左のタマタマとボクの1105日戦争。
たしかに手術台に寝転んでいる。嫌だけど、嬉しい。3ヶ月待ちの新車を迎えるような気分。ボクの肥大した大きな左のタマタマは本日をもって普通のタマタマに戻ります。キャンディ―ズが「普通の女の子に戻りたい!!」って絶叫したあの気持ち、分かる気がする。叫んでいるよ、ボクのタマタマも。
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妻と付き合い始めたのは20歳の頃。出来ちゃった結婚に対して否定的だったボクは、おせっせする時は必ずゴムをしていた。だって、子どもは簡単にできてしまうものと思ってたから。順番はキッチリと守りたい。長いお付き合いとなる大切な人やから。セックスは短いけどな。やかましいわ。
AV男優の様にあの手この手の組体操のようなおせっせを見ると、あれはもはやスポーツ。アマチュアのボクには向いていない。
5年付き合い、無事ゴールイン。子どもが好きなボクたち夫婦は、すぐに子作りを始めた。そう、子どもは簡単にできるものと思ってたから...。
夫婦2人の結婚生活が2年目に突入したとき、そろそろ考え始める。
「あれっ、子どもってこんなにできひんもんなん?おかしない?」
生理がくるたび、気丈な姿を見せるも背中から悲しさが滲み出てる。妻の浮かない顔を見るのがつらい。こうゆうときは、男のボクがシャキッとせんとな。
「ちょっと、病院行ってくる」
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3日後、とある泌尿器科の待合室にボクはいた。こうゆうことは早い方がいい。おせっせも早いしな。やかましいわ。
診察室に入ると、日常生活等問診が始まった。睡眠はキッチリ取れているか?運動はしているかなど、当たり障りのない話。そして、なぜ不妊外来にきたのか、結婚してからすぐに子作りをしたけど、なかなかできない経緯を説明した。
先生「パンツを脱いでこちらのベッドに寝転んで下さい」
当たり前の話なんですか、大の大人がフルチンでベッドに仰向けで寝転ぶのってめちゃくちゃ恥ずかしいんですよ。女性が産婦人科でご開帳するんもめちゃくちゃ恥ずかしいんやろうな。その気持ちに少し寄り添えた気がする。でも、恥ずかしいとかそんなこと言ってられない。覚悟を決めベッドに寝転び、生まれて初めて成人男性にタマタマをモミモミされる。香田晋が脳裏をかすめる。おいしくできるかな。
先生「他の人よりも左のタマタマが大きいと感じたことないですか?」
ボク「えぇぇ....!?あるわけないじゃないですか.......(あっ!!!そうや、中学1年生のときにトランクスデビューしたあの日。左のタマタマがトランクスからはみ出してた!!せやから、ボクサーパンツに変えてこの肥大した左のタマタマの存在を隠していた!せやせやせや!)」
先生「はうこさん、あなたの左のタマタマの血管に静脈瘤があります。おそらくこれが原因かと思います。ただ、精子の状態も知りたいので、1週間後に精液検査をします。検査する精子は、一度出して3~5日間貯まった精子でないといけないので、この日に自分でちょっちょっとして出しておいてください」
要約『検査の3~5日前にはシコれよ。ちゃんと精子を絞り出しとけよ。鮮度のいい精子で検査すっから!』
ってことか。すごい。オナニーは医療行為なんや。みんな、恥ずかしがらず胸を張ってオナニーをして欲しい。
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7日後
自動ドア「ウゥィーん」
精液検査の日がやってきた。事前にマジックミラー号を見て精子を絞り出したワイに死角はないっ!!凛とした態度で受付に向かい元気よく叫ぶ。
ボク「精液検査しにきましたっ!」
案内されたのは、1.5畳ほどの小さなスペース。テレビと合皮のソファー、そして無造作に積み上げられたエロ本とエロDVDがそれぞれ5つ。
看護師さん「この容器に出された精子をいれて、名前と日時を記入して下さい」
透明のプラスティック容器を渡される。理科の実験か。今までは、ほとばしる熱いパトスで飛び出した我が精子は優しさ(ティッシュ)に包まれていた。
いつものオナニーも今日だけは景色が違う。まだ見ぬ我が子のため。この先の子孫繁栄のため。これほどまでに尊いオナニーが未だかつてあっただろうか(いや、ない)。
先に無造作に置かれているエロ本とエロDVDを確認をしておく。先生からボクへ、何かしらのメッセージが込められているかもしれない。医者と患者の性癖を擦り合わせておくことは、今後の医療方針を決める上でも極めて重要なことと思われる。
エロ本に興味のないボクはすかさずDVDを視姦する。
ほほぅ。バリエーション豊富じゃないか。
他にナース系も豊富にあった。やらしい...実にやらしい。ボクが先生なら絶対にナース系は絶対に置かない。人権失う。でも、「失われる人権」と「病院でナース系のアダルトDVDを見るという背徳感と高揚感」を天秤にかけたときに、この選択をした先生はノーベル平和賞もの。感動した!!
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それでは始めます。
自慰の呼吸 壱ノ型 手淫
※イラスト自粛
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診察室「こちらへどうぞ」
どーん!
『これがあなたの精子です。ほとんど死んでいます。これでは自然妊娠は不可能です』
初めて見る我が子。いや、我が精子。プレパラートの上で微かに泳ぐオタマジャクシのような生き物。精子ってほんまにオタマジャクシみたいやねんな.....…わたしがおとーちゃんよ。こんにちは!元気ですかぁっ!?自分の分身を目の当たりにして、待ち侘びていた我が子の存在が近くなり、また遠くなった。
先生「左のタマタマの血管に静脈瘤があります。病名は『左精索静脈瘤』です。静脈を通して心臓に戻るはずだった血が静脈瘤により戻れずタマタマの中の温度が平均より1〜2°Cほど高くなっています。このことにより、精子が死んでいる可能性があります。破裂するような危険性のあるものではないのですが、子どもが欲しいなら手術が必要です。ご家族で一度相談してみ」
ボク「はい、手術します!明日にでも手術したいです」
先生の話を被せるように答えた。原因が分かった気がして嬉しかった。
先生「3ヶ月待ちになるので、最短でも3ヶ月後です」
ボク「3ヶ月後......えらい人気のある手術なんですね。よろしくお願い致します」
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そして手術をして、半年後に第一子を妊娠!!!もうこのときに感動は言葉では言い表せない......。その後、トントンを第二子も誕生!!あっ、大事なこと言い忘れましたが手術後のタマタマが思いっきり腫れて真っ青になりました。このままポロっと取れるんとちゃうやろうか?という心配がありましたが、今は元通り「普通のタマタマ」に戻りました。
少しでも精子の状態を良くするために、ボクサーパンツからトランクスに変えたり(蒸れてタマタマの温度が上がらないようにするため)、漢方薬とビタミン剤をかかさず飲んだりと、なんやかんやケアを頑張ったな....。人生で1番精子と向き合った。
その後、人工授精6回、そして嫁さんの子宮筋腫発覚からの手術といろいろ過程を得て妊娠をするも、心拍確認できず...。これはつい最近。
待ち望んでいる第三子の誕生を期待しまた漢方薬とビタミン剤を飲む日々を過ごしております
ボクのポンコツ精子が少しでも良くなるように皆さんでお祈りして下さい。ザーメン!
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「お前のポンコツ精子、死んでるで」という現実はなかなか受け止められないんですよ。うすうす気付いてない?なかなか子どもできひんなって。
デリケートな部分で、なかなか子どもができなくて悩んでいる奥さんも旦那さんに「ちょっとあんた精液検査行ってきて!」と言いづらいはず。
思い当たる節がある旦那さん!!
考えるな、行け。そこにエロDVDがあるから!話のネタにもなるしさっさと検査に行ってこい!!女性の卵子は年齢とともに元気がなくなっていくのよ!あなたのクソなプライドが奥さんを傷つけることになるんやから、さっさとシコって行ってこい。ボクはもっと早いこと病院に行けば良かったと後悔しているタイプです。考えるな。行け。
思い当たる節がある奥さん!!
旦那さんに「こんなクソつまらないイラストのnoteがあるから読んでみて」と話を振って下さい!!旦那さんの何かスイッチを押すことになるかもしれません!!はよ!無料だから、はやく読ませて!!
ーーーーーーー追記(2022.03.16)ーーーーーーーーー
そしてついに...
うひゃー!!!!