アメリカ・ハワイに住まない人が不動産を売却するときにかかる税金
日本に住む人が、ハワイに持っていた物件を売ることになりました。
さて、どんな税金がかかってくるのでしょう?
買うときにはかからなかった税金が何種類かあります。順に見ていきましょう。
(注意:固定資産税や、エスクロー会社手数料などにかかる消費税はここでは対象としません)
譲渡税 (Conveyance Tax)
不動産が譲渡されるとき、通常売主がハワイ州に「譲渡税」なるものを支払わなければなりません。
この譲渡税は売却価格によってレートが決められています。
また、買主が自分で住むために購入する場合と、自宅として使う以外の目的で購入する場合でレートが違ってきます。
例えば売却価格が$600,000未満だと、自宅として購入する場合は購入価格の0.10%、自宅以外の目的で購入する場合は、0.15%になります。
ちなみに、新築コンドミニアムを開発会社から購入する場合、この譲渡税は買主が支払う場合がほとんどです。
アメリカ非居住者にかかる外国人税 (FIRPTA - Foreign Investment in Real Property Tax Act)
アメリカに住んでいない人がアメリカに所有する不動産を売却する際、税金逃れを防止するため、売却時に「源泉徴収税」として一旦政府が決まった額をホールドします。
翌年、税金をちゃんと申告して、必要な税金(キャピタルゲイン税や収入税など)を支払った上、還付金請求をすれば、この徴収された額は返金されます。
このFIRPTAの額はオバマ政権時に上方修正され、売却価格の15%をホールドされます。
日本に住んでいる日本人が$100,000の物件を売却した場合、売却時に$15,000が源泉徴収されるわけです。
大きいですよね。
ハワイ州非居住者にかかる外国人税 (HARPTA - Hawaii Real property Tax Act)
連邦政府だけではなく、ハワイ州政府も「じゃ、うちも」って感じで同じように源泉徴収をします。
ハワイ州が源泉徴収する税金はHARPTAと呼ばれ、売却価格の7.25%が源泉徴収されます。
FIRPTAのレートが値上がりしたときに、このHARPTAも値上がりしました。
こちらもFIRPTAと同じように、翌年の税金申告時にきちんと必要な税金を支払い、還付金申請を行えば返金されます。
日本に住んでいる日本人が$100,000の物件を売却した場合、売却時に$7,250が源泉徴収されるわけです。
さて、ではここで問題です!
この源泉徴収税、ゲイン(売却益)がなくて、実は損して売るときも払わなければいけないのでしょうか?
答えは、基本的にはゲインが全くなければ免除してもらうことができます。
ただし、FIRPTAの場合は、事前に支払いを免除してもらう手続きが複雑なので、実際はやっぱり一旦源泉徴収税を支払って、後で全額返金してもらう形になります。
ですが、HAPRTAの場合は、事前に(登記の10日前まで)ハワイ州にHARPTA免除申請を提出すれば、審査して事前に免除してくれる場合があります。
譲渡税は源泉徴収税ではないので、納税して、それで終わり。返金などはありません。
HARPTAの免除申請の際、よくみなさん間違われるのですが、単に売却するときの決済明細見積書の額と、購入したときの決済明細書の額を比べるだけの計算ではないのです。
賃貸物件の場合は、ハワイ側でも減価償却をとっている場合が多いので、この減価償却も計算に入れた、いわゆる「簿価」を割り出さなければなりません。
アメリカの減価償却の期間は、購入時から27.5年なので、そんなに大きな額にはなりませんが、でも長年持っていた物件だと、かなり簿価が下がっている可能性があります。
また、ハワイ州にきちんと納税および税金申告をしていないと、許可されません。
ハワイ州の税務局。ゆるいところが結構あるくせに、こういうところはやたら細かくクロスチェックしています。
一旦減価償却税がホールドされてしまうと、還付してもらうまでにかなり時間がかかるので、ハワイ州だけでも、ゲインが全く出ないような場合は、早め早めに免除申請を準備して提出しましょう。
でも、むずかしそう、って?
自分でやる必要はないのです。逆に自分でやると、とっても面倒なので落ち込みます。
費用はかかりますが、この免除申請を代行してくれる税理士事務所がありますので、こういった専門家に依頼しましょう。
売却するときは、担当エージェントに相談すると、税理士事務所を紹介してもらえます。
ちなみに、売却時のコストについて書いた記事があります。参考にしてもらえたら嬉しいです。