メイド・イン・ハワイのプライド そしてチャレンジは続く
著:御手洗ケール
創業1953年。まもなく70周年を迎えるはずの老舗アロハウェアブランド「イオラニ」が今朝、正式にアパレルビジネスからの撤退を発表しました。
よって本日は、当初の内容を変更してお送りいたします。
ここは、8年勤務した私の心の故郷でもあり、大好きな職場の一つです。日本のファンも多く、メイド・イン・ハワイにこだわった服作りは、常に着る人を最大限に美しく、素敵に見せることを意識し、どんな体型の方でもフィットするよう考え抜かれた素材やデザインが特徴でした。
私たちがオーナーの潔い決断を聞いたのは2月上旬。もちろんコンフィデンシャルにつき、ここ数ヶ月は誰にも言えず、悶々としていたので、ある意味ほっとしたと同時に、「やっぱり本当だったんだ」との思いが交錯し、今は想像以上の喪失感に襲われています。もしかしたら、どこかで「やっぱり続けます」という言葉を期待していたのかも。
カイムキのことは気軽に書けるのに、こちらのこととなると、ちょっと手が止まってしまっていたのは、このことが心のどこかに引っかかっていたのかもしれません。
ハワイの歴史と伝統がつまったブランドの消滅がとまらない中、何度も「頑張ってください」という励ましをいただきました。最近はウェディング、お葬式、卒業式など、集まる機会が解禁になるにつれ、ファミリーマッチングが得意なローカルの需要も増えてきたのに、本当に残念でなりません。
イオラニの歴史は、アロハウェアの歴史でもありますが、服作りをやめたら、逆に何でもチャレンジできるというオーナーの決断で、今後はハワイのスモールビジネスをサポートすることに専念するようです。イオラニの名は残し、完全にビジネスをクローズするわけではないのですが、寂しさはひとしお。でも3代続けて老舗を守ってきたカワカミ・ファミリーのほうが、きっともっと寂しいはず…。
思えばこの8年、私も片隅でイオラニの大きな変革を目撃してきました。生地の裁断、ドレスメーキング、アイロン・仕上げ、発送のプロフェッショナルである大好きだったおばちゃんたちが去り、ちょっと怪しげだったビルは、メイド・イン・ハワイのビジネスが入居するイオラニセンターとなり、ストアは今までとは違う人々の目に触れるようになりました。
今後のことは未知数で、ブランドも私達もどうなるかわかりませんが、イオラニのチャンレンジは、まだまだ続きます。2代目の現オーナー夫妻からは、折りに触れ、イオラニにまつわる歴史やおもしろ仰天エピソードをたくさん聞き、冗談で「いつかイオラニの本を書きますね」と言っていたので、自分の中で一区切りついたら、私が見聞きしたイオラニの物語をぼちぼちと綴るかもしれません。その時はどうぞよろしくお付き合いください。
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