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中山グランドジャンプ全出走馬紹介

4月13日(土曜)中山11Rは第21回中山グランドジャンプ(J・GI)。芝の4,250mを走り、1着賞金6,600万円というJRA障害戦の最高峰のレースだ。
今年は11頭が出走するが、その全馬を紹介する。

1枠1番 ニホンピロバロン(牡9、栗東・田所秀孝厩舎)63㌔ 白浜雄造騎手
馬主・小林百太郎氏 生産・福岡清氏(新ひだか町)

平地で37戦3勝の後、2015年11月、5歳で障害に転向した。初戦を勝つと、2着1回を挟み5連勝を飾った。その中には京都ハイジャンプ、阪神ジャンプSの重賞2勝も含まれる。
しかし、2016年11月の京都ジャンプS2着後に屈腱炎を発症し、長期休養を余儀なくされた。しかし関係者の苦労が実り、見事に克服して2018年3月のペガサスジャンプSで復帰し2着。
昨年の中山グランドジャンプ3着の後、暮れの中山大障害で石神深一騎手の手綱でタイセイドリームに鼻差競り勝ち優勝。ついに、悲願のビッグタイトルを手にした。
障害戦は通算11戦7勝②着3回、落馬0回。今回は昨年の中山グランドジャンプで騎乗した白浜騎手が騎乗する。
2016年3月のオープン戦で勝った時の2着がオジュウチョウサンで、現時点で「障害戦でオジュウチョウサンに最後に勝った馬」でもある。
【最終追い切り】栗東・坂路・重
800m 60.5-44.0-29.2-14.5(馬なり)

2枠2番 ミヤジタイガ(牡9、栗東・武幸四郎厩舎)63㌔ 西谷誠騎手
馬主・曽我司氏 生産・白井牧場(日高町)

平地で37戦4勝の後、2017年1月、7歳の時に障害に転向した。3戦目で障害未勝利戦を勝つと、その後昨年暮れのイルミネーションジャンプSなど障害で3勝をマークしている。
障害戦は通算20戦4勝②着6回。落馬1回。今回はここ2戦で騎乗している西谷誠騎手が騎乗する。西谷騎手は、第10回(2008年)をマルカラスカルで勝ったことがある。
飛越は上手な馬で、問題は距離ということになるか。うまくスタミナを持たせることができれば上位食い込みの可能性もある。ノーマークならば、イルミネーションジャンプSのような思い切った大逃げの手もあるだろう。西谷騎手は「戦法は何でもできます。ノーチャンスではないと思っています」と言う。どんな作戦を取るか、展開も左右しそうな存在でもあり目が離せない。
【最終追い切り】栗東・坂路・重
800m 55.3-40.7-26.7-13.3(馬なり)

3枠3番 シンキングダンサー(牡6、美浦・武市康男厩舎)63㌔ 金子光希騎手
馬主・佐藤雄司氏 生産・岡田スタッド(新ひだか町)
平地で11戦0勝後、2016年10月、3歳で障害に転向。2戦目で障害未勝利戦を勝つと、2017年には東京ジャンプSなど障害戦で3勝を挙げた。
しかし、ここ2年はなかなか勝てない状態が続き、昨年の中山グランドジャンプでは7着。ようやく前走の阪神スプリングジャンプで3着に入り、復調を感じさせた。
障害戦は通算17戦4勝②着0回、障害飛越時の転倒による競走中止が1回ある。今回は障害入り後、1度を除き騎乗を続けている金子光希騎手が騎乗する。金子騎手は、まだこのレースを勝ったことがない。
性格は従順で素直という。飛越は進歩してきているので、前走のような積極的なレース運びで活路を見出したいところ。金子騎手の臨機応変な騎乗でうまく立ち回れば一発の可能性もあるだろう。
【最終追い切り】美浦・南W・稍重
5F 69.8-54.4-39.8-13.6(馬なり)
内・カブキモノ(馬なり)に5Fで0.6秒先行・1F併せで併入

4枠4番 マイネルプロンプト(騸7、栗東・坂口智康厩舎)63㌔ 森一馬騎手
馬主・岡田壮史氏 生産・コスモヴューファーム(新冠町)
平地で18戦1勝の後、2017年4月、5歳で障害転向。3戦目で障害未勝利戦を勝つと、同じ年に障害オープンとイルミネーションジャンプSを連勝。昨年は清秋ジャンプS、今年もペガサスジャンプSと、勝利を挙げている。
障害戦は通算17戦5勝②着3回。落馬0回。今回は過去15戦で跨っている森一馬騎手が鞍上。森騎手は、まだ中山グランドジャンプは勝ったことがなく、2016年の3着が最高着順。
障害で5勝しているものの、まだ重賞勝ちはない。ただ、昨年暮れの中山大障害③着をはじめ5勝中3勝が中山とコース実績は上位。最近は速いペースにも対応できるようになってきたといい、軽視は禁物だ。
【最終追い切り】栗東・ポリ・良
5F 68.4-53.3-39.1-12.5(馬なり)

5枠5番 オジュウチョウサン(牡8、美浦・和田正一郎厩舎)63㌔ 石神深一騎手
馬主・(株)チョウサン 生産・坂東牧場(平取町)
平地は2歳時に2戦走ったのみ(0勝)で、1年休養後の201411月に3歳で障害に転向した。初戦は14頭立ての14着だったが、徐々に飛越が上達し、さらにオープンを2勝。そして2016年、初重賞勝ちが中山グランドジャンプ制覇という快挙を達成。
この後、障害重賞で10連勝中なのはご存知の通り。J・GIIIを1勝、J・GIIを4勝。さらに昨年は有馬記念に出たため走らなかった中山大障害で2勝。この中山グランドジャンプは4連覇の偉業がかかる。
障害戦は通算21戦13勝②着2回。落馬0回。今回も石神深一騎手が手綱を取る。コンビで11勝と信頼感は抜群だ。「普通に回ってくれば負けないし、(4連覇を)ぜひ達成させてあげたい」と、石神騎手は自身の4度目の優勝ともなる4連覇に自信たっぷりという。
前走から中4週と間隔が詰まっているため陣営は仕上げに注意を払っている。「前走のダメージは小さい方だったが、回復させることと乗り込みのバランスに気をつけました。うまい具合に持って来ることができています」と和田正一郎調教師はデキに満足そう。
当然一層マークはキツくなるが、今回も王者の走りを見せてくれそうだ。
【最終追い切り】美浦・南W・稍重
6F 82.3-66.4-52.0-38.3-13.0(仕掛け気味)
中・ヘブンリータイム(仕掛け気味)を5Fで1.7秒追走・1F併せで併入
外・ユキノヴェルデ(強め)を5Fで2.6秒追走・1F併せで0.2秒先着

6枠6番 ラピッドシップ(牡5、栗東・武英智厩舎)63㌔ 北沢伸也騎手
馬主・飯田正剛氏 生産・千代田牧場(新ひだか町)

平地で10戦0勝の後、2018年5月、4歳で障害に転向した。2戦目で障害未勝利戦を勝った。その後、平地を1度使ってから障害に戻るが2戦して勝ちはない。
障害戦は通算5戦1勝②着0回。落馬0回。今回は前走のペガサスジャンプSから騎乗している北沢伸也騎手と再びコンビを組む。北沢騎手は2014年に中山大障害を勝ったことがあるが、中山グランドジャンプは未勝利だ。
北沢騎手は「キャリアは浅いが、素直といえば素直だし、わりと乗りやすい。前走で初めて乗ったが、半年ぶりの休み明けで5着にこれた。まだまだよくなる余地がある」と。
大障害は初経験だし、まずは完走をというところだが、休み明けを1度使っての上積みはありそうだし、思い切って穴として狙ってみる手もあるか。
【最終追い切り】栗東・CW・重
6F 84.7-69.4-55.6-41.5-13.7(馬なり)

6枠7番 トーアツキヒカリ(騸5、美浦・藤原辰雄厩舎)63㌔ 五十嵐雄祐騎手
馬主・高山ランド(株) 生産・トーア牧場(豊浦町)
平地で5戦0勝の後、2018年3月に4歳で障害に転向。今年の1月、8戦目にしてようやく障害未勝利戦を突破した。その後はオープン特別で11着、オープンクラスで6着。
障害戦は通算で10戦1勝②着2回。落馬0回。今回は初騎乗となる五十嵐雄祐騎手が手綱を取る。五十嵐騎手は第16回(2014年)をアポロマーベリックで勝ったことがある。
福島や中京での好走が目立ち、どちらかといえばローカル向きの馬で、しかも今回は一気の距離延長。ここは強豪馬の胸を借りる一戦となりそうだが、勝った時のように中団から徐々に押し上げる形ができれば大駆けも。
【最終追い切り】美浦・坂路・稍重
800m 55.4-39.9-26.0-13.0(強め)

7枠8番 ルペールノエル(牡9、栗東・藤原英昭厩舎)63㌔ 高田潤騎手
馬主・ (株)ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン 生産・大典牧場(新ひだか町)
平地で6戦0勝の後、2014年6月、4歳で障害に転向。4戦目で障害未勝利戦を勝つと、2016、17年にオープンクラスで1勝ずつ。2017年の中山大障害で③着に好走している。
障害戦は通算で24戦3勝②着4回。着地時の転倒による落馬1回。今回は2014年から騎乗を続けてしっかり手の内に入れている高田潤騎手が跨る。高田騎手はまだ中山グランドジャンプの勝利はないだけに、そろそろ手に入れたいところ。
昨年も京都ハイジャンプで②着に来ているように、ピークはすぎた感はあるものの大きく衰えてはいない。一昨年⑤着、昨年は④着と2年連続して掲示板に載っており地力は侮れない。混戦になったら浮上してきそうな予感。
【最終追い切り】栗東・CW・重
6F 84.9-69.7-54.9-41.1-12.9(一杯)

7枠9番 シゲルボスザル(牡5、栗東・谷潔厩舎)63㌔ 植野貴也騎手
馬主・森中蕃氏 生産・丸村村下ファーム(浦河町)
平地で12戦0勝の後、2017年9月、3歳で障害に転向した。7戦目で障害未勝利戦を脱出すると、次走のオープンクラスで②着。9ヵ月休養後、昨年12月に復帰したが5戦して掲示板無しとやや伸び悩んでいる。
障害戦は通算13戦1勝②着1回。落馬0回。今回は昨年1月より8戦連続して騎乗している植野貴也騎手が鞍上。植野騎手はまだ中山グランドジャンプを勝ったことがなく、掲示板もまだない。大障害は苦手? という評価を払拭したい一戦だ。
中山は比較的相性はよく、バンケットが上手いという。シゲル軍団は先週の桜花賞でシゲルピンクダイヤが②着に入りあっといわせたばかり。勢いに乗って、ここも伏兵として躍動できるか注目。
【最終追い切り】栗東・CW・重
6F 84.0-69.0-53.8-40.2-13.8(馬なり)

8枠10番 タイセイドリーム(牡9、栗東・矢作芳人厩舎)63㌔ 平沢健治騎手
馬主・田中成奉氏 生産・千代田牧場(新ひだか町)

平地で45戦4勝の後、2016年6月、6歳で障害入り。2戦目に初勝利を挙げると続けてオープンクラス、新潟ジャンプSを連勝。昨年、2年ぶりに新潟ジャンプSを勝つと、その後も中山大障害②着など好調をキープしている。
障害成績は通算14戦5勝②着2回。落馬0回。今回は平沢健治騎手が鞍上。過去11戦で騎乗している。まだ中山グランドジャンプを勝ったことがない。2017年に障害レース騎乗機会5連勝という記録を作っており、勢いに乗ると恐い騎手だ。
1週前に平沢騎手が跨り、Cウッドで併せ6ハロン78秒0-12秒4の猛時計を出した。「これくらいしないとオジュウは倒せない」と池田厩務員。「なかなか9歳でこれだけ動けない。いい筋肉がついてきたし、まだ進化してるんじゃないか。気も乗ってギラギラしてる」と5度目の対戦となるオジュウチョウサン打倒に燃えている。
平沢騎手も「次こその気持ちで」と。
【最終追い切り】栗東・CW・重
5F 72.1-56.9-42.2-13.5(馬なり)

8枠11番 ヤマニンシルフ(牡6、栗東・山内研二厩舎)63㌔ 小坂忠士騎手
馬主・土井肇氏 生産・錦岡牧場(新冠町)
平地で25戦3勝の後、2018年5月、5歳で障害入りした。5戦目で障害未勝利戦を勝ってからはオープンクラスで③着が3回。前走の阪神スプリングジャンプは⑥着だった。
障害成績は11戦1勝②着0回。落馬0回。今回は過去8度騎乗し、ここ3戦続けて跨っている小坂忠士騎手と戦う。小坂騎手は、まだ中山グランドジャンプを勝ったことがないが、障害重賞12回の優勝を誇る。ただ、2012年の阪神スプリングジャンプをバアゼルリバーで勝って以降は重賞勝ちから遠ざかっており、久々のタイトル奪取を狙いたい。
障害練習を開始した直後は、障害を飛んだ後にも4つ脚で真上に飛んだり、飛ばなくていいところでも飛んでいたそうだが、今は大丈夫。「スタミナはあるほうだと思うし、まだ良くなりそうな雰囲気があるので、この先楽しみ」と小坂騎手。ここは試金石の一戦だ。
【最終追い切り】栗東・CW・重
6F 86.1-69.2-54.1-40.7-13.2(馬なり)

個性派揃いの11頭と11人。まずは無事完走を祈るとともに、素晴らしいレースとなることを期待したい。オジュウチョウサンの中山グランドジャンプ4連覇&大障害6連勝がなるか、あるいはそれを食い止める馬が現れるのか興味は尽きない。
そして、この方を忘れてはいけない。

実況 山本直也(55歳、兵庫県加古川市出身)実況歴30年
所属 ラジオNIKKEI ⇒ フリー
【中央競馬のJ・GI競走実況】
・中山グランドジャンプ(1999年・2000年、2003年・2004年、2012年〜)
・中山大障害(2004年、2011年〜2016年)
今年が13回目の中山グランドジャンプ実況。今年も「踏み切ってジャンプ〜!」を堪能しよう。
発走は15時40分!

地元網走に帰ってきて5年半経ちました。元競馬専門紙編集部員。サッカーや野球、冬はカーリングなどスポーツ観戦が好き。もちろん、競馬も話題にしています。時事ネタや網走周辺の話題なども取り上げます。よろしければ、サポートもお願いいたします。