キングスマン:ゴールデンサークルを観た
観てきました。陳腐な言い方を許していただけるならば「控えめに言って最高」。ので、この興奮を忘れないうちに感想文などしたためておきます。開始30秒でこれは最高のやつだと確信できる映画も稀です。
大概ヒット映画の続編というのはグダつくのが定番ですが、いや、こいつに関しては前作を超えているのではないか。続編の方がよかった映画は、わたくしKING OF PRIDEしか存じ上げません(あれもキンプリの5000倍くらいプリズムのきらめきを浴びられた)。
そういうわけで私は今いきおいバーボン(40度)をオンザロックでキメた状態でこれを書いております。
一点だけ口惜しいところがあったのでまずそれを言っておいて、それから大絶賛しとこうと思います。急いで付け加えますが映画本編についての不満ではなくって、単に私が口惜しかったなあという点についてです。
ということで、以下ばりばりネタバレしつつ感想をば。
麻薬戦争って
ここなんですよね。麻薬戦争っていうタームが、私が健全な生き方をしているからなのか日本人全般に馴染みがないのか(後者だと思いたい)、ちょっとピンとこなかったのが心残りでした。多分向こうの文化圏ではもうちょっとカジュアルな概念なのでしょう。
ところでメキシコとかアムスとか一番アカンことになってたと思います。私もアムスで一服やりそうになったもん。やらなかったけど。
バカギミック最高
もうね、のっけからイイんです。トップルーフから追尾ミサイルが出てくる水陸両用の車とかバカすぎる。電撃ビリビリの投げ縄とかバカすぎる。超高速で回転するロープウェイとかバカすぎる。人肉ミンチもバカすぎる。野球ボール型手榴弾をバットでノックとかバカすぎる。バカの考えることですよあれらは。念のため言っておきますが超褒めてます。
前作はどちらかというとガゼルさんの殺人義足とか、仕込み靴とか傘とかカッコイイ要素のほうがでかかったと思うのですが(いやでもイギリスの第二の国歌とすら言われる名曲『威風堂々』に合わせて首が飛ぶのとソビエトのレガシーで宇宙に行くのはバカすぎた)、今回はとくにバカに振ってくれて本当にありがとう。バカ!
メカ重点最高
今作はサイバネティックメカ要素が前作の8割増しぐらいで、ほんとにもう、ああいうののフェチは観ないと絶対に生涯後悔すること間違いなしです。かくいう私もああいったものには激弱であるので、すばらしく満たされました。
つよい義手もそうなんですが、オイランドロイドめいたメイドロボも素敵。
いいよね。いい。後世に語り継ぎたい。
前作ファン泣かせ
私は人死にが大好きなのでそれだけでもバンバン人が死ぬキングスマンヤッター!という感じなのですが、反面「死んだと思ってた人物が実は生きてた」というようなやつは基本的にあまり好きくありません。なので、続編が発表された時点でコリン・ファース続投と聞いてちょっとがっかりしたのですが、いや、ありがとうございます。ガラハッド(ハリー)とガラハッド(エグジー)のコラボレイション、アツかった。
前作のリフレインが入るたびに私は嗚咽を抑えるのに必死でした。上映中にカバンガサゴソやってごめんね周りの人。ハンケチが必要だったんですって。だって酒場のドアをロックして「manners makes man」とかエグジーの婚式の前のとこの鏡のシーンで「何が見える?」とか、泣かせにかかってるじゃないですか。ぼろぼろ泣きました。うまいことやるもんだ。
ロンドンは良い
ちょくちょく海外旅行にいくのでそちこちの都市をみてきましたが、中でもやはり一番好きなのはロンドンなのです。国会議事堂の先っちょの尖ったところに刺さって死にたいくらいには好きです。
であるからして、二階建てバスが出てきたりサヴィル・ロウに場面が移ったり遠景でロンドンアイが映ったりハイドパークに突っ込んだりスコットランドヤードが出動したりするたびに涙腺が緩みました。また行きてえー!
音楽が良い
前作の威風堂々の使い方がめちゃめちゃだったのは先に述べた通りですが、音楽の使い方が巧妙な映画ってのはいいもんです。ダイ・ハード(最初のやつね)の第九なんかも然り。
今回はやはりカントリー・ロードでしたね…マーリン!!威風堂々で笑いを禁じえなくなってしまったのと対照的に、今後カントリー・ロードを聴くたびに目頭が熱くなってしまうんだと思います。
舞台が移るたびにその場にちなんだ音楽をセレクトしてくるセンス。そりゃベタっちゃあベタなんですが、いいもんはいいんです。
あと、戦えるタイプのエルトン・ジョンが強すぎる。あれ原曲知らないのですが(すみません)、ただ特別出演させるだけでなくきちんと伏線になるように歌わせる素晴らしいワザマエよ。
セルフオリエンタリズム(の西洋版)って悪くない
ごめんなさい、自国文化を逆輸入的にあえて誇張していくことを欧米の文化圏でなんというのか無知であるがゆえに知らないのですが、キングスマンのキモは結局、イギリス!だから英国紳士!だから背広(一説によると背広の語源はサヴィル・ロウらしいですからね)!王室!傘は細く巻けば巻くほどクール!アメリカ!だからカウボーイ!ゆえに投げ縄!パラシュートは星条旗!ベースボール!我らが合衆国(ステイツ)!こういう、諧謔的・あるいは自虐的な自国文化の使い方なわけですよね。いかにも皮肉屋の英国人らしい(適当言ってます)。イギリスといえば007だし、アメリカといえば西部劇ですもん。
肌感覚なのですが、イギリスに行った時には王室大好きかよな空気を感じましたし、アメリカに行った時はここは合衆国!という誇りなんだか奢りなんだかようわからん感じのプレッシャーを感じたのは確かです。で、それをセルフパロディ的に用いてくると。一種のユーモアなんですよね。
総じて
語彙がそろそろ尽きてきたのですが、というか最初から馬鹿丸出しの文章ですまねえのですが、滅茶よかったです。観られてよかった!泣けて笑えて、素晴らしい映画でした。2018年いいスタートを切れました。
ところでマーリンとロキシー生きてるよねあれね。また続編やるんでしょうか。やっぱりグダつかないか心配ではあるんですが、きっと観ます。
あとスウェーデン王室は訴えていいと思うぞ(ちなみにスウェーデンの王宮もえらい荘厳でいいところです)。