見出し画像

4ヵ国の強豪チームが激突! 軽井沢国際カーリング選手権大会 2022

12月15日(木)〜18日(日)の日程で、長野県・軽井沢町の軽井沢アイスパークにおいて、軽井沢国際カーリング選手権大会 2022が開催される(15日の公式練習は非公開)。
3年ぶりとなる今大会には、日本、韓国、アメリカ、カナダの男女各8チームが出場し、有観客にて開催される。
出場チームのほか、アクセスや会場情報も合わせてご紹介したい。

大会の歴史

軽井沢国際カーリング選手権大会は、1998年長野冬季五輪開催を記念して、翌1999年に第1回大会が開かれた。
第1回大会は、男子がボブ・ターコット選手、女子はキャシー・キング選手がスキップのカナダから参加したチームがそれぞれ優勝。
2000年に敦賀信人選手がスキップのチーム「アイスマン」が男子の、2005年に目黒萌絵選手がスキップの「フォルティウス」が女子の、それぞれ日本勢初優勝を飾った。
過去の優勝チームを振り返ると、男子ではコーチとしても知られるボブ・アーセル選手がスキップのカナダチームが2009年に優勝しているほか、女子では2011年と2014年にジェニファー・ジョーンズ選手が率いるカナダチームが優勝。また、2018・2019年とアンナ・シドロワ選手がスキップのロシアチームが連覇を達成している。現在、ウクライナ侵攻によりロシアはスポーツ界から締め出されており、今大会も"シドロワさま"の姿は見られない。
日本勢の優勝は、男子が過去5回(スキップの名前を並べると2000年・敦賀信人、2011・2012・2017年・両角友佑、2019年・松村雄太)、女子が過去4回(2005年・目黒萌絵、2008年・土屋由加子、2015年・小笠原歩、2017年・藤澤五月)。
カナダチームの優勝が男子11回、女子10回と圧倒的に多い。2014ー2015シーズンからは、日本で初となるワールドカーリングツアーの大会のひとつとなったことも、カナダやアメリカといった本場から参戦するチームがある理由だ(現在はツアーの日程には含まれていない)。
なお2020年大会は、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて中止となったが、代替大会として、第37回日本カーリング選手権大会ベスト4に入賞した男女各4チームによる「ワールドカーリングツアージャパン 日本TOPチーム強化試合 in 軽井沢」が開催された。また、2021年大会は同様の理由で中止となった。待望久しい3年ぶりの大会となる。開催にこぎつけた関係者の熱意と尽力に感謝したい。

大会の概要

今大会には、男子が日本5チーム、韓国2チーム、アメリカ1チーム。女子は日本6チーム、韓国とカナダ各1チームが出場。
賞金総額は男女合計で300万円以上(優勝:70万円以上 準優勝:40万円以上 3位:25万円以上 4位:15万円以上)。「以上」というのは、観戦者の増加により賞金総額の増額があるからだ。
予選リーグは、男女2プール制の8エンドラウンドロビン。決勝トーナメントは、上位4チームによる8エンドトーナメントとなっている。ノーティックゾーンルールが採用されている。
今大会は有観客なうえ、会場内に「氷上エキサイティングシート」も設けられ、プレーをより間近で観ることができる(後述)。
それでは、出場チームをプール別に紹介しよう。

男子はアメリカのTeam Shusterなど8チーム

🥌Pool A

☆Shuster (アメリカ🇺🇸)
John Shuster (Skip)
Chris Plys (Third)
Matt Hamilton (Second)
John Landsteiner (Lead)
Colin Hufman (Alternate)
スキップのシュスター選手は40歳。2006年トリノ五輪で銅メダル、2018年平昌五輪で金メダルを獲得。五輪には5回連続出場、世界選手権には銅メダルを獲得した2016年大会など9回出場。チームの世界ランキングは18位。

☆Morozumi (TM軽井沢・日本🇯🇵)
両角 友佑 (Skip)
松村 雄太 (Third)
宿谷 涼太郎 (Second)
両角 公佑 (Lead)
岩井 真幸 (Alternate)
スキップの両角友佑選手は37歳。女子の中部電力のコーチも兼任している。五輪は平昌五輪で8位。世界選手権には過去6回出場し、最高は4位。今季はカナダの大会で優勝を飾っている。チームの世界ランキングは42位。

☆ Jeong (韓国🇰🇷)
ByeongJin Jeong (Skip)
JeongJae Lee (Third)
MinWoo Kim (Second)
TaeHwan Kim (Lead)
スキップのチョン・ビョンジン選手は26歳。10〜11月のパンコンチネンタル選手権で銀メダルを獲得。2018年のパシフィックアジア選手権で銅メダル。今季はどうぎんクラシックで優勝。チームの世界ランキングは36位。

☆Honda (北見工業大学・日本🇯🇵)
本田 裕之 (Skip)
秋田 智広 (Third)
沼辺 龍太 (Second)
後藤 基次郎 (Lead)
山村 竜 (Alternate)
スキップの本田裕之選手はカーリング歴12年。チームは先ごろ行われた全日本大学選手権で準優勝した。11日まで開催された北海道選手権の北見工業大学は、山村選手を除き別の選手たちが出場していた。チームの世界ランキングは240位。

🥌Pool B

☆Yanagisawa (‪SC軽井沢クラブ・日本🇯🇵)
栁澤 李空 (Skip)
山口 剛史 (Third)
山本 遵 (Second)
小泉 聡 (Lead)
高橋 晄之介 (Alternate)
スキップの栁澤李空選手は21歳。今年の日本選手権で念願の初優勝。今季はカナダに長期遠征し、10月と12月のカナダツアーで1回ずつ優勝。今大会にはエリートアカデミーの高橋選手が帯同している。チームの世界ランキングは31位。

☆C.Kim (韓国🇰🇷)
SooHyuk Kim (Fourth)
ChangMin Kim (Skip)
JaeIk Jeon (Second)
HakKyun Kim (Lead)
SeHyeon Seong (Alternate)
サードスキップのキム・チャンミン選手は37歳。常呂で開かれたパシフィックジュニア選手権で優勝。パシフィックアジア選手権では優勝3回、銅メダル2回。韓国選手権は5回優勝、今年は準優勝。チームの世界ランキングは81位。

☆Sato (札幌国際大学・日本🇯🇵)
青木 豪 (Fourth)
佐藤 剣仁 (Skip)
荻原 功暉 (Second)
新野 和志 (Lead)
佐々木 彩斗 (Alternate)
サードスキップの佐藤剣仁(はやと)選手はカナダ生まれで22歳、スポーツ人間学部スポーツ指導学科に在籍。5月の日本選手権準優勝。9月のアドヴィックスカップ優勝。今月の全日本大学選手権も優勝。チームの世界ランキングは65位。

☆Hirata (KiT CURING CLUB・日本🇯🇵)
平田 洸介 (Skip)
臼井 槙吾 (Third)
目黒 良太 (Second)
三浦 善也 (Lead)
相田 晃輔 (Alternate)
スキップの平田洸介選手は30歳。10月のカナダの大会ではチームシュスターから勝利、大会で準優勝。5月の日本選手権4位。先週の北海道選手権優勝。道選手権をコロナ感染で欠場した平田選手が復活。チームの世界ランキングは120位。

女子はカナダのTeam Einarsonなど8チーム

🥌Pool C

★ Einarson (カナダ🇨🇦)
Kerri Einarson (Skip)
Val Sweeting (Third)
Shannon Birchard (Second)
Briane Harris (Lead)
スキップのエイナーソン選手は35歳。今年の世界選手権で銅メダル。同じく今年のパンコンチネンタル選手権でも銅メダル。カナダ選手権は2020年から3連覇中。同じメンバーで5シーズン目に入っている。チームの世界ランキングは1位。

★Kitazawa (中部電力・日本🇯🇵)
北澤 育恵 (Skip)
中嶋 星奈 (Third)
鈴木 みのり (Second)
石郷岡 葉純 (Lead)
松村 千秋 (Alternate)
スキップの北澤育恵選手は26歳。世界選手権は2回出場して最高は2019年の4位。同年のパシフィックアジア選手権で銀メダル。日本選手権は2017年と2019年で優勝。今秋の海外遠征では優勝2回。チームの世界ランキングは20位。

★Yoshimura (フォルティウス・日本🇯🇵)
吉村 紗也香 (Skip)
小谷 優奈 (Third)
小野寺佳歩 (Second)
近江谷 杏菜 (Lead)
船山 弓枝 (Alternate)
スキップの吉村紗也香選手は30歳。世界選手権は2回出場し、最高は2015年の6位。パシフィックアジア選手権は2014年に銅メダル。日本選手権は2回優勝。今夏の北海道ツアーで優勝2回、準優勝2回。チームの世界ランキングは32位。

★Sasaki (LOCO STELLA・日本🇯🇵)
佐々木 穂香 (Skip)
本橋 麻里 (Third)
林 未来 (Second)
斉藤 茉由美 (Lead)
松澤 弥子 (Alternate)
今年6月にwinger(札幌協会)から加入してスキップを務めている佐々木穂香選手は23歳。チームはviceの本橋麻里選手が2020年に競技者復帰後、2021年、2022年と北海道選手権で準優勝している。チームの世界ランキングは82位。

🥌Pool D

★Fujisawa (LOCO SOLARE・日本🇯🇵)
藤澤 五月 (Skip)
吉田 知那美 (Third)
鈴木 夕湖 (Second)
吉田 夕梨花 (Lead)
石崎 琴美 (Alternate)
スキップの藤澤五月選手は31歳。五輪は2018年銅メダル、2022年銀メダル。世界選手権は2016年に銀メダル。日本選手権は3回優勝(藤澤選手は中部電力時代に4連覇)。先月のパンコンチネンタル選手権優勝。チームの世界ランキングは5位。

★E.Kim (韓国🇰🇷)
EunJung Kim (Skip)
KyeongAe Kim (Third)
ChoHi Kim (Second)
SeonYeong Kim (Lead)
YeongMi Kim (Alternate)
"メガネ先輩"で知られるスキップのキム・ウンジョン選手は32歳。五輪は2回出場して2018年に銀メダル。世界選手権は4回出場して2022年に銀メダル。パシフィックアジア選手権では2016年優勝。チームの世界ランキングは13位。

★Kanai (‪SC軽井沢クラブ・日本🇯🇵)
金井 亜翠香 (Skip)
江並 杏実 (Third)
西室 淳子 (Second)
両川 萌音 (Lead)
上野 美優 (Alternate)
スキップの金井亜翠香選手は21歳。日本選手権は2021年に出場して5位。今夏の北海道ツアーでは、稚内みどりチャレンジカップで準優勝。当大会には2019年に出場して準々決勝に進出した。チームの世界ランキングは76位。

★Tabata (北海道銀行・日本🇯🇵)
田畑 百葉 (Skip)
仁平 美来 (Third)
中島 未琴 (Second)
伊東 彩未 (Lead)
山本 冴 (Alternate)
スキップの田畑百葉選手は20歳。田畑選手は現フォルティウスの小林未奈選手らと組んで2020年ユース五輪混合団体で銀メダル。チームは9月の海外大会で3位、先日の北海道選手権で優勝。チームの世界ランキングは114位。

大会スケジュール

1日のセッションは①9時〜 ②13時30分〜 ③18時〜 。5つのシートを使って、男女の試合が同時に行われる。

大会ホームページより

ラウンドロビンは、4チームずつPool A〜Dに分かれて、16日(金)と17日(土)に各チームが3試合を戦う。最終日の18日(日)は、3位決定戦と決勝が行われる。
今大会で特筆すべきは2階の観客席以外に「氷上エキサイティングシート」が設けられることだ。

大会ホームページより
立ち見で移動して観戦できる

2003年に青森で行われたパンパシフィックアジア選手権を訪れた時に氷上に設けられた仮設席で観戦したことがあったり、何度か選手に近い席で観たことはあるが、移動しながら選手と同じ目線で試合を楽しめるのは初の試みだろう。

エキサイティングシートはなかなかエキサイティングなお値段だが、それだけの価値があるということだろう。前述した賞金の増加は、この席がたくさん売れたら賞金も増えるということと推測できる。
一般席も含めて現在も販売中なので、チケットインフォメーションからご確認を。

会場の軽井沢アイスパークは

今大会は有観客での開催。会場となる軽井沢アイスパークについて紹介したい。
軽井沢アイスパークは、「風とスポーツが、いつもそばに。」がコンセプトの軽井沢町・風越公園の一施設だ(写真は2013年撮影)。

風越公園には、かつては冬はカーリング場として営業し、長野五輪ではカーリング競技が行われ、現在はプールやトレーニング場となっているスカップ軽井沢をはじめ、アイスアリーナや総合体育館といった屋内施設がある。
また屋外には夏場は内側にフットサルコートが現れるスケートリンクやテニスコート、グラウンドが設けられている。
公園施設内では、無料Wi-Fiが使用可能だ。

軽井沢アイスパークは、国内の主要大会や国際大会も開催される6つのシートを擁する日本最大級の通年型「カーリングホール」。
カーリングは初心者向け体験教室があり、未経験でも楽しむことができる。
カーリングホールには、休憩や飲食も可能な「ふれあいホール」やミーティング用の会議室もある。私が2013年の軽井沢国際カーリング選手権大会を訪れた時は、2階でテナントの営業があり、きのこそばや天丼、ポークカレーをいただき、どれも美味しかった思い出があるが、電話で確かめたところ、現在は営業していないという。
ただ、飲食物の持ち込みは可能とのことだ。

近辺には食事ができる店は少ないが、いくつかご紹介すると、アイスパークから草で3分ほどのところに「中沢工房 ヤギさんのシフォンケーキ」があり、こちらはイートインも可能なようだ。
さらに、車で4分ほどのところには「かまど炊きご飯 御厨」があり、リーズナブルな朝食が食べられるそうだが、14時すぎに閉店となるのでご注意を。
近くにはかわいい猫がいる洋食屋さんの「たんぽぽ食堂」もある。
また同じく車で4分ほどのところに「軽井沢きなり総本店」があり、ナッツやドライフルーツなどを購入できる。
このほかにもお店があるが、もしかしたら、コロナ禍の影響により営業形態が変わっている店もあるかもしれないので、ご利用の際は事前にご確認をされたい。

軽井沢アイスパークのアクセス

・JR軽井沢駅より車で15分
・しなの鉄道中軽井沢駅より車で10分
・上信越自動車道・碓氷軽井沢ICより11km
・国道18号バイパス塩沢交差点より1km

各日の最終試合終了後のみ、会場⇒JR軽井沢駅のバスが運行されるそうだ。「観戦のお客様であれば、無料でご乗車いただけます」とのこと。
試合終了後、施設入口にバスが停車している。
予約不要で「先着順にご乗車いただき、一定の乗車人数・時間になった時点で出発」するそうだ。
乗車希望人数が多く積み残しが出た場合のみ、待っていただける方を対象にピストン運行を実施する予定という。

町内には、一律100円で利用できる循環バスがある。東・南廻り線を利用すると良い。ただ、それほど本数は多くはないので、観覧する試合時間に合うかどうかや、発着時刻、ルートは軽井沢風越公園や軽井沢町のホームページでご確認を。

JR東日本・西武ホールディングスの「回遊軽井沢」というサービスもある。このなかの、「よぶのる軽井沢」というオンデマンド交通は、1回400円(小学生以下の子どもは200円)で利用できる。詳しくは下記ホームページで。


車でお越しの場合は、公園駐車場のご利用を。ここが満車の場合は、ムーゼの森もしくは軽井沢タリアセンの駐車場をご利用くださいとのこと(期間中のみ無料)。

軽井沢駅やしなの鉄道中軽井沢駅からはタクシーが利用できる(10分ほど).が、私が訪れた時は「中軽井沢駅から徒歩で往復」していた。

山林を抜けたり浅間山が見えたり風景が楽しい。ただ、冬は道路が凍結しているし、日没が早いので夕方以降は道が暗くなるから注意が必要だ。

大会のYouTube配信

各セッションから1試合が、YouTubeでライブ配信される。配信されるカードは、スケジュールに印がついている。
また、こんな企画も準備されている。

「カーリングは氷上のチェス」と以前から例えられているが、近年は渡辺明名人がカーリングにはまったり、カーリング界と将棋界が交流を深めている。
今大会ではついに、「将棋的カーリング解説」ライブが行われるそうだ。上述の試合のほかにも、以下の試合で予定されているようだ。

17日(土)8:45〜 フォルティウス×中部電力[戸辺・内田・山口]
17日(土)17:45〜  準決勝[戸辺・内田・ゲスト選手]
18日(日)17:45〜 女子決勝[渡辺・山口]

戸辺誠七段は、横浜市出身で36歳。渡辺名人とともにカーリングを楽しむ様子がTwitterにたびたび登場している。

内田晶氏は、文藝春秋の「Number」での将棋関連記事の執筆をはじめ、日本将棋連盟のホームページでコラムを持つなど、フリー観戦記者として活躍されている。また、囲碁・将棋チャンネルでは番組キャスターや対局中継での聞き手を務めている。

‪SC軽井沢クラブの山口剛史選手が解説で出る試合もあるようだし、どんな番組になるのか楽しみだ。

大会の見どころ

なんといっても、男子はアメリカのチームシュスター、女子はカナダのチームエイナーソンという海外のトップクラスと日本のチームとの腕くらべが見もの。
会場での観戦や配信を通じて、テクニックや作戦を堪能したい。特に今回は氷上エキサイティングシートで、ごく間近でプレーを観戦することもできるので、利用可能な方は寒さ対策をしっかりして楽しんでいただきたい。
一般の大会では、大勢の観客が入るとその熱で氷のコンディションが変化することが指摘されたりするが、間近でしかも観客が移動可能だとどんな影響があるのかを実戦で確認できるというのも意義といえそう。
選手、特にエキサイティングシートのすぐ隣で戦う場合は、観客の人数にもよるが、氷の変化に敏感に対応する必要があるかもしれない。

将棋的カーリング解説も含め、新しいことにどんどん取り組んでいるのもこの大会の良さ。3日間、会場や配信、SNSで、大会を楽しみたい。

🥌大会公式Twitter

🥌大会公式Facebook

地元網走に帰ってきて5年半経ちました。元競馬専門紙編集部員。サッカーや野球、冬はカーリングなどスポーツ観戦が好き。もちろん、競馬も話題にしています。時事ネタや網走周辺の話題なども取り上げます。よろしければ、サポートもお願いいたします。