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海外初遠征 フィロシーク青森が殊勲の準優勝!!

今年5月から6月にかけて、海外遠征資金を募るクラウドファンディングを行い、目標の150万円を大きく上回る281万円余りを集めたフィロシーク青森(Team Nakamura)が、現在初経験となる長期の海外遠征に挑戦中だ。
先週のPrestige Hotels & Resorts Curling Classicは1勝3敗で予選敗退となったが、2大会目となるCurlers Corner Autumn Gold Curling Classicで、1つも負けられないところから5連勝という驚異の粘り腰をみせてファイナリストまで駆け上がった。惜しくも準優勝だったが、4日間で10試合という過密日程を戦い抜いたのは大きな自信になっただろう。
その戦いぶりを振り返りながら、チーム紹介なども書いていきたい。

大きな反響を呼んだクラウドファンディング

フィロシーク青森は、大同生命をはじめとして数社のスポンサーを獲得しているが、秋の海外長期遠征の資金は十分ではない。
サコッシュやマグカップ、マフラータオル、サイン付き未使用ブラシパッド、ユニフォームなどのグッズやオンラインミーティング、カーリングレッスンの参加権といったいくつものリターンを用意して、5月20日よりクラウドファンディングを実施した。
All-In方式で、目標金額に関わらず6月30日までに集まった金額がファンディングされるプロジェクトだったが、150万円という目標は5月25日に軽々とクリア。
目標は250万円に再設定されたが、最終的にはそれも上回り、281万円余りを集める大成功。やはり、日本選手権でロコ・ソラーレを破るなど、結果を出している魅力ある伸び盛りのチームを応援したいというファンが多くいたのだろう。

今シーズンは北海道ツアー参加からスタート

8月に行われた北海道カーリングツアーで、今シーズンをスタート。今年で2年目のツアーは、昨年女子のみで実施された北見の大会が男子のみで行われたため、女子は3大会となった。
フィロシーク青森は、保育士の仕事の都合で原田結菜選手が青森でお留守番となり、リード・一戸日和選手、セカンド・木原遥選手、サードスキップ・中村澪里選手、フォース・田中美咲選手の4人で参加した。
最初のどうぎんカーリングクラシックは、準決勝に進出するも4位。稚内みどりチャレンジカップは体調不良者が出たこともあって3人でプレー。健闘したが、DSCの差で予選敗退。日本では初めてと思われるトリプルノックアウト方式(3敗で予選敗退)で行われたアドヴィックスカップは、Cイベントであと1勝というところで勝ちきれず、決勝トーナメントに進めなかった。
けっして満足のいく結果ではなかったが、海外遠征を前に改めて気持ちを引き締めることに繋がっただろう。

フィロシーク青森とは

ここで、フィロシーク青森についてご紹介しよう。

フィロシーク青森は、全員青森市で会社員として働きながら活動しているカーリングチーム。

チーム名の「フィロシーク青森」の由来は、

ギリシャ語【フィロス】で愛や絆

英語【シーク】で追い求める、探求する

を掛け合わせた造語。
『大好きなカーリングを、大好きな人たちと探求していきたい』
という願いから名付けたそうだ。

チーム発足は2019年、当時は所属メンバーが7名で、2チームに分かれて活動をスタート。
この年の東北選手権にそれぞれのチーム(フィロシーク青森、フィロシーク青森TK)で出場したが、ともに東北代表となることはできなかった。
もっと勝てるチームになるためにはどうするべきか話し合った結果、2021年の夏に2チームが合体し、今のフィロシーク青森の体制になった。
ミーティングを重ね、チームビルディングに力を入れた成果が出て、2023年の日本選手権では結成2年目にして、予選で日本代表チームのロコ・ソラーレを倒し、予選を6勝2敗の1位タイで初のプレーオフ進出を果たした。最終順位は4位だったが、大きな爪痕を残した。
さらに上を目指すためには、まだまだ試合経験が少ないと痛感したメンバーは、国内ツアーだけでは十分な試合経験を積むことは難しいと考え、ロコ・ソラーレやフォルティウスらトップチーム同様に、海外へ遠征に行くことを決めた。
2023年シーズンは、オリンピック代表決定に関わる大事な年。日本選手権で優勝することがその先に繋がる。目標に向けて、ステップアップの鍵が、今回の長期海外遠征だ。

🍎リード 一戸 日和(いちのへ・ひより)
 21歳 青森市出身 165cm 右利き
 愛称:ひより
 カーリング歴:12年
 ガード、ドローの巧みさが光る"末っ子"

🍎セカンド 木原 遥 (きはら・はるか)
 27歳 青森市出身 162cm 右利き
 愛称:はるか、キャップ
 カーリング歴:17年
 スイープが上手く頭脳派のキャプテン

🍎サード 中村 澪里 (なかむら・みおり)
 25歳 青森市出身 161cm 右利き
 愛称:みおり
 カーリング歴:15年
 ソフトウェイトのテイクが冴えるスキップ

🍎フォース 田中 美咲 (たなか・みさき)
 27歳 青森市出身 165cm 右利き
 愛称:みさきさん、みさき、べべ
 カーリング歴:14年
 ウェイトコントロールが絶妙な大黒柱

🍎リザーブ 原田 結菜 (はらだ・ゆうな)
 24歳 青森市出身 156cm 右利き
 愛称:ゆなどん、ゆーな
 カーリング歴:8年
 安定したドローが持ち味、チームのママ的存在

🍎コーチ 中村 幸彦 (なかむら・ゆきひこ)
 青森市出身
 JCA強化委員会委員
 一部のメンバーはジュニア時代から指導
 熱烈な阪神タイガースファン

ノリのよさも魅力のチームだ。

いよいよカナダへ!

9月26日、北海道カーリングツアーの時と同じく、原田選手は仕事で日本に残り、4人でカナダへ旅立った。

最初の大会は、ブリティッシュコロンビア州のバーノンで開催されたPrestige Hotels & Resorts Curling Classic。
3試合目のチームEllis戦に7-4で勝ち、海外初勝利を飾ったが、他の3試合で敗れて1勝3敗で予選敗退となった。
そして、アルバータ州カルガリーでのCurlers Corner Autumn Gold Curling Classicが、2大会目。32チームが参加というかなり規模の大きな大会で、トリプルノックアウト方式により行われた。
出場チームは地元カナダが20チーム、韓国が5チーム、ドイツとアメリカ、スイスが各1チーム、そして日本から4チーム(フィロシーク青森、ロコ・ソラーレ、北海道銀行、‪SC軽井沢クラブ女子)。

Aイベント初戦で敗れてBイベントに回ると、そこで2連勝。しかし、あと2勝というところで敗れて2敗組のCイベントへ。ここで1つでも負けると予選敗退だったが、パンコンチネンタル選手権準優勝のチームHa(韓国)を6-3で下すなど、粘り腰を見せて3連勝、見事に予選突破を果たした。
快進撃はこれにとどまらず、日本勢対決となったロコ・ソラーレとの準々決勝は、エキストラエンドにもつれ込んだ末にパンコンチネンタル選手権初代王者を6-5でねじ伏せた。ロコ・ソラーレには日本選手権に続いての勝利だ。
準決勝ではカナダのチームBrownを6-5で下し、ついにファイナリストまで駆け上がった。

決勝は、韓国のチームGimとの対決。現在世界ランキング4位というロコ・ソラーレよりも順位が上の強豪チーム。
1エンドで後攻の相手が2点先行。2エンドがブランクの後、3エンドで1点取らされた。4エンドで3点奪われたが、5エンドで2点返して懸命に粘る。
しかし、6エンドで相手が再び3点のビッグエンドで3-8と突き放されたところで無念のコンシードとなった。

とはいえ、4日間で10試合という過酷な日程を乗り越えて決勝の舞台に立てたのは海外遠征のキャリアを考えれば大殊勲だし、試合経験もしっかり積むことができたのも大きな財産で、手応えをつかみ、自信にも繋がったことだろう。
この後も、カナダでの大会出場は続く。今後のますますの健闘と、先々での結実を期待したい。

【追記】
チームのInstagramのストーリーによると、次の目的地のエドモントンまで約300kmを車で移動しているとのこと。ご安全に!

地元網走に帰ってきて5年半経ちました。元競馬専門紙編集部員。サッカーや野球、冬はカーリングなどスポーツ観戦が好き。もちろん、競馬も話題にしています。時事ネタや網走周辺の話題なども取り上げます。よろしければ、サポートもお願いいたします。