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祝70周年!名画「ローマの休日」の色褪せない魅力に感動
著:御手洗ケール
最近の映画は、切ない結末が多いように感じるのは気のせいでしょうか。もしかしたら、無意識に心が晴れるようなハッピーエンドとは行かないストーリーばかりを選んで見続けているのかもしれません。何しろ今年初の映画は、元旦の夜に見た「バビロン」。なんとなくこの流れを予感させるスタートでした。
そんな中、デジタル・リマスター版の普及により、ハワイでも往年の名作がぽつぽつと1日だけ上映される機会が増えています。先日は、公開70周年記念で「ローマの休日」の上映があると知り、劇場へ足を運びました。何度もテレビで見たり、DVDも持っているはずだけれど、もしかしたら大きなスクリーンで見るのは、人生初だったかもしれません。
この映画を見るのは、本当に何年ぶりだったでしょう…。ストーリーはほぼ覚えていたのも関わらず、ディテールはちょっと思い違いをしていたところもあったり、大画面で見ると、細かいところに目が行くのも面白い体験でした。それにしても、オードリー・ヘップバーンのチャーミングなこと!これが彼女の本格的な主役級のデビュー作だったと記憶していますが、1日だけの自由を手に入れた王女を自然体で演じたオードリーは、紛れもなく私を幸せな気分にしてくれました。物語は決してハッピーエンドではないけれど、安心して身を任せられる2時間を過ごし、まるで自分もローマにいるような気分で、映画の魅力に引き込まれました。名画として、ずっと愛されてきた理由がよくわかります。やっぱり映画はこうでないとね!
折しも、2月14日のバレンタインデーには、オードリーの「ティファニーで朝食を」、そしてその前には25年ぶりにあの「タイタニック」が3Dでスクリーンに蘇ります。見る年令によって、感じ方が変化するのも映画の面白いところ。そこには何十年経っても変わらないヒロインやヒーローがいて、同じ物語を語りかけてくれる。一度見たからといって、もう見なくていいと決めてしまうのはもったいないと、改めて思わせてくれた「ローマの休日」。
真剣に人生を考えたり、知らない世界の知らない価値観に打ちのめされるのも映画の醍醐味ではあるけれど、たまには昔の映画を見ることをおすすめします。そして機会があれば、ぜひ大画面で。
今年のオスカー候補の10作品は、いずれもいい映画ですが、70年後にも見てもらえる映画が選ばれるといいな。