泥棒騒ぎからのご近所アプリ
著者: 六甲茂子(ロコモコ)
今日はバレンタインデー。なのに物騒な話題で申し訳ありません。
基本的に平和で安全なはずのハワイですが、最近ちょっと治安の悪化を感じる事が増えてきました。
朝起きたらドアが開け放されていた!
私が住んでいるホノルル市内の住宅地は、基本的にとても平和で学区も良く、お年寄りも多く、かなり過ごしやすいところです。でも先日、我が家に泥棒が入ったのです!
最初に異変に気付いたのは私でした。朝6時頃に起きて、キッチンに行くと、庭へのスライドドアが人一人分ぐらいの幅で開けっぱなしになっていました。
義弟がよく出入りしているので、勝手に奴の仕業かと思い、「全く不用心なんだから…」などと言いつつドアを閉め、シャワーを浴びて仕事に行きました。
しばらくして夫から電話が。何と私達が寝ている間にコソ泥が押し入ったらしい、と。老齢の義母が寝ているすぐ側の机の引き出しに漁られた形跡があり、他にもおかしいところが多々ある…という事で、警察を呼ぶことになりました。
警察官によると…
私は既に会社にいたので、夫が警察に対応。警察が家中を調べて、泥棒に間違いないという事を確認しました。
私達の寝室は無事だったのですが、キッチンやバスルーム、他の寝室2部屋に侵入した形跡が。あちこちに黒い粉をかけて指紋を調べたそうですが、家族以外の指紋は発見されなかったそうです。当然、プロの泥棒だったら手袋はしていますよね。
その後、ご近所に聞き込みに。警察によると、最近はこの辺りでも空き巣やコソ泥が頻発しており、もう安全な場所はどこにも無いとのこと(そんなぁ〜)。
でもご近所の聞き込み中に大収穫があったのです。
防犯カメラに映っていたのは⁈
ご近所に引退した保護観察官で、防犯活動に熱心な年配の男性がいます。最近空き巣が多いという事で、彼が通りに向けて防犯カメラを仕掛けていたところ、我が家に押し入った犯人がバッチリ映り込んでいたのです。
午前3時25分、寝静まった通りをゆっくりゆっくり進む一台のSUV。どうやら2、3人乗っているようです。マスクとニットキャップ着用で人相は分かりませんが、通りをずーっと物色し、我が家の向かいに車を停めると、姿勢を低くして我が家に侵入した様子が映っていたそうです。
ご近所さんはさっそくビデオをコピーして、警察に提出。車は盗難車だろうし、多分捕まえる事は難しいかもしれませんが、奴らの手口がわかっただけでも、大きな収穫でした。
盗まれたものは?
警察が去った後、家をじっくり調べたのですが、幸いな事に高価なものは何も盗まれていませんでした。机の引き出しにあった小銭が盗まれただけだったので、ホッとしていたのですが…
後から気付いたのですが、何とクローゼット(ドア無し)から、夫の大事な商売道具が盗まれていたのです。それは…
サンタクロースの衣装!
夫は冬場、サンタ派遣業をしているので、常に家には何着ものサンタスーツがあるのですが、その中でも特に、舞台衣装のデザイナーさんにオーダーして作って貰った特別豪華なサンタスーツが盗まれたのです。
わりと高価なものだけど、一般人には用が無いのに。いったい何故…?
でもお気に入りの商売道具を盗まれた夫は、すっかり落ち込んでしまいました。
SNSの効果テキメン
ポリスレポートの番号を取得した後、警察官を含め友人やご近所さんから夫が勧められたのは、SNSで呼びかける、という事でした。
ハワイのような小さめのコミュニティは、何かにつけて口コミや紹介が実力を発揮します。言い換えると、まだまだ助け合い精神が残っているのですね。
Facebookに、「Stolen Stuff Hawaii (ハワイ盗難情報)」と言うグループがあり、かなり活発に更新されているので、そこに夫が書き込んだところ、すぐに何人かから反応がありました。
その中に2人、同じような書き込みがありました。「Next Doorで見たんだけど、盗難車が見つかって、その中にサンタの衣装があったんだって」と言うもの。
Next Doorって何? と思って、書き込んでくれた女性に詳細を聞いてみたところ、平たく言えば「ご近所かわら版」のようなアプリで、売ります、買いますや、迷い犬猫情報、失せ物情報などが随時アップされているとの事。
さらにその女性は親切な事に、Next Doorで書き込んだ人に連絡を取ってくれ、警察の証拠物保管室の連絡先まで教えてくれたのでした。
この島でサンタスーツがそんなに盗まれるわけは無く、当然それは夫のものでした。無傷で見つかってホッ。
思うに、コソ泥は、暗闇でサンタスーツを毛皮のコートと間違えて、盗み出したものの、明るいところで見た途端ガッカリして打ち捨てたのでしょう。
因みにサンタスーツの側にはバケツ一杯の車の鍵があったそうです…スペアキーを盗んでいたのですね。我が愛車は無事でしたが、車の盗難は本当に多いのです。知り合いで、目の前で盗まれてしまった人も。
それにしても、SNSの効果はテキメンでしたね。その後、ハワイならではの口コミ(地元ではココナッツ・ワイヤレスと言われています)の威力に感動、夫と共に即Next Doorにサインアップした事は言うまでもありません。
周りの反応は?
泥棒に入られたと知って、さっそくハワイ在住女子5人のメンバーや仕事の同僚に報告しました。何だかとても気味が悪いし、誰かに打ち明けたかったのです。
するとどなたもとても心配してくださり、恐縮と共に、皆さまの優しさにジーンと感動してしまいました。
同僚の中には、同じく空き巣に入られたという人がかなり多く、「すぐ全部のドアノブを変えた方がいい」、「ホテルのドアのようなチェーンキーを付けた方がいい」、「防犯カメラはウォルマートが安い」、「鍵はわかりにくいところに仕舞うべし」、「犬を飼うべし」などなど、たくさんの有益な情報が得られました。
ハワイに来て22年、一度も空き巣に入られた事がなかった私は超ラッキーだったのですね。大騒ぎしてしまったのですが、ハワイでは「よくある事」だったようで。
と、一連の泥棒騒ぎは、あっという間に終結した訳ですが、でもプロ(であろう)窃盗団はなかなか逮捕もされず、まだまだ雨後の筍の如く現れてくるわけです。
真面目な市民は先手を取って自衛し続けるしかないなんて、何だかなあ…と切なくなるのでした。軽犯罪だってれっきとした犯罪なんだし、ね。