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【鳴尾記念(G3)回顧~その先へ】血統篇

【鳴尾記念の結果】
レースは、フェーングロッテン(3人気)が、スタートの出足が鈍く促されながら先頭に立って逃げ、道中中団で脚を溜めたボッケリーニ(5人気)が早めに動いて4角で先頭に立ち、逃げて粘った同馬にクビ差をつけ優勝。さらにクビ差の3着にアドマイヤハダル(6人気)が入り、中波乱決着!?

傾向面からみると、好成績(複勝率56.3%)を残す「4歳馬」からフェーングロッテンが2着連対。また、「前走G1出走馬」から今年3頭の出走も4・5・7着と馬券に絡めなかった。最後に「池江厩舎」から今年2頭中ボッケリーニが優勝した。ちなみに、過去10年で6勝になりました。

血統面からみると、「持続力型でパワーの質を問われる」レースとして欧州型血統に注目。今年出走馬15頭中で父欧州型は5頭内2頭(1着ボッケリーニ、3着アドマイヤハダル)が馬券に絡んだ。さらに、母父欧州型も5頭内1頭(2着フェーングロッテン)が馬券に絡んだ。

【血 統 傾 向】
阪神芝2000m・内での開催は3年ぶりとなるが、
現行条件で施行された2012~2020年は、
   ステイゴールド産駒が「2-1-2-3」複勝率62.5%と高い好走率を記録。

持続力型でパワーの質を問われる、母父欧州血統!!

2023年
1着父キングカメハメハ(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
2着父ブラックタイド(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着父ロードカナロア(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
2022年(中京開催)
1着父ドリームジャーニー(サンデー系/日)×母父ハンプトン系/欧
2着父モーリス(ロベルト系/欧)×母父サンデー系/日
3着父ジャングルポケット(ナスルーラ系/欧)×母父ニアークティック系/米
2021年(中京開催)
1着父No Nay Never(ノーザンダンサー系/欧)×母父ノーザンダンサー系/欧
2着父キングズベスト(ミスプロ系/欧)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着父ハービンジャー(ノーザンダンサー系/欧)×母父ミスプロ系/欧
2020年
1着父ステイゴールド(サンデー系/日)×母父ロベルト系/欧
2着父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米
3着父キングカメハメハ(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
2019年
1着父ルーラーシップ(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
2着父タニノギムレット(ロベルト系/欧)×母父ミスプロ系/米
3着父ステイゴールド(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/欧

【血 統 背 景】

ボッケリーニ(牡7、栗東・池江泰寿)は、父キングカメハメハ×母ポップコーンジャズ(母父ダンスインザダーク)。ラブリーデイやパンコミードの全弟で、クーデグレイスの甥でフラーズダルムやヘイルメリーのイトコ。母ポップコーンジャズはスイートピーS2着。キングカメハメハ×ダンスインザダークはユーキャンスマイルやショウリュウムーンと同じ。JCは大敗を喫したが、東京でも中山でもローカルでも、1800でも2500でも好位で絶妙に立ち回って堅実に駆ける。昨年の日経賞はタイトルホルダーのクビ差2着。

昨年末はGⅠに2度挑戦して苦杯を舐めたが、GⅡでは3着、2着、1着、2着と崩れていない。前々走の有馬記念(11着)も外枠スタートで流れに乗り切れず、身上のセンスの良さを生かせなかった。前哨戦で強く、G1で力を出し切れないジレンマはあるものの、いずれにせよG3なら力上位は明らかで同馬は、間隔をとったときに結果を出す戦歴。

同馬は、全体的に息を入れにくい競馬のなか、4コーナーでは3番手の外。昨秋のGⅠ・2戦こそ二桁着順だったが、それらを除けば、6歳はじめからGⅢ、GⅡで3、2、1、2、2、1着とまったく崩れていない。全兄ラブリーデイと同じく古馬になって力をつけており、GⅠでもう少し戦えそうか!?

フェーングロッテン(牡4、栗東・宮本博)は、父ブラックタイド×母ピクシーホロウ(母父キングヘイロー)。ピクシーナイトの半弟で、母ピクシーホロウはJRA3勝(芝1500~1800)。牝祖シンコウエンジェルはクィーンズバーン、ワイルドソルジャー、ダノンカモンなどを産んだ有能な繁殖。ブラックタイド×キングヘイロー×サクラバクシンオーだからイクイノックスをスピードに寄せたような構成で、「父スタミナ×母スピード」だから前向きな先行脚質も、控えるケイバもできる。

ブリンカーを着用し、能力を発揮するようになった昨年3月からの成績は[2-1-3-1]。3着以内を外した唯一のレースは距離が明らかに長かった昨年の菊花賞(15着)で、適性距離に絞ってレースを選択している今年は、前々走の中山金杯が勝ち馬ラーグルフとタイム差なしの3着。前走の金鯱賞は勝ったプログノーシスに0秒1差の2着と、勝ち切れてはいないながらも強敵相手に堅実なパフォーマンスを見せている。近2走で見せた先行力が活きる条件(芝の育成が進んだ時期の開幕週で、直線の短い内回りコースが舞台)だけに、上位入線を期待したい!?

馬場が良に回復し開幕週らしくスピードが出る状態で、逃げた同馬は、飛ばしたわけではなく、自然な流れで先行2着。菊花賞以後は重賞でいずれも逃げて3、2、2着。とはいえ、惜敗続きの現状はいかにももどかしく、充実しているうちに重賞をもう一つ勝っておきたい!!

アドマイヤハダル(牡5、栗東・大久保龍志)は、父ロードカナロア×母スウェアトウショウ(母父ディープインパクト)。スイープトウショウ、ピンクカメハメハ、トウショウフリークの甥で、トウショウカズンのイトコで、3代母サマンサトウショウはエプソムC勝ち。ロードカナロア×ディープインパクトはファンタジストやドナウデルタと同じで、母がリファールのクロスなのもドナウデルタと同じ。しなやかな中距離馬で大箱の高速馬場がベターだが、リファール的な粘着力を兼備していて、ある程度前で受けたほうが味があるタイプ。

同馬は、好位の後ろで流れに乗った。勝負所で外が動いてきたところで待つ場面がありながら、最後の200㍍でひと踏ん張りして3着を確保。基本的に前が優位な馬場状態を味方につけた面もあるが、最後の苦しいところでしっかり伸びてきた。こちらも4歳以降、長期休養明けで重馬場のマイル戦だった六甲Sを除き、リステッドと重賞で2、3、2、3着と成績が安定。古馬になって着実に力をつけた晩成タイプ。順調に使えるようなら、タイトルも近い!?


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