第52回ばんえい記念ハイライト&オレノココロの鈴木恵介騎手優勝インタビュー書き起こし
ばんえい競馬の最高峰「第52回ばんえい記念」(4歳上・重賞・ダ200m・1着賞金1000万円)は21日帯広競馬場で行われた。出走馬7頭はーー
①コウシュハウンカイ(牡10) 1000kg 藤本匠騎手・松井浩文厩舎 馬主=秋田忍氏
②センゴクエース(牡8) 1000kg 菊池一樹騎手・槻舘重人厩舎 馬主=千石貞子氏
③アアモンドグンシン(騸5) 990kg 松田道明騎手・小林長吉厩舎 馬主=下内美繪子氏
④カブトゴールド(牡9) 1000kg 西謙一騎手・西弘美厩舎 馬主=(株)北西ファーム
⑤ソウクンボーイ(牡10) 1000kg 村上章騎手・西邑春夫厩舎 馬主=石橋強氏
⑥ホクショウマサル(牡9) 1000kg 阿部武臣騎手・坂本東一厩舎 馬主=井内紀子氏
⑦オレノココロ(牡10) 1000kg 鈴木恵介騎手・槻舘重人厩舎 馬主=大森勝廣氏
1番人気は31連勝中の⑥ホクショウマサル、2番人気に2017年と2018年の優勝馬⑦オレノココロ、3番人気に昨年の優勝馬②センゴクエース。
出走頭数は7頭とばんえいフルゲートにはならなかったが、一線級が揃った。天候は晴れ、馬場水分は1.4%とかなり乾燥した力が要る馬場だ。
無観客だったが、陸上自衛隊第5音楽隊によりファンファーレの生演奏が行われ、とかちむらの辺りに詰めかけた人々から拍手が起こった。
17時20分発走。1トンの重量のそりを曳くレース。普段ならラクに通過する第1障害も時間がかかる。初めての重さにホクショウマサルも苦労して遅れ気味に。
各馬はその後も少しずつ刻み、先頭のセンゴクエースが第2障害の手前に到着したのはスタートから2分15秒経った時だった。
ホクショウマサルらも追いつき、7頭が並んで第2障害の手前で息を整える。まずオレノココロが1、2歩登りかけるが止まる。センゴクエースも踏み出すが、坂の途中で膝をついた。
さらにアアモンドグンシン、コウシュハウンカイも力を振り絞る。併走する厩務員たちから激励の声が飛ぶ。
最初にコウシュハウンカイが天板(障害の頂上)に届いたが、膝をつく。しかし2番手以降がモタつく間に立て直し、最初に第2障害をクリア。10m以上離されてアアモンドグンシンが2番手で降り、さらにセンゴクエースが3番手で続いた。
コウシュハウンカイはいったん後続をかなり引き離したが、それが、セーフティーリードにならないのが超重量戦だ。
コウシュハウンカイは残り十数メートルというところで脚色が鈍り、そこへアアモンドグンシンとセンゴクエースが並びかける。しかし、アアモンドグンシンは前に体重がかかった時に膝をついてしまい、疲れから立てなくなった。
そこへ外からホクショウマサルが鋭く迫ってきたが、その外からさらに凄い脚で追い込んできたのが過去2度の優勝を誇るオレノココロ。
懸命にゴールまであと5メートルまで迫ったコウシュハウンカイを、オレノココロが力強く捉えて差し切り、3度目の優勝を遂げた。
さらに、ゴール前で強烈な末脚を見せたセンゴクエースが堂々の2着。そして優勝経験馬と見事に渡り合ったホクショウマサルは、連勝記録こそ止まったものの、大健闘の3着。
見せ場たっぷりだったコウシュハウンカイは最後にバテたものの4着を確保。さらにソウクンボーイ、カブトゴールドがゴールした。
コウシュハウンカイに並びかけた瞬間、優勝もと思わせたアアモンドグンシンは一時倒れたように見えて心配されたが、そりを外すと立ち上がり、無事に厩舎に戻ったそうだ。
なお、アアモンドグンシンは競走中止に対する制裁として、能力再検査を指示されている。
今年も熱いレースだったばんえい記念。来年は是非とも、大勢の観客の前で力感溢れるレースを披露してほしい。
🐴優勝ジョッキーインタビュー
レース後に表彰式があり、その後オレノココロで優勝した鈴木恵介騎手のインタビューが行われた。以下に書き起こした。
ーーまずは、今の気持ちをお聞かせください。
「いや、ほんと、ホッとしているし嬉しいです」
ーー今季の戦いぶり、あらためて振り返りたいんですけれども、ここまでどのように鈴木騎手は感じてましたか?
「そうですね、春先は調子良かったんですけど、夏の暑さでだいぶこたえて。立ち直ってくるのにだいぶ時間がかかって、まあ年明けて、本当に前々走くらいからだいぶ良くなってきて、だいぶ苦労した年でした」
ーーなんとかこの大一番に間に合ったという感じでしょうか?
「そうですね、本当、順調にちょうど良く仕上がってくれました」
ーー仕上がって今日の一番。レースプランなどはありましたか?
「そうですね、山はまあ時間がかかると思っていたんですけど、馬場も重いし、みんな1トンなんで、後はもう、降りてからの脚はもう馬を信じてたんで、はい」
ーーそのようなレースになりましたか?
「そうですね。だけどまあ、思ったより障害はちょっと苦戦しました」
ーーただ、降りてからはやはり、という感じでしょうかね。
「そうですね」
ーー降りて、まあ前の馬たち、後ろからも馬が来ましたけど、ゴール前はどんなことを考えてましたか?
「そうですね、もう1回目止まった時になかなかちょっと返事をしなくて、まあ結構辛そうだなと思ってたんですけど、出てからはもう。ゴール前もう1回止まるかなと思ってたんですけど、よく持ちこたえてゴールまで入ってくれました」
ーーあらためて、この馬の強さ、今日感じたことなどがあれば教えてください。
「うーん。やっぱり、力が凄いです」
ーーその力ですけども、まだこの馬に対して期待が集まると思うんですが、来シーズンはどんな戦いになっていきそうでしょうか?
「そうですね、まあトシもトシなんですけど、まだ若い気持ちもあるんで、まだ活躍してくれると思います」
ーーでは最後に、ファンの皆さんにメッセージをお願いいたします。
「今日は本当にファンがいなくて凄い寂しかったんですけど、また春からファンが来れるような状態になってまた白熱あるレースをお送りしたいと思います。どうもありがとうございました」
鈴木恵介騎手は、オレノココロで2017、2018年と制したほか、2012年にもニシキダイジンで優勝しており、今年が4度目のVとなった。
また、槻舘重人調教師は4年連続4度目の優勝を遂げた。過去には1979〜1982年に林正男調教師が、2003〜2006年には大友栄人調教師がそれぞれ4連覇を達成しているが、5連覇はまだない。オレノココロ、センゴクエースの二枚看板で、1年後は前人未到の5連覇成るかが話題になりそうだ。
まずは出走各馬がしっかり疲れを取って、次のシーズンに向けて英気を養ってもらいたいと思う。