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【朝日杯フューチュリティS(G1)回顧~その先へ】血統篇

【朝日杯フューチュリティSの結果】
レースは、中団追走から直線で早々に抜け出したジャンタルマンタル(1人気)が、直線最後方から猛然と追い上げたエコロヴァルツ(4人気)に1.1/4馬身差をつけ優勝。さらにクビ差の3着にタガノエルピーダ(5人気)が入り、ほぼ本命決着!?

傾向面からみると、まずは「1番人気」馬の成績は[4-2-2-1]複勝率88.9%と圧倒的。今年はジャンタルマンタルが1番人気に推され、人気に応えて優勝。次に「上がり最速馬」が[4-3-1-3]複勝率72.7%をマーク。今年は前走の秋明菊賞でメンバー最速の上がりで制し2戦2勝のダノンマッキンリーなどは要注目も8着と不発。最後に「前走東京戦1~3着」に入った馬が活躍。今年は東京スポーツ杯2歳Sを勝ったシュトラウスに注目も10着惨敗。

血統面で、「父ミスプロ系」に注目。出走馬17頭中3頭内1頭(1着ジャンタルマンタル)が馬券に絡んだ。さらに、「母父ミスプロ系」に注目。出走馬17頭中6頭内2頭(2着エコロヴァルツ、3着タガノエルピーダ)が馬券に絡んだ。

トラックバイアスからみると、阪神競馬場は速い流れでレースが進んだ場合、外から末脚を伸ばしてきた馬が好走する傾向がある。

【血 統 傾 向】
芝短距離指向の血を持つ馬
(ダンチヒ系、Pサンデー系、ヘイロー系、サクラバクシンオー等)
母系に2~3歳前半のマイル戦で実績がある血を持つ馬も走りやすい。

2023年
1着ジャンタルマンタル
父Palace Malice(ミスプロ系/欧)×母父ナスルーラ系/米
2着エコロヴァルツ
父ブラックタイド(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/欧
3着タガノエルピーダ
父キズナ(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/欧
2022年
1着ドルチェモア
父ルーラーシップ(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
2着ダノンタッチダウン
父ロードカナロア(ミスプロ系/欧)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着レイベリング
父Frankel(ノーザンダンサー系/欧)×母父ミスプロ系/欧
2021年
1着ドウデュース
父ハーツクライ(サンデー系/日)×母父ナスルーラ系/米
2着セリフォス
父ダイワメジャー(サンデー系/日)×母父ナスルーラ系/欧
3着ダノンスコーピオン
父ロードカナロア(ミスプロ系/欧)×母父ノーザンダンサー系/米
2020年
1着グレナディアガーズ
父Frankel(ノーザンダンサー系/欧)×母父ミスプロ系/米
2着ステラヴェローチェ
父バゴ(ナスルーラ系/欧)×母父サンデー系/日
3着レッドベルオーブ
父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米
2019年
1着サリオス
父ハーツクライ(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
2着タイセイビジョン
父タートルボウル(ノーザンダンサー系/欧)×母父サンデー系/日
3着グランレイ
父ルーラーシップ(ミスプロ系/欧)×母父ノーザンダンサー系/欧

【朝日杯フューチュリティS 血統背景】

ジャンタルマンタル(牡2、栗東・高野友和)は、父Palace Malice×母インディアマントゥアナ(母父Wilburn)。母インディアマントゥアナはレッドカーペットH(米G3・芝11F)勝ち馬。父パレスマリスはジャスティンパレスやアイアンバローズの半兄のカーリン産駒でベルモントS(米G1・ダ12F)に勝った。母父ウィルバーンはインディアナダービー(米G2・ダ8.5F)に勝ったエーピーインディ系。ダートもいけそうな北米血統で、前走芝マイルのデイリー杯2歳Sを勝ったが、父も母も中距離馬だしマイラーというよりは1800型に見える。ここも好位差しで手堅くまとめるだろうが。

母は米GIII芝11F勝ち馬で、父のパレスマリスはジャスティンパレスやアイアンバローズの半兄にあたる血統で、ベルモントSなどの勝ち馬。母父ウィルバーンは米国マイラー。前走・デイリー杯は立ち回りの上手さや能力が上回った勝利。スケール感あふれる血統背景の持ち主だけに、本馬も、GⅠの大舞台で底力発揮に期待したい!?

同馬は、スタート後に前がつかえ力みそうになるも、我慢をさせて中団のイン追走。すぐに折り合い、3~4角ではラチ沿いをロスなく進出して、余裕を持って先頭に立ち、馬場の中央をしっかり脚を使いそのまま押し切って優勝。前半の割に後半に時計を要したレースのなか、センスが光る同馬は、マイラーとして素質の高さからG1NHKマイルカップを目指してほしい1頭だけに、今後も要注目!?

エコロヴァルツ(牡2、栗東・牧浦充徳)は、父ブラックタイド×母プティプランセス(母父キングカメハメハ)。ウォータースペースの全弟で、ヴェントヴォーチェのイトコで、母プティプランセスはJRA3勝(芝1800~2000)。牝祖マサケはハニームーンH(米G3・芝9F)勝ち。父ブラックタイドはディープインパクトの全兄でキタサンブラックの父。ブラックタイド×キングカメハメハはタガノエスプレッソやライジングリーズンと同じ。ブラックタイド産駒らしい先行脚質の中距離馬で、コスモス賞は3角先頭で大楽勝。マイル戦で身上のしぶとさを活かせる形に持ち込めるかどうか!?

母は現役時代に3勝をマーク。近親には重賞2勝を挙げているヴェントヴォーチェがおり、高いスピード能力と素質を伝える母系。前走から200㍍の距離短縮にも対応できる!?

同馬は、当日の馬体重増14㌔、馬っぷりは上々だった。ただ、スタート後にアクシデント(接触)があり、後方にまで下げて折り合いに専念。直線は大外から、上がり3ハロン(推定)最速34.1秒で追込み2着。これまで先行してきて、追い込みに対応できたのは収穫で、まだまだ底は見せておらず、脚質自在性から中距離・皐月賞へ向かってほしい1頭。

タガノエルピーダ(牡2、栗東・)は、父キズナ×母タガノレヴェントン(母父キングカメハメハ)。母タガノレヴェントンは優秀な繁殖で、出走産駒9頭のうち8頭がJRA勝ち馬に(タガノトネール、タガノエスプレッソ、タガノディアマンテとオープン馬3頭を含む)。ネオザウイナーやヘッドライナーも近親。キズナ×キングカメハメハはハピと同じ。脚長で母のヌレイエフ4×3を感じる力強いストライドで、スローの上がり11.0-11.0のマイル戦を先行抜け出した。阪神外回りのマイルの方が良く、先行力もあって競馬が上手いのは武器だけに、先週の阪神JFを除外でこちらにスライド、紅一点だが一発の魅力はある!!

同馬は、先週の阪神JF除外で、牡馬相手のここに挑戦。スタート良く3番手で折り合うも、序盤10秒台のラップで差し、追込馬に有利な展開において1頭だけ前目で競馬をし続け、そのまま粘り込んで3着。距離の融通も利きそうだが、キズナ産駒の牝馬なので、マイラータイプの可能性が強く、桜花賞を目標にしてほしい1頭。


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