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子供に伝えたい「大人になって直面するお金の話」 8~Preparation for retirement~
今回は、「老後の準備」についてです。「Phases of Financial Life」の第1のフェーズ「蓄積期(Accumulation)」の中で緊急予備資金(Emergency Fund)の次に開始する項目です。
アメリカに住み、合法的に仕事をしている人はSocial Securityと呼ばれる日本でいう国民年金を払っています。※正確に言うとSocial Securityと国民年金は異なります。
このSocial Securityですが、最近では、将来破綻するといったニュース記事を目にします。
また、日本でも2019年に当時の麻生太郎副総理兼金融担当相が「夫婦の老後資産として30年間で約2000万円が必要」と発言して大きな話題になりました。
つまり、老後の資金をSocial Securityや国民年金だけに頼ることが難しいということになります。
「いくら必要か?」
実際に老後になってみないといくら必要かわからないということが率直な感想ですが、それでも今から準備するためにはいくら必要かを予想する必要があります。
まずは、一般的な情報として、私が住むハワイでの老後に必要な資金について調べてまとめてみました。
ハワイで老後を過ごすために必要な資金は、個人のライフスタイル、健康状態、住む場所、およびその他の要因によって大きく異なりますが、以下は一般的な目安です。
〇住居費
ハワイは全米でも住居費が最も高い州の一つです。持ち家の場合: 固定資産税やメンテナンス費用が必要です(年間 $5,000~$10,000 程度が目安)。
賃貸の場合: 1ベッドルームのアパートの家賃は月 $2,000~$3,500 程度が平均です。
〇食費
ハワイでは輸入に頼る食品が多いため食費が高い傾向があります。
月額の目安: $500~$1,000(1人の場合)。
〇医療費
老後の健康管理には医療費が大きな割合を占めます。Medicare が基本ですが、それでもカバーされない費用が発生する場合があります。
年間の目安: $5,000~$10,000(保険や自己負担分を含む)。
〇交通費
ハワイで車を所有する場合、保険やガソリン代、メンテナンス費が必要です。月額の目安: $300~$600(車のローンがない場合)。
公共交通機関を利用する場合はもう少し安くなります。
〇レジャー・娯楽費
ハワイの自然や文化を楽しむために、レジャー費用も考慮する必要があります。月額の目安: $200~$500。
〇その他雑費
衣料品、通信費、公共料金などを含みます。
月額の目安: $300~$600。
〇総合的な目安
ハワイでの老後生活費は、年間 $50,000~$100,000 が一般的な範囲とされています。特に都市部(ホノルルなど)に住む場合は上限に近くなる傾向があります。30年間の老後を計画する場合、約 $1.5M~$3M の貯蓄が目安です。
できるだけ早く開始するのが重要
もし、老後の資金をSocial Securityや国民年金に頼らずに、すべて自分で貯める場合、$1.5millionを準備するには、次のようなシミュレーションになります。
40歳から65歳までの25年間で年利7%で毎月積み立てをした場合、月々$1,852必要になります。
30歳から65歳までの35年間で年利7%で毎月積み立てをした場合、月々$833必要になります。
20歳から65歳までの45年間で年利7%で毎月積み立てをした場合、月々$395必要になります。
これは金融サービスの会社のサイトなどで公開されているシミュレーターで計算しています。期間や利率を変えると月々に積み立てる金額が分かります。
これを見ると、老後の備えは早く始めれば始めるほど積み立てる金額が少なくなることが分かります。
ただし、ここでもう一つ大事なことは、65歳過ぎて今みたいなライフスタイルを続けている可能性は低いし、老後のことを意識しすぎて、大切な今、やりたいことを我慢するのはどうかということです。
老後の資金を貯めるために、今、行きたい旅行、コンサート、レストランを我慢するのはどうなのか?今というこの時期は何物にも代えられない貴重なものです。今必要なものにお金を使うということも重要です。
「老後の備え方」
老後の準備の方法はいくつかあり、自分で準備する方法、勤めている会社の制度を利用する方法などです。それぞれの概要を理解してどれを活用するかを決めることが重要です。
重要なポイントは「拠出できる金額」「税金を払うタイミング」「メリット」「デメリット」です。
社会保障(Social Security)米国政府が行っている社会保障制度
退職金制度(Employer-Sponsored Retirement Plans)
個人退職口座(Individual Retirement Accounts, IRA)
個人投資(Individual Investments)
Annuity 生命保険会社が提供する金融商品
生命保険 生命保険を活用して老後の資金にしようする
上記6つのそれぞれの特徴をまとめます。それぞれの詳細は別途、それぞれ単体の記事にします。
1.社会保障(Social Security)
アメリカの公的年金制度で、労働中に支払った給与税(FICA税)に基づいて支給されます。満額支給は66歳からですが、繰り上げ需給は減額されますが、62歳からできます。終身支給され、遺族や障害者向けの支援も含まれます。
2.退職年金制度(Employer-Sponsored Retirement Plans)
401(k) プラン(民間企業)や 403(b) プラン(非営利団体・公立学校)などがあります。従業員が給与の一部を税優遇付きで積み立て、雇用主がマッチング拠出を行う場合もあります。運用益は課税繰延となり、59歳半以降に引き出すことができます。
3.個人退職口座(Individual Retirement Accounts, IRA)
個人が開設できる税優遇のある退職口座です。拠出金が所得控除対象になり、運用益も課税繰延になる「Traditional IRA」と拠出金は非課税にならないが、運用益と引き出し時の税が非課税になる「Roth IRA」の2種類があります。収入制限や拠出限度額があります。
4.個人投資(Individual Investments)
株式、債券、不動産、投資信託などを活用し、リタイアメント資金を増やします。退職口座とは異なり、税優遇はないですが自由度が高いです。長期的な視点でポートフォリオを構築し、リスク分散をすることが重要です。
5.Annuity 生命保険会社が提供する金融商品
保険会社と契約し、一括または分割で資金を払い込み、一定の年齢から定期的に年金を受け取る仕組みです。資金を一括払いしてすぐに受給開始される「即時年金(Immediate Annuity)」と一定期間資金を運用し、後で受給開始する「繰延年金(Deferred Annuity)」があります。生涯収入の保証が得られるが、手数料が高い場合がある。
6.生命保険(Life Insurance)
本来、生命保険は、万が一の際に家族に資金を残すための手段ですが、終身保険(Whole Life)やユニバーサル保険(Universal Life)は、死亡保障に加え、現金価値(Cash Value)を増やす投資要素があります。増えた現金価値を自分の老後の資金として使うことが出来ます。
子供に伝えたいこと
今回、子供に伝えたいことは次の3つです。
1.老後の準備は早くから始めた方が良いこと
2.ただし、老後のことに集中ばかりせず、今しかできないことも満喫すること
3.複数の備え方があるから、それぞれの特徴を理解して自分に合った方法を見つけること
最後に
20代の時に、自分が60代になった時のことを考えて備えることは実感がわかないので、難しいことですが、目標と手段を定めて淡々を準備していくことが良いと思います。
私は、ソーシャルセキュリティ以外には、Roth IRAとIndividual Investmentsにて老後の準備をしています。
次回は、「Social Security」について投稿したいと思います。