服部峻 - NOISE /// 全曲解説
服部峻です!私の3枚目のアルバム「 NOISE 」フィジカル(CD)が本日とうとう発売されました!
リリースの詳細は・・・こちら
2022年9月9日で「苦苦の日」に・・・!
レーベルはインパートメントです
店頭だと渋谷タワレコ
大宮 more records
金沢 Lykkelig
などなどに取り扱って頂いています!感謝
発売に合わせて作者本人の全曲解説(制作背景)記事を公開します
既に視聴頂いている方も多いと思うので・・・是非読んでみてね!時空を行ったり来たりします
1 - VS 1
この曲は、音源を発表したのは、2018年4月・・・。もうね、初っ端から記憶がない(笑)。大阪に住んでましたね。当時の日記(カレンダーアプリに付けている)を見返すと、太陽の塔に行ったりしてた。
そう、アルバム「 NOISE 」の構想はもうこの頃から漠然とではあるものの出来ていました。体調を崩しちゃって、制作活動(もとい音楽活動)が停滞しており、しんどい時期でした。その中でこの曲はとにかくシックに、時間は短いけど(自分の中にある)英知を全部集結させようと。チューニングチェンジしまくって、針の穴に糸を通すようないびつな調性感で、イントロとアウトロは機械。「自然と人工」をテーマに、プロローグ的な曲。
2 - The Sculpture
イントロは KORG OASYS で作りました。もう遥か昔に。そこからどうしようという時に、オーケストレーションでいってそのまま締めようと構想しました。こうきて、こうきて、こう!という曖昧なイメージを形にしていくのは楽しかったです。本腰入れての制作は去年(2021)年。もうこの頃には色々振り切れてて、制作に集中しまくってて。去年、最高に楽しくて貴重な時間だった。神に感謝。2021年の今頃、僕は病気も仕事も失恋も友情も、全部捨てて半年間、がむしゃらに作っていた。
3 - Downpour
前半部は数年前に制作していたものの、完成させることなく放置していました。なので数年を経てやっと去年、完成させたって感じ。中盤からは、ブレードランナー愛と、あとやっぱり制作時の自分のメンタル。荘厳。こういう気分でした。 VS 1 と似てると思う。チューニングチェンジ(微分音)とグリッドのないアンサンブル。タイミングの「溜め」とか、そこからの進行・間(モタつき)。調節して作っています。
コピーペーストは皆無で、盆栽みたいな世界?日本的だなとも思ったり。でも作ってて最高に楽しかった。のめり込んで、徐々に元気になっていった。ひとりの世界はやっぱり救われる。現実は残酷。
4 - Fate
Fate は2017年に体調を崩したときに頭に浮かんだ曲で、死の告知の瞬間の曲というか。しばらくずっと頭の中を(フレーズが)リフレインしていました。もう少し進んでたら手術が必要、みたいな状況で、ショックが大きくて。結局治療したら治ったんですけど。病名は伏せます!
そのことで翌年まで沈んでて、ずっと色々な闘病ブログを読んでいました。闘病ブログ、すごい見入ってしまいます。尊くて切実で、多くのことを学べると思います。小林麻央さんとか、最近だと山口雄也さんとか。自分だったら絶対に書けない・・・。
小島ミナさんから受けた影響も大きい。ドキュメンタリー、調べてみて!
SNSは、社会のことを知らない社会学者とか、胡散臭い政治学者の言葉とか、そんなんばっかり目につくと思う。SNSに疲れたら闘病ブログを読んでみてください。
病気になって初めて気付くことってあると思う。自分にとって本当に大切なものは何か。優先すべきは何か。多くの人にとって「家族」なんじゃなかろうか。でも僕は家族関係が希薄で。無念だった。人生は逆算できない(いつ終わるとも知れない)だけに、あれこれ考えてしまう。というか、今までは鳥か魚のように生きてきたけど。僕は考えるようになりました。当初のタイトルは「 Cruel Fate 」だったけど「 Fate 」に改めました。完成は去年2021年。
5 - Gaze
映画「 TOKYO TELEPATH 2020 」(遠藤麻衣子監督・2020年公開)のイメージ曲。劇中には使われていないものの、予告編に使われています。
劇伴制作は2019年?もう時間がぐちゃぐちゃ(笑)。仮の映像を見て、エンドロールはしっとりめのピアノ曲がいいんじゃないかと思い、提案しました。でも監督的には違ったようで。なので別の曲を作りつつ。でも頭の中に Gaze もあったので、翌年(2020年)完成させました。曲調は「転がり落ちるような」展開。自分、やっぱりこうなる。
遠藤監督はこの曲聞いて、「デレク・ジャーマンみたい」って思ったらしい。デレク・ジャーマンも「何やってもあの人」だよね。遠藤も僕も、何やってもこう・・・(笑)。自分流、大爆発。
社会の「まなざし」について感じたことを曲に打つけました。社会って、僕たちにとっては凄く不都合。普通ってなんだろう。今そんな時期、渦中。
6 - Koe Naki Koe
これは上記映画、劇中に出てくる「ともや」という男のテーマソングです。彼女の映画は説明的じゃないし、明白な答えを(いい意味で)寄せ付けないというか、カットカットが先端恐怖症的に(見る側を)突っついてくる、じゃないけど(笑)。なんだろう。ひと言で言うと「意味解んない」なんだけど。でも僕は僕が感じたことをそのまま形にして、送りつける感じです。それがピッタリ合うのでやっぱり楽しいです。
「全てを知ってしまったがゆえ、全ての感情を奪われた男」だと。勝手に解釈して作りました。自己チュー vs 自己チュー。出逢いに感謝。永遠の悪友だと思う。友情。
7 - The Matsuri
オリンピックをテーマにした映画だったので。
オリンピック、酷かった、開会式。パラリンピックの方が良かった・・・?なんだったんだろう。全て幻だったんじゃないか。夢なら悪夢。ただ僕はやれたこと自体はよかったと思うけど。そこもね、難しい。祭りは「想像と破壊」だと思う。政(まつごと)とか「祭政一致」って言葉があるけど、つまり政治の曲でもあるかなあ。混沌、騒がしい、党利党略入り混じり。利権。不条理。暴力。政治によって皆が幸せになるっていうのは難しいと思います。色んな立場の人がいるし。ただ日本の政治、凄く悪い状況だと思う。何故こうなってしまったんだろう。アルバムに合わせてミックス・マスタリングを変えました。全てを破壊したい。YOSHIKIが好き。
8 - Emancipation X
また時を遡ります!オリジナルの発表は2018年9月。 VS 1 と同じ年に発表してた。仕事を辞めた時の開放感と、その時期に観た映画「アンダーグラウンド」(エミール・クストリッツァ監督)から影響を受けたこれまたダウナーな曲。そう、このアルバム・・・暗黒!治療も終わってたかなあ。
アンダーグラウンドは史上最高の映画だと思う。特に後半にかけての話の持ってき方。ある意味、エヴァ。
この曲も2021年にアルバム収録に合わせてブラッシュアップさせました。アウトロの電子音とか、最高に楽しかった。個人的に一番好きかもしれない。去年は久しぶりに「無敵感」を感じれました。時間はいくらあっても足りないですね。 time is more than money 。
9 - Anima
オリジナルは2020年の12月に YouTube に出しました。これは海外在住の謎のアーティスト osa uveine からの要望で、彼のレーベルからも出ました。この曲も NOISE に合わせてかなり改造しました。ちょっと狂ってる感じ。変なスイッチ入ってた。日本のアニミズムじゃないけど、ぐにゃぐにゃ、ぐちゃぐちゃしたものが好きで、大友克洋の「 AKIRA 」の最後の肉の塊みたいな。妖怪とか触手とか。そんなイメージで楽しく作りました。ちなみに大友克洋さんも庵野秀明さんも大好きなのに、名前が難しくて読みが解らない。記憶できない。
10 - Ryukyu Glass
最古の曲かもしれないです。
大阪時代、インドフリスくんと自宅でセッションレコーディングして、この曲を固めつつ、ずっと発表は出来ていなかったので念願!の楽曲。
インドフリスくんは清らかな水みたいなイメージ。人柄も音楽も最高。今はもう別々の場所に住んでいてなかなか会えないけど、こんな自分にも確かに大切な友達がいるのだという・・・(重)。お守りみたいな曲。
11 - Tokyo Days
2018年冬(だったっけ・・・?)東京に引っ越しました。それからも色々大変だった、。結局自分は色々と複雑な問題を抱えた人間だった。自分のジェンダーにも向き合えず。恋愛したけどうまくいかず。批判してくる人もいて。当事者にしか解らないと思うが、そこら辺(性自認?)の問題ってめちゃくちゃセンシティブ。苦しみ悶えていた。
その後、「ボージャック・ホースマン」というアニメを見て(笑)、やっと「アセクシャル」なるものがこの世に存在するのだと知る。それまで知らなかったのだ。自分のジェンダーを自認したのは2019年かな。この曲も2019年の5月に発表。人生は旅。ジェンダーも旅。らしい。別にジェンダーをテーマにした曲ではないです。当時はただただ上手くいかない自分自身を慰める・励ますために作りました。作曲療法。
思うに自分にとっての作曲はセラピー色が強い。完成させられて良かった・・・!前に進めるというか。「小津安二郎っぽい」と言われたことがあって嬉しかったです。蒼氓。生きるってなんだろう。
12 - VS 2
前半部(のデモ)は割と2017年くらいにはあったような・・・発表はせず。2021年に仕上げました。ノイズっていうのは生きてる間はずっとあり続けると思う。死んだら無音。「 NOISE 」って凄く肯定的な(意味合いでつけた)タイトル。生きること = ノイズ。という感じ。次のアルバムは NOISE にしようとずっと前から、それだけは決めていました。この曲の副題は to be continued だけど当初は apoptosis にする予定だった。心境が徐々に(前向きに)変わっていった。人生は続く・・・。
やっぱりアルバム全体を通して、落ちてた時期だった。でも実際に落ちてる時は曲すら作れない。そこから立ち直って、東京でも友達が出来て。なんとか完成させたのが去年の12月。前のアルバムから6年経ってしまった。
思うに「 NOISE 」は私小説的な側面が強いです。こんなだけど。その時その時の「叫び」の記録みたいな。2020年くらいからかな、精神的に立ち直りました。そして、やっとアルバムを形にできたので、これでやっと次に行ける・・・!次のアルバムは歌有りにチャレンジしたい。
みたいな感じ・・・泣泣
実は今NPO法人を設立したいなと思って色々準備しています 勉強中!
これからもマイペースに活動頑張ります!
応援して頂けたら幸いです
みんなもテイクケア!
20220909
服部峻