった原田虹輝が新体制では全試合ボランチで先発中。鳥取時代には髙木監督の下でプレーしていたが、川崎からの武者修行3年目でついに花開きつつある。"大島遼太に近い"と期待され続けてきて狭いエリアでもパスやドリブルでの打開できる力を持っている。

相方には前体制で複数ポジションで試されていた西村がボランチとして定着。ともに川崎、清水からの期限付き移籍中の選手となっており、若さと高いポテンシャルを持っている選手が並ぶ可能性大。

他には、右WBでは前体制ではたまに先発に起用されても定着しきれていなかった音泉が6試合全てに先発と定着。CBは中央で大野が起用されていたが、今治戦での一発退場からポジションを奪われてしまっている。元山雅勢は全体的に厳しい立場になっているがダービーにむけて"抜擢"はあるか?

■試合展望

さて、松本山雅vs長野パルセイロというところで着目すると、ここ2年での90分での成績は1勝1敗3分け(天皇杯を含む)。点数を見ても0-0、0-0、2-1、1-1、2-1と全て1点差以内での決着となっており、ロースコア展開になりがち。

立ち上がりはどちらも先制点を狙いつつも、リスクをとった攻撃は抑え、守備はタイトにぶつかりあうので得点は動きにくい。その中で試合が動く確率が高くなってくるのは"セットプレー"。昨年のホームでは篠原のシュートのこぼれを横山が、今年の天皇杯でも野々村が、それぞれセットプレーで得点を決めており、アルウィンでは1つの大きな武器となる。長野は今年セットプレーでの失点が12と非常に多くなっているので狙い目。

さらに長野は昨年から左サイドでの分厚い攻撃は1つのストロングとなっている。その要因の1つとなっているのが左CB杉井の攻撃参加。左WGの森川とともに高い攻撃性能を誇り、受け渡しもスムーズな受け渡しが必須となる。山雅の右サイドは藤谷を始め、仕掛けのポイントになることが多く、逆に狙いどころにされることもある。どちらがこちら(山雅にとっての右)サイドで高い位置を取れるかは注目ポイント。

「総力戦」いう点では課題であるベンチ構成も気になるところ。
お互い"死ぬ気で"勝ちに行くと言いつつも、人間同士の戦いなので当然消耗はある。もしかするといつも以上に大きくなるかもしれない。その時に12人目以降の選手が誰になるか?どのようにその選手たちを使っていくか?は重要。昨年天皇杯では延長戦で新星・田中想来が劇的決勝点を決めれば、昨年のホームでも途中から投入された田中パウロ淳一、ルカオの2人の高速カウンターが試合を決めた。また、長野側も山本や宮阪、大野と元山雅勢は途中から投入される可能性が大。12人目以降の選手たちを投入した後にどのような終盤を迎えるか?はカギを握るだろう。

「ダービーは内容より結果」。
特に今年のダービーでは連敗中の山雅は、順位表的にもここでは引き分けすら許されない状況。形より結果にこだわり、何としてもアルウィンで祝杯をあげたい。

END





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