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【マーチS(G3)回顧~その先へ】血統篇

【マーチステークスの結果】
レースは、3番手でレースを進めたハヤブサナンデクン(5人気)が、2番手追走から抜け出たウィリアムバローズ(1人気)をゴール寸前で交わし、これにハナ差をつけ優勝。さらに1馬身差の3着にキタノヴィジョン(11人気)が入り、中波乱決着!?

傾向面からみると、「1番人気馬には鬼門のレース」も2着ウィリアムバローズ(1人気)は着差ハナ差。「6歳馬が5勝」は、今年の勝ち馬が7歳馬、2着5歳馬で3着に6歳馬。さらに、「差し・追い込み馬が台頭」も今年は不良馬場の影響もあり、唯一キタノヴィジョンが差して3着だった。

血統面からみると、過去ゴールドアリュール産駒にとっては鬼門レース(近10年内[0-0-0-7])を覆し勝った。さらに、ロベルトの血を引く馬が毎年連対(昨年も1着、3着同着2頭)のなか、今年は出走馬16頭中7頭内でワンツー(ハヤブサナンデクン、ウィリアムバローズ)。

【血 統 傾 向】
22年は1着メイショウハリオ(母母父クリスエス)、3着同着のブルベアイリーデ(母母父ブライアンズタイム)とヒストリーメイカー(母母母父リアルシャダイ)、ロベルトの血を引く馬が上位を賑わせた。ちなみにヒストリーメイカーは21年も2着。20年は2着クリンチャー(母父ブライアンズタイム)、19年は1着サトノティターン(父シンボリクリスエス)と2着ロンドンタウン(母母母父クリスエス)、18年は2着クインズサターン(母父クロフネ)、ロベルトの血を引く馬が毎年連対しているのは中山1800戦らしい。

今年もワンツー(ハヤブサナンデクン/ウィリアムバローズ)達成!?

2023年
1着父ゴールドアリュール(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米
2着父ミッキーアイル(サンデー系/日)×母父ロベルト系/欧
3着父メイショウボーラー(ヘイロー系/米)×母父サンデー系/日

2022年
1着父パイロ(ナスルーラ系/米)×母父サンデー系/日
2着父パイロ(ナスルーラ系/米)×母父ミスプロ系/米
3着父キンシャサノキセキ(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/欧
3着父エンパイアメーカー(ミスプロ系/米)×母父サンデー系/日

2021年
1着父ヘニーヒューズ(ノーザンダンサー系/米)×母父ナスルーラ系/米
2着父エンパイアメーカー(ミスプロ系/米)×母父サンデー系/日
3着父エスポワールシチー(サンデー系/日)×母父ダマスカス系/米

2020年
1着父ハーツクライ(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米 
2着父ディープスカイ(サンデー系/日)×母父ロベルト系/欧
3着父ヘニーヒューズ(ノーザンダンサー系/米)×母父ナスルーラ系/米

2019年
1着父シンボリクリスエス(ロベルト系/欧)×母父ノーザンダンサー系/米
2着父カネヒキリ(サンデー系/日)×母父マッチェム系/米
3着父ダイワメジャー(サンデー系/日)×母父ナスルーラ系/米

【血 統 背 景】

ハヤブサナンデクン(牡7、栗東・吉村圭司)は、父ゴールドアリュール×母ホワイトクルーザー(母父クロフネ)。サンビスタの甥でジレトールのイトコ。牝祖イエローブルームは現フィリーズレビュー2着で、孫にスマートアヴァロンがいる。ダート王国グランド牧場で育まれた牝系のひとつ。父ゴールドアリュールはクリソベリル、スマートファルコン、コパノリッキーなどチャンピオンを多数輩出した砂の名種牡馬。ゴールドアリュール×クロフネはシェダルと同じ。ゴルア産駒らしく揉まれず先行だとしぶとい。長手の体型で箱は大きいほうがベターか。

前走東海Sは3着と重賞でも十分に戦える力を示した。ただ当時は勝ち馬と0秒7差をつけられており、着順ほど惜しい内容かと言われればそうとは言い切れない。中山ダート1800㍍を使われるのは2019年3月以来。道悪の成績【1-2-0-0】と想定される馬場コンディションはプラス、武器は高いレースセンス。好位での器用な立ち回りが安定感につながっている。

これまで控える競馬を覚えさせ続けた同馬にとって、以前の逃げて踏ん張る経験を活かせ、かつ目標を前に置いて差す競馬が見事にマッチしたレース展開になった。ただ、2着ウィリアムバローズを捕らえたのはゴールした瞬間のハナ差でしかなく、やはり終いは少し甘いのが難点!? 次走は、安定感からは推せても勝てるかどうか??

ウィリアムバローズ(牡5、栗東・上村洋行)は、父ミッキーアイル×母ダイアナバローズ(母父シンボリクリスエス)。イチブンの甥で、母ダイアナバローズは紫苑S勝ち馬。牝祖フルールロワイヤルは愛オークス2着。母母チッキーズディスコはミルリーフ2×3で芝中距離の重厚な斬れを伝えている。父ミッキーアイルはマイルCS勝ち馬で、牝駒はメイケイエールやナムラクレアのような才気溢れるスピード型が出るが、牡駒はパワーに振れやすくデュアリストのようなダート巧者も多い。本馬も戦績どおりダ1800の先行型で、ここは母父シンボリクリスエス(ロベルト系)が強調材料。

思わぬ凡走を喫した2走前から一変をはたした前走。これで中山ダート1800㍍では【3-2-0-0】と抜群の安定感を示している。中2カ月以上の休み明け成績【2-2-0-0】を見るより、間隔のあいたローテーションはむしろプラス。4走前の内容から控える競馬でも問題なく、当舞台の持ち時計も含め再度の好走が期待できる1頭。

同馬は、逃げてある程度のペースを刻みながら我慢する競馬を続けてきた経験がこの特殊な流れで活きた。序盤で極端に競り込まれる形にさえならなければ、中山ダート巧者(1800㍍【3-3-0-0】連対率100%)降臨!!

キタノヴィジョン(牡6、美浦・萱野浩二)は、父メイショウボーラー×母グリーンオリーヴ(母父サンデーサイレンス)。姉馬メイショウスザンナ(父アグネスデジタル/桜花賞4着、オークス3着、秋華賞7着)は、G3クイーンSの重賞馬。種牡馬のメイショウボーラー(当時16歳)と交配したグリーンオリーヴが21歳のときに産んだ11番仔が本馬。母グリーンオリーヴは中央1勝(阪神ダ[1800m])。

いつもそれなりに末脚を繰り出す同馬は、展開待ちといったタイプ。冬の良馬場だった師走Sが、その典型のような競馬で鮮やかな追い込み。

重賞競走への出走は初となった同馬は、16頭立ての11番人気で6番ゲートからスタート。やや厳しいペースでレースが進む中、14番手を追走していたが、徐々に進出して4コーナーを10番手で通過。直線では閃光のような末脚を発揮し3着入線。展開に左右されやすいタイプではあるが、常に要注意馬!?


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