京大数学対策 テスト中の心構え
僕が数学の受験勉強を通じて,試行錯誤しながら発見した良いと思う勉強法を紹介したいと思います。僕自身,私立の中高,塾や予備校といろんなところで話を聞きましたが,そこでは聞いたことの一度もないことだと思います。
僕は京大医学部に一年浪人して合格した,現3回生です。アルバイトで受験勉強を教えています。今でも僕の行っていた勉強法はなかなか良いと思いますので,参考にしていただけたら成績がアップすると思います。ではさっそく本題に入ります。
僕は数学に苦手意識はありませんでしたが,点数が安定しませんでした。時には8,9割を取れるのですが,簡単な問題すら落としてしまい,目も当てられない時もありました。
通っていた塾のテストや模試でそんなことが繰り返し起こり,流石になんとかせねばならんと思い,改善しようと試行錯誤しました。その方法を書いていきます。数学が苦手な人,苦手意識はないのになぜか点数にならない人,数学を得点源にしたい人は読んで欲しいと思います。この記事は京大受験生向けにはなっていますが,他の大学志望の方にも役に立つ内容となっています。
京大数学の特徴?
「京大数学は問題文が短く,だいたい小問が設定されていない」
「阪大や東大は小問が多く,誘導に乗れるかどうかが鍵だ。」
なんてよく言われると思います。しかし,最近の問題を見ているとそういった特徴は一概に言えなくなっています。京大でも短い問題文で「さあ解いてみろ」みたいな問題は少なく, 2020年度の④なんかは,ページの半分にわたる文章量です。
ここで言いたいのは,京大を受けるから京大の問題だけやればいいという考えは間違いだということです。時代の変化とともに,英語では自由英作文や要約が重視されるようになりました。それと同じで数学も同じ形式が続くとは考えられません。これは理解してもらえやすいでしょう。
次に書くことは人によっては厳しいと感じてしまうかもしれません。考えて欲しいのですが,なぜ大学は入学試験を行うのでしょうか?入りたい人が入れば皆んな幸せになると思いません?
現実は志望者の1/3以下しか入学できない仕組みになっています。詳しくは知りませんが,大学の教室や研究室のキャパシティーや予算の関係でしょう。そうなった時,どのような人を入学させたいと思いますか?受入側の視点に立ってみてください。
『京大数学の対策だけをばっちりやって,そのタイプの問題には強い人』
『いろんなタイプの問題に触れて,対応力のある人』
どちらの方が入学後,優秀な人になりそうかというと,後者でしょう。
天下の京都大学ですので,馬鹿ではありません。出題している問題は一見問題文が短く,それに特化した練習をすれば点数が取れてしまうように見えるでしょう。ただ,入試問題は一年に一度しか出されない,いわば大学の作品です。全国の人の目に触れますので,下手な問題は作れないでしょう。何度も何度も練られていると思います。それが小手先のテクニックをつけただけの人が受かるようにできているはずがありません。数学を通して,養うべき ”論理的思考力”と”計算処理能力”を持っている人を6問ないし5問の試験で判断しているのでしょう。
長くなりましたが,言いたいことは,巷に溢れる,『京大対策論』に対して僕は懐疑的な意見を持っているということです。数学力があるならば,形式はどうであれ,それ相応の難易度の問題は解けます。テクニックに踊らされず,”本質的な数学力”を磨きましょう。京大に挑もうとしている人は基本事項の習得はある程度できていると思います。それを使っていろんな問題を解き,考える力を養っていきましょう。数学力がつくと,自ずと成績は伸びていきます。
時間配分と見直し
次に,数学力を遺憾無く発揮するための,おすすめの方法を紹介します。僕が自分で編み出しました。実際にこの方法のおかげで,模試や過去問などで,難しいセットでも8割を切ることがなくなりました。
ポイントは時間配分にあります。理系の6問セットの試験について書きます。5問セットの場合は置き換えて読んでください。大事なのはテスト時間は150分ですが,はじめの60分の使い方についてです。
結論から先に言いますと,
一問あたり,10分ずつ考えるその際は計算欄を使って解答は書かない。
10分経ったら次の問題にいき,60分で全問題を考える。
これです。ポイントは”10分”と”答案は書かない”ことです。それぞれ解説していきます。
・10分考える
試験時間は150分で6問なんで,単純計算で1問25分です。後でも書きますが,ある程度は見直しするのに時間を残しておかねばなりません。ですので,捨てる問題を選ぶ必要がどうしても出てきます。それをぱっと見で判断するのは難しいでしょう。見た目に騙されて実は簡単というパターンもありますし,すぐ諦めていてはせっかく鍛えてきた思考力を発揮できません。そこで”10分”です。10分は考えてみましょう。
10分は結構長いです。10分考えて無理だった問題はそれ以上考えてもなかなか厳しいと個人的には思います。ですので,短い試験時間との兼ね合いと自分の思考力を採点官にアピールするために10分考えるというのが良いと思います。これ以上一つの問題にかけると他の問題に当てる時間を圧迫してしまい,それ以下だと,解けたはずの問題を見逃してしまいます。
ではその10分を効率よく使う方法をお伝えします。
・答案は書かない
はじめの10分は答案を書く必要性は全くありません。どの大学にも計算欄はあると思いますので,そこで目一杯思考しましょう。
僕は点数が不安定で伸び悩んでいる時にこれを思いつきました。試験を受けている中で一番無駄な時間はなんだと思いますか?僕は『消しゴムを使っている時』だと思います。必死に消している時って思考止まってません?
解決策は簡単で消しゴムを使う回数を減らせばいいのです。途中まで書いて無理だとわかったから,紙いっぱいの答案を消したことありますよね?あの行為は時間の無駄だし,答案は汚くなって採点者への印象も悪いし,最悪です。ならば,そうならないように対策すればいい。
つまり,計算欄で答えまでの筋道,計算を済ませてから答案を書けばいいのです。数学的帰納法かな?と思った瞬間にn=1について書いて,あとで違う気づいて消す人いますよね。はっきり言って無駄です。計算欄で本当に最後までたどり着けるか確認してから書きましょう。最初の60分を除けば残り90分ですが,そのための時間です。計算欄では消しゴムを使わず,線で消せばいいのです。とにかくはじめの10分は問題を考えることのみに集中できるようにしましょう。いきなり答案に書き始めた方が時間のロスは少ないと考える人がいるかと思いますが,それは間違いです。いったん計算欄に下書きをすると,答案ではまとまった綺麗な文章が消しゴムはほとんど使わず書けます。消した跡もなく採点者も読みやすいでしょう。もし,10分経たずして答えまでの道筋がわかったなら,答案を書きましょう。後で時間に余裕が出ます。ただし,10分経ったら次にいくようにしてください。
このように,答案に書くと思考するという二つを明確にわけることによって,解ける問題が増えると僕は考えます。
『計算欄』の使い方
計算欄は目一杯使いましょう。
・計算欄は真っ白
・計算欄に殴り書き
こうなっている人は要注意です。一つずつ指摘していきます。
まず,真っ白は論外です。別にかっこよくもありません。頭の中だけで考えられる必要なんてありません。紙とペンを使って脳内の情報を整理して,思考しましょう。計算欄を使わずに,点数が出ないと悩んでいる人は間違っててもいいので,頭の中のことを出す練習をしましょう。初めから正しい方法に辿り着けなくても,間違いを修正する力があればいいのです。失敗を恐れないでください。
次に,殴り書きになっている人。後で見返した時何もわかりません。計算欄は誰にも見せませんので,必要以上に綺麗に書かなくて良いですが,答案を書く際に参照しやすいように,ミスが起こった時,それがどこか追いやすいように整理しておきましょう。具体的には,計算欄に縦線を一本引き,半分に区切るとうまくいくと思います。
京大では回答用紙の右半分に計算欄があり,もし回答欄に納まりきらなかったら右にいっても良い,と書かれているので,右にいってしまうことを考えると計算欄は使うべきではないという反論が考えられます。僕もはじめはこう思っていましたが,今は間違いだと思います。
大学側の気持ちに立てば簡単ですが,この指示は,B4の回答用紙の半分の中にまとめろ,ということです。問題はB5で書ききれると想定されるものでしょうし,まとめる能力のないものは要らんということでしょう。大学からのメッセージは,計算欄を使ってきちんと考え,B5にまとめてくれ,と容易に考えられます。それを無視していいわけがない。また,先ほどの方法できちんと計算欄で最後までの道筋がはっきりさせた人なら,B5におさまらないことはないと思います。実際僕が過去問演習している時,右ページに進む時もありますが,2,3行程度で,ほとんど計算にあてることができました。最後の少しだけなら,計算を少し消して書けばいいですからね。大学からのメッセージを無視してまで使わないのはおかしな話です。
いかがでしたか?厳しいことも多く書きましたが,結局本質的な数学力を磨くのが合格には必要です。近道なんてありませんが,しょうもない小手先テクニックばかり学習して遠回りしないようにしてください。