青学2024オープンキャンパスにてポスター報告をしました
2024年8月3日、青山学院大学オープンキャンパスのゼミ紹介コーナーにて、服部ゼミ4年生の研究チーム(浅見、安藤、今西、大橋、宮下)が、研究『タワーマンション効果:高所からの眺望が人の心理状況に及ぼす効果を検証するサーベイ実験』のポスター報告をしました。
研究は、「高所からの眺め」が、人の心理状況にどのような影響を及ぼすのかを、写真を使ったサーベイ実験にて検証するというものです。具体的には「高所からの眺め」を想起することによって、人の向社会性(利他性)、幸福感やモチベーションにどのような影響を及ぼすのかを検証しました。
先行研究では「高所からの眺め」は、様々な側面でポジティブまたはネガティブな影響を人に及ぼすことがわかっています。ネガティブな影響としては、タワーマンションの高層階など「高所」に住む子供は、行動上の問題が多い傾向(Evans et al., 2003) があったり、生活満足度が低かったり、向社会的行動が少ない傾向にある(Gifford, 2011)ことが明らかになっています。一方で、ポジティブな影響としては、高所からの眺めは、それが自然を含む場合には、快適さを高め、不安を軽減すること(Elsadek et al., 2024)という実験研究の結果もあります。
チャリティへの募金箱を高層階(vs 低層階)から発見するという写真を用いたシナリオ実験より、高層階からの眺めが有意に向社会性(利他性)を低下させることが明らかになりました。また、新社会人としての生活を高層階(vs 低層階)で始めるという同様のシナリオ実験では、高層階(vs 低層階)での新社会人生活が期待される充実(幸福)感に及ぼす影響には、競争志向性によって調整され、競争志向の強い人は高所でより幸福感に、競争志向の弱い人は低所でより幸福感を期待する傾向があることが明らかになりました。
今後、本チームは、ラボ実験によってこれらの結果を補完するような研究を続ける予定です。
オープンキャンパスでは、たくさんの高校生やその保護者の方々に研究を話す機会をいただきました。参加いただいた方々、ありがとうございました。
参考文献
Evans, G. W., Wells, N. M., & Moch, A. (2003). Housing and mental health: a review of the evidence and a methodological and conceptual critique. Journal of social issues, 59(3), 475-500.
Gifford, R. (2007). The consequences of living in high-rise buildings. Architectural science review, 50(1), 2-17.
Elsadek, M., Deshun, Z., & Liu, B. (2024). High-rise window views: Evaluating the physiological and psychological impacts of green, blue, and built environments. Building and Environment, 262, 111798.