感想がほしいとかほしくないとかの話

表現者（というご大層な言い方をするのもなんだが）たるもの、作ったものに対して何かしらの反応が欲しい。さらに言うと感想がほしい。これこれこういうところにこういう印象を受けてこう思いましたと言ってもらえると泣いて喜ぶ。というようなツイートがよくRTで回ってくる。当然私もそうだ。

…と言いたいところなのだけれど、実はそうでもないことがあるなと思っている。いや、基本的には嬉しい。表現というのは排泄に似ているところがあって、であるからしてそのうんこ（汚くてすみません）みたいなものに感想をくれというのもだいぶ図々しいわけで、吐き出しただけで満足するべきなのだが、それでもやっぱり誰かからのリアクションがないとしょんぼりする。だから感想をもらえるととても嬉しい。嬉しいのだけれど、なんというか、時々怖くなる。

たとえばだ。おそらく主に小説についての話になると思うのだが、自分が全く意図していない解釈をされた感想がきたらどうだろうか。己の力不足を痛感させられはしまいか。
読者があるアウトプットを読んでどう感じるかについて、作者はなんらの権限も持たない。どんな感じ方であれ、それを否定する権利はない。なればこそ読者のうちに生まれる心象風景をいかにして自分の恣意に沿わせるかに、書き手は腕をふるう。ここでこんなふうに萌えてほしいという気持ちを作品にぶつける。
だからそれが効いていなかったということが解ってしまうと少し悲しい。

あるいはこういう例もあるだろう。直接言うということはあまり考えられないとは思うが、たとえば間接的に、具体的にはTwitterのRTのあとにつけるコメントだったりが全面的な肯定でなかったらどうだろうか。批評/批判する自由はたしかにあるが、書き手としてそれはあまり見たくない。少なくとも私はべた褒めされたい。だってアマチュアの趣味なんだもの。

ちなみに蛇足かもしれないが、以前「小説書きに作品のワンシーンをイラストにしたものをもらえるとめちゃくちゃに喜びます」的な趣旨のツイートを見かけたことがある。だが私はこれには賛同しかねる。
小説の書き手は文字の上でしか表現できないものを表現しようとして文章という形態を選択しているのであるから、絵にされてしまうというのはそういう意図を踏みにじられたような気持ちになる。いや、描くのはもちろん自由だ。ある作品に感銘を受けてこれを映像化したい！と思うのは絵描きの感情の発露なので止めようがないし、描いたなら原作者に見せたいという気持ちもわかる。
けれどもこちらには前述の通りある手段を選んだそれなりの理由があるのだから、私なら視覚的に表現したいものがあれば拙くとも自分でやる。もしくは技量が足りないのであれば黙って誰かがやってくれるのを待つ。一度自分で描いた漫画をノベライズするということをやってみたことがあるが、実験としては面白かったものの、総合的に言うとあまり愉快な経験ではなかった。
蛇足の蛇足だが、小説の挿画やコミカライズや映画化、逆にノベライズはなんかは別に苦手ということもない。あくまで自分が書き手だったときにもやもやするなー、という話で、なにかを焼き直しすること自体のクリエイティビティを否定するものではない。
閑話休題。
そんなことを言ってみたものの、でも本当のところはわからない。なぜならそういう経験がないからです。実際にやってもらえたら死ぬほど嬉しいことなのかもしれない。その可能性は大いにあると思う。

とまあぐちゃぐちゃ言ってきたわけだけれど、最初にも述べたように、基本的に感想をもらうというのは嬉しいことです。意図と違う解釈がどうたらとか言っているけれど、自分が思っても見なかった視座があったのだ、という気づきは新鮮で面白かったりもする。

あと便利だなーと思うのは、pixivの評価やブクマ、TwitterのRTやいいね、noteのスキといった類の意思表明のあり方だ。これなら、受け手にしてみれば口下手でもなにがしかの好意をそれに抱いたということが伝えられるし、書き手にしてみればああ誰かが見てくれている、かつなにかリアクションしたいと思ってくれているということがわかる。とても励みになる。

というわけなので、お手柔らかに感想ください。できれば褒めてください。どっとはらい。