【建設部門】道路空間の再構築
今回は、建設部門(都市及び地方計画)R3年度の問Ⅱ-2-1の解答事例です。
1.調査、検討すべき事項とその内容
(1) 実現すべき将来像・基本方針の検討
沿道の土地利用や地域資源、都市部の道路ネットワークにおける当該道路の役割、上位計画等を整理し、地域特性・課題・まちづくりの方向性を把握する。これらを踏まえながら、地域のあるべき姿を検討し、基本方針を設定する。
(2) 空間デザインの検討
道路本来の機能や安全性、利便性や快適性の向上、良好な自然景観の形成を目的とし、道路の性格を考慮して空間デザインを検討する。
(3) 事業実施後の維持管理・運営の検討
良好なまちなみの維持管理、地域の活動を持続的に行っていくためには、運営主体の組織化が必要である。事業実施段階における地元住民、地権者、民間事業者、行政などによる検討組織をもとに、運営主体の組織化を図る。
2.業務を進める手順及び留意点・工夫点
(1)業務手順
上記の(1)~(3)の順で調査・検討を行う。
(2)留意点・工夫点
①実現すべき将来像・基本方針の検討
地域特性・課題を把握においては、住民への調査を行い、まちづくりについての意向を把握する。また、将来像・基本方針は地域の状況や価値観によって異なるため、他地域の事例にそのまま倣うことは避け、その地域にとって課題に適合した将来像・基本方針を設定する。
③空間デザインの検討
空間デザインの検討においては、交通、沿道、ランドスケープ、アクティビティといった複数の要素を検討する必要がある。そのため、各分野の専門家からなる委員会を設置して検討する。
④事業実施後の維持管理・運営の検討
運営主体の組織化には時間を要するため、段階的に組織化を図る。最初は、空間デザイン等の部分的な検討などを行う組織として組成する。ワークショップや他都市視察を通じて地域づくりの機運を高めていき、運営主体として確立する。
3. 関係者との調整方策
道路空間の再構築には、地元住民、道路管理者、交通事業者、地方公共団体、沿道事業者などの多様な主体の利害が発生する。エリア一体で調和のとれたまちにしていくためには、事業実施前から継続的な協議を積み重ね、まちのイメージ・方向性を共有していく必要がある。
また、道路の再構築により、歩行者や道路空間への悪影響がないこと、安全性等の検証するために、社会実験を行うことも有効であると考える。
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