本日(2023/9/11)発表された5年共通担保オペ(シグナルオペ)について
今日、5年の共通担保オペ(いわゆるシグナル・オペ)についてオファーがあったようです。週末に話題になりましたが、下記のような記事があったので売られやすい状況だったようです。
マイナス金利解除「物価上昇に確信持てれば選択肢」…植田日銀総裁インタビュー : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
共通担保オペがなぜ金利を下げる効果があるかは、金融機関が日銀からファンディングして長期国債を買えるからですが(あるいはスワップを受けるからですが)、詳細は下記のエントリーで説明しているので、これらを参考にしてください(特に、「共通担保オペの拡充」がまとまっていると思います)。
共通担保オペの拡充|服部孝洋(東京大学) (note.com)
2年物の共通担保オペについてのメモ|服部孝洋(東京大学) (note.com)
2013年の金利上昇時に実施された1年物の共通担保オペについて|服部孝洋(東京大学) (note.com)
下記が日銀の発表分ですが、オファーが2023年9月14日になっていて、結構先です(しかも、オファーの金額は「オファー時に通知」とあり未定)。
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共通担保資金供給オペレーションの実施について (boj.or.jp)
なぜスタートが先だったかというと、そもそも5年国債となると1-2年に比べてリスク量も大きいことから、応札サイドである金融機関も準備が必要であり、それを配慮しているとみることができます。実際、例えば1月18日に発表されたものについても、オファーは1月24日と少し時間が空いています(下記を参照)。
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ちなみに、共担オペで5年のファンディングして、5年の金利スワップを受ける場合、ファンディング分は日銀当預に置いてきます。それにより、金利スワップの受けによる「TONAの金利払い」部分と、当座の付利金利が相殺することになります(TONAが-10bpsではないので、一定のずれはありますが)。
なお、金利スワップについては下記の「金利スワップ入門」をみてください。もっとも、下記の内容はLIBORになっていて古いので、私のJGB本ではアップデイトしたものをリリースする予定です。
https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f202008_01..pdf
7月の決定会合では、金利のコントロールのために共通担保オペの実施が機動的になされると指摘されています(5年のシグナルオペは2月末以来です)。当時の決定会合は下記を参照してください。
本日(7/28)の日銀決定会合:1%の指値オペ実施と共通担保オペ|服部孝洋(東京大学) (note.com)
必要があればアップデイトします。