来世ジャッジメント⑩

こんにちは。
平日のお昼に投稿します。
しばらく載せてきました『来世ジャッジメント』も今日で最終回?です。
最初から読んでいない方は、できれば遡って読んだ上で今日のラストをお読みいただければ幸いです。

とりあえず載せますね。
どうぞ♪

ー・ー・ー・ー・ー
静香 「何か、あっけなく終わりましたね…」
案内人「ここの世界でも現世でも同じ事、会議は長ければいいというもの                    ではありません」
静香 「はぁ。でも、最後あなたに任せるって。さきほどバーでもお話され    てたとおり、やっぱり最終的に私の行く末を決めるのはあなたなん    ですね?」
案内人「それは多少語弊があります。確かに最終的な決定権といいますか、    あなたをどこに導くかというのは私たち案内人にしか行うことがで    きません。しかしそれはあくまでもそれを実行するだけの事。そこ    に至るまでの過程は大事にしたいし、それを最後の最後に独断で     ひっくり返すなんてことはいたしません」
静香 「じゃあ…、私は…?」
案内人「ええ。会議の結論通り元の身体に戻りましょう」
静香 「(ほっとする)ありがとうございます!ありがとうございます!優    美菜!遅くなったけどお母さん今から帰るからね!」
案内人「戻る前にお話しておきたいことがあるんですが」
静香 「何ですか?」
案内人「先ほどのバーであった若い彼いるじゃないですか」
静香 「あーおしぼりの」
案内人「ええ、彼は現世で交通事故にあって彷徨ってました。現世に恋人が    いたんですが、ここに残しました」
静香 「どうしてですか?」
案内人「ひとつ私にある特殊な能力なんですが、現世に戻した場合の近い未    来が見えるんです」
静香 「え?」
案内人「本当に少し先の未来なんですが、それを決め手にすることもありま    して」
静香 「はぁ…」
案内人「彼の場合、現世で一命を取り留めたとしても、遷延性意識障害(せ    んえんせいいしきしょうがい)いわゆる植物状態という未来でし     た。もちろんその後回復するケースもありますがごく希です。それ    で」
静香 「そうだったんですか…。でも本人も良かったと言ってましたよね」
案内人「そうですけど。本当に良かったのかなってたまに考えるんです。こ    の仕事をしていても結局そういうことばかりです」
静香 「そうなんですね」
案内人「彼の思い出レストランでの一品が印象に残ってまして」
静香 「何だったんですか?」
案内人「レーズン入りのグラタンです」
静香 「え?」
案内人「彼女が最後に作ってくれたものらしんです」
静香 「彼、交通事故って半年前?!」
案内人「そうですね」
静香 「そう…」
案内人「(静香の反応を気にしながらも)それをとても美味しそうに、ずっ    とずっと食べていました」
静香 「そうですか…。それは良かった…。良かったね」
案内人「そのあとに彼が言ってたんですが、彼女が作るグラタンは絶品だ     と。ただ、一度だけこれはないってのが入ってたそうです」
静香 「それは何ですか?」
案内人「あんこです」
静香 「あんこ?あんこグラタンか。あはは」
案内人「ふふふ。じゃあそろそろ戻りましょうか」
静香 「はい。お願いします」
案内人「あ、もうひとつだけお話したいことがあるんです」
静香 「何ですか?」
案内人「戻れる時間は30秒だけです」
静香 「え?」

○病院

ICUで眠る静香 側に医者と優美菜
森田と千尋 登場 2人ベッドにかけよる
※実際の病院の常識的というかルールみたいな部分は置いておきます

森田 「静香さん!」
千尋 「小山さん!」
森田 「優美菜ちゃん…」
優美菜「…」
森田 「大変だったね…」
千尋 「小山さんは、小山さんは助かるんですよね?!」
医者 「(険しい表情で)あらゆる手は尽くしたんですが…」
森田 「嘘でしょ!ねぇ、もっと尽くせる手はないの?!」
千尋 「小山さん、死んじゃダメ。死んじゃダメって…(私にも言ったじゃ    ない)」
森田 「諦めたらダメよ!奇跡よ、奇跡を起こすのよ!」
医者 「…しかしもう」
優美菜「お母さん」
森田 「…。優美菜ちゃん、これお母さんに渡そうと思ってたんだけど…     (包み)」
優美菜「これは…」
森田 「前にね、お母さんがうちに来たときにね、美味しいって言ってたノ    ンアルコールのスパークリングワイン」
優美菜「ワイン…」
森田 「お母さんお酒全然飲めないでしょ、だから雰囲気だけでもと思って    試しに飲んでもらったら、気に入ったみたいで。もう1本飲みた     いって言ってたんだけどもらいものでその1本しかなくて。なかな    か売ってないやつみたいだけど見つけたからあげようと思って」
優美菜「ありがとうございます…。お母さん。聞こえる。ねぇ。2人も来て    くれたよ。ねぇ、起きて、お母さんが好きなワインだって、ねぇ、    お母さん…。お母さんってば!」
静香 「(突然目を覚ます)はい!」

皆突然のことに戸惑う

優美菜「!?…。お母さん…?」
静香 「時間がない!」
優美菜「え?」
静香 「森田さんありがとうございます!いただきます!(開けて半分ぐら    い飲む)」
森田 「静香さん…?」
医者 「(困惑する)」
静香 「千尋ちゃん!レーズングラタン!とっても美味しかったて!」
千尋 「え?誰、が…?」
静香 「彷徨いの場所で!彼が!本当に!千尋ちゃんのグラタン全部美味し    かったって!喜んでたって!」
千尋 「そんなこと…」
静香 「でも、あんこのグラタンだけはダメだったって!」
千尋 「あんこ…。本当に…(涙ぐむ)」
静香 「優美菜!ごめんね!お母さん戻って来れたけどまたすぐ行かないと    いけないの!ごめんね、お母さんもう優美菜のそばにいられないけ    ど、ずっと見てるからね!ずっと見守ってるからね!元気でね!     優美菜!大好きだよ!(抱き寄せて笑顔)あ、30秒(また寝      る)」
優美菜「お母さん…?お母さん…。お母さーん!」
森田 「静香さーん!!」
千尋 「小山さん…」

静寂 間があって医者が息を確認して首を横に振る

優美菜「終わり…?これでお母さんの人生終わり…?こんな急に…。何で…、    何で…」
森田 「優美菜ちゃん(優美菜の肩に手を置く)」
千尋 「また、大事な人が…」
優美菜「ごめんね、お母さん。優美菜、お母さんがいなくなるなんて、思っ    た事もなかったから…。ずっと側にいるもんだと思ってたから…。    だから…。優美菜、お母さんと…。お母さんと、もっとたくさん話    したかった。一緒にいろんなところ行きたかった。お料理も習いた    かった。今さらと思われるかもしれないけど…、本当だよ。お母さ    ん…。死んじゃやだ。死んじゃやだー!お母さーん!!」

静香 「(ゆっくり起き上がる)」
医者 「え?!」
千尋 「え?」
森田 「静香さん?」
優美菜「お、母さん…」
静香 「え?!(自分が一番びっくりする)」
医者 「信じられない。どういうことだ」
静香 「どういうこと?私、死にましたよね?」
医者 「えぇ…。先ほど、確かに…」
千尋 「森田さん!」
森田 「奇跡よ!奇跡が起きちゃったのよー!」
優美菜「(呆然としてたが、我に返って)良かった…。お母さん、良かっ     たー!」
静香 「優美菜、ごめんね心配かけて(優美菜を抱き寄せる)」
森田 「奇跡よー!乾杯ー!(残りのワインを飲む)」
静香 「あ、それ私のー」
森田 「いいじゃないいいじゃないもう1本あるし(出す)」
静香 「あら、あはは」
千尋 「うふふ」
優美菜「(笑顔)」

和やかな雰囲気

静香 「でもどうして…?」


○彷徨いの場所 ちょっと前

彷徨い人を送るところ

ミゲル「期待させてしまってすみません。でも一度ちゃんとお別れはしたほ    うがいいかなと思いまして」
静香 「いえ、これもさだめですからね」
ミゲル「ちょうど娘さんも病院にいるので、良いかなと」
静香 「ありがとうございます」
ミゲル「では」
静香 「はい」

何かしら現世に戻す儀式・所作

レンツ「(袖から)待て!」

案内人ミゲルと静香反応する
案内人レンツ登場

ミゲル「何だ?邪魔をしにきたのか」
レンツ「もう邪魔できる段階はないだろ」
ミゲル「じゃあ何だ?」
レンツ「現世か」
ミゲル「ああ。それが俺の決断だ。お前は?」
レンツ「今しがたな」
ミゲル「来世に送ればいいってもんじゃない」
レンツ「現世だ」
ミゲル「は?」
レンツ「現世に戻した」
ミゲル「何故?」
レンツ「何故って何だ。お前もそう言ってたじゃねぇか」
ミゲル「そうだが…」
レンツ「そんなことはどうでもいい。あんた」
静香 「私?」
レンツ「もっと生きたいだろ」
静香 「はい…?」
ミゲル「何が言いたい」
レンツ「俺の魂をくれてやる」
静香 「へ?」
ミゲル「お前、本気か?」
レンツ「俺はいつだって本気だ」
静香 「どういう、ことですか…?」
レンツ「もう説明はいい。ミゲルさっさとしろ」
ミゲル「いいのか?」
レンツ「急げ」
静香 「ちょっと…」
ミゲル「わかった」

案内人ミゲル レンツの魂を静香に移して現世に戻す儀式・所作

問掛人「(袖から)待ちな!」

ミゲル レンツ 静香 反応する
問い掛け人アメリカン登場

静香 「アメリカンさん」
ミゲル「どうしたんですか?」
レンツ「何だ?」
問掛人「魂ならアメリカンのをくれてやる!」
ミゲル「え?」
レンツ「割り込みするな、俺が…」
問掛人「いいんだよ!てめぇは別に終わる理由なんてねぇんだろ!こっちはな、もうこれしんどいんだよ!」
静香 「しんどい…?」
問掛人「一生毎日これって考えみろ!しんどいだろ!正直もう声もきついんだよ!いいからさっさとしろ!」
ミゲル「わ、わかりました。では」

レンツもしぶしぶ同意する
案内人ミゲル 問い掛け人の魂を静香に移して現世に戻す儀式・所作

ミゲル「いきますよ!」
問掛人「長生きしろよこんにゃろー!!」
派手な光と幻想的な音楽 その中で

静香 「とりあえず、ありがとうございまーす!!私精一杯生きまー       す!!」

光と音さらに増して(まあ演出的な部分はおまかせ)


                   Fin♪

ー・ー・ー・ー・ー
ということで、10日間に渡ってお届けしてきました『来世ジャッジメント』、これにて終了です。いかがでしたかね。

なかなか良い作品だと思いますけどね。
これを上演した劇団OZEがある事務所 オリジンコーポレーションの代表(社長)が、これは絶対再演する、って言ってたんですが、そろそろ6年経ちますけど、そんな話一度も出ていません笑
なので今後もやらないと思いますので、どこかの劇団さんよろしければやって下さい笑

まあほぼ当て書きしてるので微調整は必要かもしれませんけどね。

まあとりあえず10日間ありがとうございましたー!
また何か長編作品載せますねー♪

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はっとー
サポートエリア?についても何もわかっておりませんm(_ _)m 感謝を申し上げればいいのでしょうか?当然そうですよね。ありがとうございます!!勉強します!!