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AI によるおすすめは誰の心を掴むのか? 〜 推薦メカニズムの有効性に関するサーベイ実験

青山学院大学 経営学部 服部ゼミ 4年生:
稲葉 沙耶・片岡 祐輝・長島 由佳・村田 歩南

概要

オンラインショッピングサイトでは、消費者の行動履歴や属性、サイトでの振る舞いなどから、AIによって商品がおすすめされることがあり、それを手掛かりに購買決定をする人もいれば、他の消費者によるレビュー、いわゆる「口コミ」を重視して購買決定をする人もいます。本研究は、AIによるおすすめと、口コミによるおすすめが人々の財への購買意欲に対して及ぼす影響を、2種類のランダム化比較試験の手法を援用したサーベイ実験にて検証する実験研究です。

実験1においては、友人の誕生日を祝福するためのレストランを選ぶシナリオにおいて、「閲覧履歴に基づくAIによるおすすめ」が「専門家によるおすすめ」及び「口コミによるおすすめ」と比較して消費者の購買意欲にどのような違いをもたらすのかについてサーベイ実験にて検証しました。

実験2では旅行時のホテルの選択シナリオにて、おすすめの主体をAIもしくは口コミ、消費対象を一人で行く旅行(単独消費)もしくは他者と二人で行く旅行(共同消費)という 2×2の介入が消費者の購買意欲にもたらす効果について、サーベイ実験にて検証しました。

2つの実験から、① 共同消費の文脈では、AIによるおすすめは、口コミによるおすすめと比べ購買意欲が低くなる、② この購買意欲への影響は、おすすめが自身の好みとマッチしているという感覚を媒介していること、③ おすすめの効果については性差があること、具体的には、男性においては、単独消費の場合にAIによるおすすめは口コミより購買意欲が高くなり、女性においては、単独・共同消費のどちらにおいても口コミによるおすすめの方が購買意欲が高くなることが明らかになりました。

AIおすすめ vs 口コミの効果: 消費形態の違いと性差

これらの結果はインターネット上でサービスや製品を販売することが当たり前となった現代の企業のマーケティング戦略に重要な示唆を与えると考えられます。

The image of the top of the content was created by Open AI's DALL-E.


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