9月は落鮎
明日は休みで徒然なるままに。
頑張れ若者シリーズ!季節のお誘い編。
9月は鮎。9月に鮎というと意外に思うかもしれない。鮎は初夏のイメージだ。が関東では鮎の盛りは9月だ。
京都人は香りの高い初夏の「若アユ」を好むが、東京人は昔から産卵のために川を下る脂の乗った「落ちアユ」を好む。
晩夏から秋にかけて女のコに「アユ食べに行かない?」と声をかければ、それはもうムチャムチャ知的なお誘いだ。
しかも、行く先はエッチな雰囲気ゼロの天然鮎を誠実に出すというだけの専門店。これは高度なデートである。
まるで中島敦の短編小説「名人伝」に出てくる「不射の射」(弓矢を使わず睨んだだけで鳥を射落とす技)のような店、と言っておこう。
東京都心で天然鮎を食べるなら新橋の鮎正に尽きる。
山陰の小京都・津和野の隣町、日原(にちはら)で昭和初期から営業を続ける老舗旅館「美加登家」が1963年に新橋に出店した鮎料理の専門店。
6月から10月までの間、日原の町を貫通する「日本一の清流」高津川で獲れる天然鮎を本家から直送してもらい、天然鮎のコースを出す。
46年続いた旧店舗は再開発のために移転を余儀なくされ、2009年10月に第一京浜の1本裏の通りの今の小ビルに移転。新店は1Fがカウンター9席とテーブル12席。2Fは畳敷きの個室テーブル席。
客席もオープン・キッチンの厨房も、ぶっちゃけ街場の大衆食堂のような印象で高級感も雰囲気もゼロ。
よく見ると、フロア係が和服姿なのと客層が金持ちそうな大人ばかりなのが大衆食堂とはかろうじて違う点か。
冬場はふぐやスッポン鍋を出すそうで、それはそれで相当美味いらしいが、しかしこの店に行くなら断然6〜10月だろう。
東京で天然鮎の鮎づくしが食べられる店は、おそらくここだけ。塩焼きや素揚げはもとより、刺身、酢の物、汁、うるか(鮎の内臓の塩辛)、仕上げには、ほぐした鮎の身が入った炊き込みご飯。これはもうホント「参った!」というほど美味い。https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13001495/