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ファッションとか化粧の話その3(お題箱より)

わたしの体には後天的にできた穴がたくさんある。

というとなんとなくグロいが、要するにピアスの話である。わたしは耳と舌と臍にピアスをあけている。

内訳を話すと、右耳にインダストリアルとヘリックスとロークとインナーコンクとロブ、左耳にヘリックス×3とトラガスとロブ×2。あとはセンタータンとナベル。と、カタカナでずらずら述べているがどういう部位かはこのあたりを参照していただくとして、10年くらいをかけて計14個の穴を開けた。

最初は高校2年生のときで、一番ポピュラーな左右ロブ(耳たぶ)に開けた。近所の整形外科で、今にして思うとピアスに関してはヤブだった。美容整形外科とかピアッシングスタジオのほうが断然よいというのはあとからわかったことだった。
次がその翌年、左右非対称だとバランス的にかっこいいのかな、くらいの気持ちで左のロブを一つ増やした。

最初にヘリックス(軟骨)に開けたのはたぶん大学に入ってからで、ドンキなんかに売っているピアッサーで自分で開けた。(が、だいぶ失敗して斜めになってしまい、後にすぐそばにあけ直している)。
そのあとは暫く落ち着いていたが、大学の卒業記念じゃないが、なんとなく派手なものが欲しくなり、右にインダストリアルを開けた。画像を見てもらえれば早いのだけれど一応文書でも説明すると、耳軟骨の上部と真ん中あたりを長い一本のピアスでつなぐやつである(なので穴はニコイチになる)。
このあたり記憶が曖昧なのだが、この次に左の2個目のヘリックスを開けたのだったか。アンテナとも呼ばれる、耳の頂点あたりに垂直に開けるものだ。
前後して開けたのがトラガス、耳の穴の前部分である。これは新宿の整形外科で開けたのだが、どう考えてもニードルじゃなくて市販のピアッサーで開けられたので、だいぶ損した気持ちである。安かろう悪かろうだ。
このあたりでちょっと変わった部位というか、耳の輪郭部分以外のところに穴をあけることにハマりだした。ので、次に選んだのがインナーコンク(耳の穴のやや外側あたり)。ほんとうはスナッグをあけるつもりでいたのだが、スタジオでなんやかや相談して変更した。

薄々気づいてはいたが、このあたりからもはやピアスはファッションとして人に顕示するためのものではなくなっていた。開けてしばらくたつと次があけたくてたまらなくなるのだ。
軟骨に開けた経験のある人はしばしば癖になると言うがそれは本当の話で、ピアスをあけるという行為自体に依存性がある。

それで手を出したのが舌だった。
舌にピアスをあけているというと、酒の席だったりするととくに、だいたいフェラチオの話になる。ピアスのついている舌で舐められると快感が増すとか増さないとかの話らしいが、以前noteにも書いた通り私には雄の性的パートナーはいないし今のところいらないので関係がない。ただただあけたかったからあけた。
舌にピアスをあけようと、当然自己申告して見せびらかせない限り人にはわからない。だからこれは私があけた中でもっとも純粋にピアスをあけることの快感とその後得られる満足感を体現している。ある種の誇りを感じすらする。当然塞ぐつもりはまったくない。
舌は回復が早いのでケアも簡単(食後にマウスウォッシュですすぐだけ)だし、1ヶ月ほどで穴が完成する。ただあけた直後は口の中いっぱいに舌が腫れ上がり、ろくに食事ができなくなる。事前にそれを知っていたのでゼリー食を買い込んでおいたが正解だった。
舌にピアスをあけている弊害というのはあまりないが、巻き舌は以前よりしづらくなった。別にロシア人でもオーストリア人でもイタリア人でもないのでそれで困ることはとくにないが、たしかに酒が回ってきたりするとまっさきにラ行が言えなくなる。
あと、麺類は絡む。そしてこれは想像もできなかったのだが、パインアメ、あれの穴がちょうどピアスにジャストフィットしてしまい、なめられない。ので、パインアメを愛好している方には舌ピアスはおすすめしない。

時系列順で言うとその後が右ヘリックス(インダストリアルの間に自分で)、3つ目の左ヘリックス、臍と続く。最新が右のロークで、これはまだ穴ができあがっていないと思う。

ちなみに痛くないのか、とよく訊かれるのだが、基本的にピアッシングはどこに開けるのでもさほど痛くない。確かに生傷を作るわけなのであけた後しばらくはじわじわ痛みはするものの、あける瞬間について言えば足の小指をタンスの角にぶつけるほうが100倍は痛い。ちょっと強くつねられるくらいの感覚である。ちなみに軟骨が一番痛いらしく、舌が一番痛くなかった。

ピアッシングの何がそんなに依存性をもたらしているのかはよくわからない。ただ、穴をあけたあとで鏡を見、きちんと金属が身体の一部を貫通しているのを確認するとえもいわれぬ充足感がえられる。
依存性があるということは離脱症状が徐々に強くなるということを指してもいて、開ければあけるほどにあけたりないという気持ちになる。今鏡を見て、10数個の穴があいている自分の耳を見ても、「たくさんあいているなあ」という気持ちにはまったくならない。むしろ足りない。もっと、もっとという気持ちになる。現に今も開けたくて仕方がない。左のスナッグがいい。ロブももう一つずつふやして、右2の左3にするとバランスがいいかなと思っている。

ところでタトゥーも入れたい。以前友人にそう漏らしたら、まずは臍ピアスをやってみて、それで満足できなかったらにしなさい、というアドバイスをもらった。臍ピアスを開けた今、けれど上述のように全く満足していない。
しかし親が猛反対しているので、これ以上親不孝ものになりたくないわたしは今とても悩んでいる(三度の飯より孤児が好きだが、わたし自身はとても仲の良い家庭に育っている。だからこそなのかもしれない)。それに、ピアスなら抜いておけばふさがったり目立たなくなったりするが、タトゥーは一生ものだ。今後規制が緩和される可能性があるとはいえ、プールや温泉にも入れなくなる(まあこれは、小さいものなら隠す手段がいくらでもあるので問題ないのだが)。
悩んでいるのだが、以前一度タトゥーを入れたいと思っている部位にタトゥシールを貼ってみたら幸福感と自己肯定感が一気に上がってだいぶ快かった。ピアスを開けた直後の気分に似ている。
実はもう図案も作ってある。一生ものなら一生嫌いにならないモチーフがいい。そういうわけで、椎名林檎にちなんでジオメトリックな林檎の図柄を自分で考えた。これを左の鎖骨あたりに入れたいと考えている。

というわけでわたしの2017年の目標はピアスをあと3つ増やすこととタトゥーを入れることである。

ファッションとか化粧の話は次回で最後にします。和装の話です。ほんとうにだらだら長くてすまんな。

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歯塚傷子
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