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ネクロパレード
至高の芸術は「降りてくる」。そう銘打ったネクロマンサー達のダンスコンテストに、私は日本代表として参加していた。踊る骸骨、ドールと歌う少女、悪魔憑きのロボットダンス、ここでは怖さも審査の対象だ。
私達が首を長くして出番を待つ中、浅黒い肌の術師が、客席に向かって粉をふりまいた。それを吸ってしまった観客は酩酊したように、フラフラとステージを彷徨い始める。
あれはゾンビパウダー!一般人を巻き込むような危険な薬物は禁止されているはず。だけど注意するはずの、審査員も司会もみんなゾンビになって、スリラーを踊っている。
その時、ピューッと尺八の音とともに臆病風が吹いた。
赤ちょうちんが前を跳ね、ろくろ首の私は唐傘を持って下駄を鳴らす。後ろには続くは一つ目入道に火車…
小太鼓のビートに乗り切れないゾンビ達を蹴散らして、悠然とステ―ジを進む百鬼夜行の登場に、悲鳴と歓声が入り混じる絶叫が会場を包みこんでいく。
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