ハワイのホテルコンドミニアムは投資にいいのか?
コロナ以前のことですが、お客様から、ある芸能人のブログをみて「ホテルコンドミニアムを買いたいんですけれど」と問い合わせを受けました。
ブログのスクリーンショットを送ってもらうと、芸能人に疎い私でも知っている有名な芸能人の方が、ブログに自分が購入した不動産の写真や、自分で計算した利回り(8.6%)を載せています。
「このホテルコンドミニアム、どれだかわかりますか?実質利回りがいいのでぜひ買いたいんですけど、お手伝いしてもらえますか?」
写真はロビーのものでしたが、すぐどのホテルコンドミニアムなのかわかりました。
でも。。。
そんなに実質利回りが高いはずがない。
念の為、当時このホテルコンドミニアム内で売りに出されていた部屋の最新の収入明細書を入手、管理費や固定資産税、保険料なども調べて確認してみました。
ああ、そうか。
この芸能人の方が計算したのは、ホテルからオーナーに支払われる金額の一年分を購入金額で割った利回り。
確かに賃貸総収入からホテルの経費(ホテル運営会社は総収入の約50%から60%を徴収します)を引いた、オーナーの「手取り」で計算していますが、他の経費が考慮されていません。
他の経費ってなんでしょう?
他の経費その1:管理費
ホテルコンドミニアムは普通のマンションと同じで、廊下やエレベーターなどの共有部分があります。なので、必ず「管理費」(日本だと共益費と呼ばれることが多いと思います)がかかります。
他の経費その2:固定資産税
また、固定資産税もかかります。ホテルコンドミニアムは「ホテル&リゾート」クラスに分類されるので、一番高いレートを使って計算されるため、普通の不動産に比べ固定資産税が高いのが特徴です。
他の経費その3:オーナー保険
それに、ホテルコンドミニアムの管理組合が加入している、ビルの保険(マスターポリシーと言います)ではそれぞれの部屋の中まで補償してくれないため、自分の物件の火災保険(火災だけでなく、他のダメージも保証する補償する「オーナー保険」)が必要です。
(注:ホテルコンドミニアムによっては、管理費に電気代が入っていないところもあるので、その場合、電気代も経費として計算する必要があります。)
なので、この芸能人の方が計算したのは、全くの表面利回りでもなく、実質利回りでもない、その中間にあるような利回りだったのです。
ホテル運営会社からオーナーに支払われる金額から、次の経費を引いた年間の純利益を、購入価格プラス購入時にかかった経費で割ると、「実質利回り」が割り出せます。
単純に年間収入額を購入価格プラス購入時にかかった経費で割って出すのは「表面利回り」です。
表面利回りが高くても、実質利回りが低ければなんの意味もありません。
この芸能人の方が計算した「利回り」は8.6%とブログにありましたが、経費を全て考慮した「実質利回り」は2.5%。
安くで購入できて、再販時に売却益が狙える、と言う感じでもないため(ブログの情報から考えると)、全くの投資であれば、全然魅力ありません。
キャッシュフローだけ見るのであれば、日本の不動産の方がよっぽど数字がいいと思います。
ハワイの不動産を買われる投資家の方は、ほとんどがキャピタルゲイン(売却益)を狙っています。その場合、税金面も考えると、5年以上保持するのが基本です。
投資物件は、この実質利回りと、キャピタルゲインの両方のバランスをみて購入を検討するのがいいでしょう。
結論として、ホテルコンドミニアムは、自分で使ったり、家族やお友達に利用してもらう機会が多い場合は、使い勝手がいいのでおすすめですが、全くの投資先としては、私はおすすめしません。維持費・経費が高いからです。
もし、ハワイの不動産エージェントに「ホテルコンドミニアムへの投資がいいですよ」と勧められたら、現在の維持費(管理費、固定資産税、保険料、ハワイ州に納める2種類の州税)を全部入れた「実質利回り」を計算してもらい、そのエクセルを提出してもらいましょう。その時に、エクセルに入れた「収入額」を確認するため、実際の収入明細書も提出してもらいましょう。
ついでに、そのコンドミニアムの過去の価格推移情報も送ってもらうと、将来キャピタルゲインが期待できるのかどうなのか、ある程度の判断がつくと思うので、よいと思います。
くれぐれも不動産投資は慎重に。