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開幕戦・沼津戦プレビュー~開幕戦をより楽しむ10のこと~

ついに山雅も25シーズンが開幕!
あの時の悔しさを晴らすためにも、J2昇格・J3優勝のためにも、良いスタートを切って幸先よくシーズンを走り抜けたい。

■予想フォーメーション

沼津は離脱者?の復帰が無ければ前節から継続と予想。
新加入は右SB・三原(→愛媛)と左WGの藤井(→東京農業大)のみで後は継続のメンバー。ベンチには川又や齋藤学が控える。

山雅は全く分からないが、システムは4-5-1が濃厚。昨年のメンバーがベースになるのでは。細かい注目点は後述。

■前節までの沼津

オフには得点トップの和田アシストトップの安在と濱の両SB攻撃でインパクトを残していた津久井や持井守護神の武者など多数の主力が引き抜かれて草刈り場になった。

対して加入は10人中6人が大卒で、経験のある選手は愛媛から加入の三原のみ。戦力の収支的には決して明るいオフとは言えなかったが、中山監督での3シーズン目となり、目指しているスタイルも明白。

前節鳥取戦では、立ち上がりから3トップが果敢にプレッシングを仕掛けて相手のミスを誘う。展開的にはやや押され気味が、1トップで起用された鈴木が倒されてPKを獲得。柳町が決めて先制するとその後は落ち着きを取り戻し、後半立ち上がりにはカウンターから同じく鈴木が起点となり、倒されながらラストパスを送ると抜け出したルーキーWG藤井がプロ初ゴール。その4分後には鳥取の5バックラインの間を抜け出した森がそのまま決め切って勝負あり。終盤は攻勢を受けるも、川又齋藤佐藤とベテラン勢がうまく締め、現役高校2年生の中野がプロデビューを果たしている。

山雅との昨年対戦は山雅側の2勝。最終戦で同スタジアムで対戦しており、後半終了間際に安永のゴラッソを喰らっての敗戦。その時のメンバーは大半は移籍しているが、井上宮脇沼田らその先も見据えて起用されたであろう面々が今年は序列を上げ、中核としてプレーしている

■個人的開幕戦注目ポイント10選

①若返ったGKの序列は?

ビクトル・村山と経験豊富なベテラン2人が抜けたGK陣。そこに21歳の西村と18歳のキムが加入したため一気に若返る。

スタメンは継続して大内の可能性が高いが、昨年は神田が開幕から抜擢されたのでそこは若干過る。2番手争いでもベンチから戦う姿勢を示していた村山の代わりとなるのは誰になるかは注目ポイント。

②最激戦区SBは誰が勝ち取る?

各ポジションを見ると、昨年から最も入れ替わりが多く、激戦区となっているのは両SB争い。樋口、山本龍が残り、J2千葉でも試合に出ていた小川、開幕戦は不在と思われていた本間もチームに残留したため、あらゆる組み合わせが考えられる。

公開されている情報では小川が右に入っているため<左:山本・樋口><右:小川・本間(・樋口)>という争いになるのではないか。

守備での戦術理解が強めに求められることを考えると本間がやや不利な争いになることが予想されるが、現在世代別代表はアジアカップの真っただ中で、モチベーションは高いはず。アピールに成功して途中からでも出場機会を掴めるか。

③多彩な選択肢のあるSHの人選は?

センターラインは昨年終盤の主力が残り、キャンプでもその面々が中心になっているように見えた。CBは野々村・高橋、ボランチは山本康・安永、トップ下は菊井、CFは浅川or安藤が基本線になるだろう。

一方、SHの争いは読みにくい。佐相や山口が評価を得ていてそうだったが、村越や安藤らの選択肢も捨てがたい。さらに若手の前田や石山、荻原らが絡んでくれば予想は混沌化する。センターラインに比べると思い切って先発で使いやすいだけにサプライズは見られるか。

④ベンチ枠による変化は?若手の開幕デビューあるか?

今年のJリーグの最大の変更点であり、早くも話題にもなっているのが「ベンチ枠の拡大」。9人になったことで戦術の幅が広がったのはもちろんのこと、試合展開によって若手を出しやすい環境になった。現に新卒選手や若手の開幕出場は格段に多くなっている(あくまで体感)。

そこを狙ってか狙わずか、今年の山雅は新戦力として若手の有望株を多く迎えた。出ればリーグ戦デビューの選手も少なくないが、そうした選手にとってはベンチ入りのハードルが下がったのは追い風

またチームとしても長い目で見た時にそこの芽をうまく育てられるのかも今年の闘いを左右しそう。個人的には昨年苦労した高さのオプションとして、切り札起用が期待される渡邊乃斗がベンチ入りするかは見所にあげたい。

早川体制でのベンチの組み方や傾向にも注目

⑤開幕節のズレの影響。どう試合に入る?

さて、肝心の試合に話を移す。
まずはイレギュラーな日程によって「開幕戦」にズレがあるのは重要なファクト。沼津は前節3得点、無失点と良いイメージを持って試合に入れるので"開幕済み"なのはプラスに持っていきやすいだろう。

一方、山雅は今節が開幕となるので公式戦ならではの緊張感や不確実性は出てくる。ボールを繋いで、前線にもリスクをかけて人数をかけてくる沼津に対してどのような入りを見せるのか。前体制よりも慎重なスタンスになる事が予想されるが、受け身になると沼津側の土俵。山雅側は上手くテンションをコントロールするバランス感が試される。

⑥ブロック守備とプレッシングで特徴的な逆三角形を捕まえられるか?

前節沼津はビルドアップに苦戦気味で、あまりボールを握った展開を作れなかったと反省点が挙げられていたが、今節はもう少し後ろから繋いでくるのではないか。

濱や安在が移籍してSBを使った組み立ては特殊性が薄まったが、アンカーの沼田は多くの局面で顔を出してプレスを無力化、沼田のコースが消されるとIHの徳永が下りてきて中盤2枚で組み立てる形を作るのはスムーズ。そして開幕戦で躍動した柳町は持井の役割をこなし、狭いスペースでの打開や3トップを追い越しての抜け出しなどブレイクの予感を感じさせる働きだった。

仕組みこそ大きく変わっていないが、裏を返すと人が変わっても変わらない継続路線らしい練度はある。キャンプでやってきたようにブロックを作ってそこに通させないのか、最終節のようにあえてプレスで誘い込んで囲みこむのか。まずアンカーをうまく使わせない事が大事になってくるはずなので、状況に応じて切り替えながらうまくショートカウンターを発動させたい。

⑦TMの課題・ビルドアップはどれだけ仕上がってる?

そして、山雅の保持がどう変化したかも注目点。
TM鹿児島戦では保持のミスから失点しているが、それまでのキャンプではビルドアップにかける時間は多くなく、開幕に向けて一気に仕上げてきていることが期待される。

前節の沼津は前半は柳町をあげて4-4-2でプレスをかけていたが、後半は3バックの相手に3トップがそのままプレスをかける形に変更。開幕戦から2パターンの形を見せており、鳥取のミスを多く誘う事に成功している。

山雅のシステムにそのまま当てるなら前半の形になりそうだが、保持・非保持で可変する分、切り替え時などズレは生じやすい。今年はそれほど高い位置を取らずにビルドアップに関わることも多くなるSBも使いながら勇気を持って沼津2トップの裏のスペースを使えるかは1つのポイントになる。

もしもそれが無理でも相手の最終ラインの裏に抜け出す、そこにボールを届ける事も取り組んできているはずなのでその場合分けもうまくやりたい。

⑧カウンターで突きたい右サイドの裏

また沼津は保持時に左SBの宮脇に比べて右SBの三原が高い位置を取ることが多く、同サイドの右WG森もドリブラーとして攻撃の仕掛け役になっているが、一方で守備の穴になりやすいのもこの右サイド。

カウンター時に(物理的に)戻れず、そのスペースを突かれてシュートまで繋げられてしまうシーンは開幕戦でも多かった。山雅としても左サイドからの攻撃は得意としているので、キャンプで磨いた守→攻の切り替えで菊井や山口、前田から素早い攻撃で右の裏を突いていきたいところ。

⑨セットプレー

次は最後の仕上げ面。菊井も残り、TMでは鹿児島相手に野々村、樋口が得点を決めるなど今年も武器になりそうなのが「セットプレー」

昨年の開幕戦も宮崎相手に樋口がセットプレーの流れから先制点を決めたが、その前年は小松が奈良相手にPK、その前年も讃岐相手に横山・外山がセットプレーから得点を決めるなど、開幕戦は流れの中からよりもセットプレー絡みの得点が多くなりがち。

そして、開幕節の沼津は入れ替わられてファールで止めてしまうシーンなどが多く、ファール数はJ3全チームの中でもダントツ最多の23回(2位は岐阜・奈良の17回)。わずかなデータだが攻撃面で起用されている選手や経験の浅い選手が多いので、セットプレーは多くなることが予想される。開幕戦という事でデザインしてくるのもよく見られるため、どのような準備をしてくるか期待したい。

⑩ファーストゴールは誰になる?

最後に、今年のファーストゴールは誰になるかは開幕戦ならではのお楽しみ。先ほども一部触れたが過去5年では……

24年:SB樋口(セットプレーの流れから)
23年:CF小松(PK)
22年:CF横山(セットプレー)
21年:該当なし
20年:SH鈴木雄(裏抜け→ショートパスから)

先ほども述べたように流れの中よりもセットプレー、そして開幕戦で決めた選手がその年大活躍する選手になりやすいのは縁起の良さがある。

今年を占うかもしれない記念すべきファーストゴールは誰になるか。できれば早めに取ってもらってサポとしてはまず1つ安心したい。


以上が沼津戦のプレビュー。
何度も言っているように開幕ならではのポイントやお楽しみがあるこの試合。もちろん「勝利」に懸ける想いは強くなって当然だが、そこに至る過程や準備にも山雅のフットボールを満喫するヒントは溢れている。

せっかくならばそこの醍醐味も堪能しながら、より味わい深い勝利を手にしたい。

END


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