見出し画像

【毎日杯(G3)回顧~その先へ】血統篇

【毎日杯の結果】
レースは、中団を追走したシーズンリッチ(5人気)が、ゴール前で馬群の中から抜け出し、外から追い込んだノッキングポイント(2人気)に1/2馬身差をつけ優勝。さらに1/2馬身差の3着にドットクルー(6人気)が入り、中波乱決着!?

傾向面からみると、「1番人気に逆らうべからず」は、今年キングズレイン(1人気/12着)は当初から晩成タイプと言われていただけに人気先行だったかも? 「差し・追い込み馬に注目」「鉄板級の上がり最速馬」は、2着ノッキングポイントが該当。

血統面からみると、昨年同様に今年も父欧州型が活躍!! 出走馬13頭中6頭内でワンツー(1着シーズンリッチ/父ドゥラメンテ、2着ノッキングポイント/父モーリス)。さらに、3着ドットクルー(父ディーマジェスティ)の父がディープインパクトの血を引く馬(出走馬13頭中3頭)。そして、ロベルト系の血を持つ馬に該当したのが出走馬13頭中3頭内2頭(2着ノッキングポイント/父モーリス、3着ドットクルー/父母父ブライアンズタイム)だった。

【血統傾向】
小雨が降るなか施行された昨年はスクリーンヒーロー産駒のピースオブエイトが逃げ切り、同産駒は15年ミュゼエイリアン以来となる2勝目を飾ることになった。なお、2着にも父系祖父がスクリーンヒーローとなるモーリス産駒のベジャールが入線。10頭立てながら勝ち馬が4番人気、2着馬が9番人気という波乱の一方で、スクリーンヒーローの直系がそろって好走した。

今年のレースは内からセレンディピティがハナを主張する意外な序盤から、1000m通過59.2秒、上がり3F35.6秒というラップになった。軽い馬場での直線末脚比べになりやすいこの重賞でラスト12.7の消耗戦は極めて異質、稀な展開のなか、父欧州型の先行馬が活躍!?

2023年
1着父ドゥラメンテ(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
2着父モーリス(ロベルト系/欧)×母父ミスプロ系/欧
3着父ディーマジェスティ(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/欧

2022年
1着父スクリーンヒーロー(ロベルト系/欧)×母父ノーザンダンサー系/欧
2着父モーリス(ロベルト系/欧)×母父ミスプロ系/米
3着父ドゥラメンテ(ミスプロ系/欧)×母父ノーザンダンサー系/欧

2021年
1着父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ナスルーラ系/米
2着父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/欧

2020年
1着父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/欧
2着父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父マッチェム系/米
3着父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米

2019年
1着父ケープブランコ(ノーザンダンサー系/欧)×母父サンデー系/日
2着父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米
3着父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧

【血 統 背 景】

シーズンリッチ(牡3、美浦・久保田貴志)は、父ドゥラメンテ×母エバーシャルマン(母父ハーツクライ)。新馬戦でマテンロウオリオンを下した半姉エバーシャドネー(父ルーラーシップ)の半弟(7/8同血)という血統馬。母エバーシャルマンも2戦目に勝ち上がっており、早いうちから動ける血筋。

2走前の百合草特別では折り合いを欠きながらキングズレイン(ホープフルS3着)と0.8差、前走の共同通信杯ではファントムシーフから0.5差の内容。折り合いがマシだった3走前の未勝利の時のようにやや時計が掛かる馬場で走りに集中出来るなら一変があっても驚けない。

同馬は、スタートでやや出負けしたものの、角田大河騎手がしっかりと促してインの5番手に。ロスなく勝負所をやりすごすと、直線も決して広いスペースがあったわけではないなかで、持続力のある末脚を発揮し前を行く馬の脚勢、動きを丁寧に判断しながら、接触等もなく馬群を割って突き抜けラスト12.7の消耗戦を制した。調教師コメントにもあるように、折り合いも距離が延びても不安ないので、次走(日本ダービー)では注目!!

ノッキングポイント(牡3、美浦・木村哲也)は、父モーリス×母チェッキーノ(母父キングカメハメハ)。サブライムアンセムのイトコ。母チェッキーノはコディーノの全妹でフローラSに勝ちオークス2着。母母ハッピーパスは京都牝馬S勝ち。父モーリスはピクシーナイトやジャックドールなどの父。モーリス×キングカメハメハ×サンデーサイレンスはアルビージャやレガトゥスと同じ。概ね父と母を足して割ったイメージで、しなやかな身のこなしで四輪駆動だしマイラーではない。

2016年のフローラSを勝ち、オークスでも2着に好走したチェッキーノを母に持つモーリス産駒。デビュー当時から高い評価を得ていた馬で、実際にメイクデビュー東京(芝1600㍍)では、のちの重賞勝ち馬オールパルフェを3馬身差で一蹴しているほど。その後の2戦では勝ち切れなかったが、待望の2勝目マークとなった前走の1勝クラス(東京・芝1600㍍)の勝ちタイムは、1分32秒9という優秀なもの。

同馬は、上々のスタートから中団の馬群を追走すると、直線では外から勝ち馬を上回るメンバー上がり最速タイ35秒0の末脚を駆使して追い込んだが、半馬身届かず2着に敗れた。展開に左右されやすく、後方追走から最速の末脚能力は大箱向きかも!? 

ドットクルー(牡3、栗東・笹田和秀)は、父ディーマジェスティ×母スターオブロゼッタ(母父ロードカナロア)。父はディープインパクトの直仔で、16年皐月賞など重賞を3勝。同産駒は詰めた間隔で使いながら調子を上げていく傾向にあり、そのなかで本馬は現状で唯一のJRA新馬勝ちを収めた稀有な存在。今回と同じ阪神芝1800mで2勝目を挙げているコース実績、昨年の勝ち馬と同じアルメリア賞からの臨戦。

デビュー地の福島に始まり、2戦目が中京で3戦目は小倉。貴重な2戦目をマークした前走の1勝クラス・アルメリア賞(芝1800㍍)は、今回と同じ阪神・芝外回りコース。キャリア4戦の全てを違う競馬場を走り、崩れることのない堅実性は高く評価。前走の1分46秒2という勝ち時計は水準以上。シャフリヤールの勝った一昨年を別格とすれば、例年の毎日杯の勝ち時計よりも速い数字だった。

同馬は、勝ったシーズンリッチと同じ隊列外側に位置取り、脚を溜めて直線勝負に出たが現状では決め手不足(推定後半3F35.3)なのか?僅かな差(1/2+1/2)で3着敗退。母父ロードカナロアの血を引く馬なので、大箱向きかも!?


いいなと思ったら応援しよう!